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ほのじ介護録/余命3カ月の父とわたしの場合
2022年2月28日 08:10
結婚より離婚が大変、生まれるより死ぬ方が大変…そんなことを考えていた。いや、離婚したことはないけど「離婚の方が大変よ~」なんて聞くもんですから、つい。それから生まれるより死ぬ方が大変、と思ったのは書類関係の話。子供が生まれたとき、病院の手続きやなんかはあったかもしれないけれど、出生届を出せば役所に行くことなんてなかった。(子供を産んだのが数十年前になるので記憶は曖昧😅)それに比べて、
2022年2月24日 11:21
亡くなった人が夢に出てくると、自称霊感があるわたしは”何か伝えたかったんじゃないか…”なんて思う。そもそも、霊感があるかもしれない…と思ったのは、祖母が亡くなったときまで遡る。まだ実家で暮らしていた頃、電話の音で目が覚めた。わたしの枕元からはちょうど電話機が見える。ベルがなる電話機を見た瞬間、「祖母が亡くなった」と感じた。現に、その電話は祖母の訃報を知らせるもので、わたしの父(先月亡くなった)
2022年2月23日 13:31
父が亡くなって2カ月足らず、まだまだ煩雑な手続きが必要だった。空前のねこの日だというのに、わたしの予定は役所巡り。ペットショップのねこと戯れたい気持ちは抑えて、近くの役所へ出向くことにした。いつもはガラ空きの役所が、どういうわけだか混んでいる。行列に並んでいると、小さな子供のキャッキャという笑い声が聞こえてきた。混んでいても殺伐としていないのは子供の笑い声のせいだろう。近くにいる老人も、上手に
2022年2月22日 12:28
去年の今頃…そう、父親の病気がわかる数カ月前のこと。わたしには一つの日課があった。それは、近くのペットショップのねこに会いに行くことだった。親の介護が始まるまでのわたしは、まるで野良猫のように暮らしていた。フリーの仕事が舞い込めば猛進して働くこともあったし、今日は編み物がしたい気分…なんて宣言して、河原で編み物に没頭する日もあるという、行き当たりばったりの毎日だった。そんなある日、家の近く
2022年2月12日 07:11
通勤介護が始まってから数日経ったある日、駅のホームで。『バイオハザードじゃん!』と突っ込みを入れて、ひきつけを起こしそうなほど大笑いしている若者を見掛けた。天を仰ぐように笑って──。ワイヤレスイヤホンで話す電話越しの誰かは、何と言ったのだろう。今日は介護とは何も関係ないハナシでした。おわり。
2022年2月11日 07:56
泣きたかった。こうやってだんだん弱っていくのだろう。普段から使っている紙おむつ用のパッドがうまく外せなかったようで、トイレの中には紙パッドの中身、ポリマーが散乱していた。これがなかなか落ちないのだ。拭いても拭いてもねりねりと広がっていく。おしっこを吸っているわけだから広がっては困るのだけど。──泣きたかった。こうやってだんだん弱っていくのだろう。紙パンツに貼ってあるマジックテー
2022年2月10日 15:23
両親が離婚したあとの父との2人暮らし。夕飯は、飲食店のアルバイトでまかないを食べることがほとんどだった。とは言っても料理好きの父のこと。気が向けば料理を振る舞ってくれた。ある日の晩。酒呑みの父はご機嫌でニンニクの素揚げを作り始めた。部屋に漂う香ばしい香りに、うら若きわたしはついつい誘われた。素揚げしたニンニクは、まるでじゃがいものようにホクホクとして美味しい。甘辛い味噌を付けると、尚美味し
2022年2月5日 09:36
年明けに父がなくなって1ヶ月経った。陽は延びたけれど、駅に着く頃にはもう月が出ていた。──いい加減片づけをしないとそう思い立って、月命日の翌日に部屋の片づけをすることにした。片づけないと…という気持ちが毎日毎日積み重なって1カ月過ぎたら、父が夢に出てきた。夢の話は支離滅裂で、なぜか白い段ボールでできたソファに父は座っていた。鍵を忘れて家を出たわたしに、『何やってンだ』と