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就活に嫌気がさしてカナダに国外逃亡を図った話。
大失恋した女子大生が就活にのめり込んだ話を
先日noteに書いた。
たくさんの人から反応をもらって
嬉し恥ずかしだったんだけど、
これには後日談がある。
簡単に言うと、
就活を捨て国外逃亡を企てていたという話だ。
スケールでかめの逃走劇を
どうか鼻で笑いながら聞いてほしい。
ーーーー
世紀の大失恋を遂げたあと、
就活に拍車をかけた私は、
OB訪問したり都内のイベントに
参加しまくっていた。
いろんな働き方をしている大人に会って、
ぶっとんだ生き方をしている人たちと話して
世界はキラキラ輝いてみえた。
就活ってこんな楽しいものなんや!!
傍からみれば嫌味みたいなセリフだ。
心はお花畑。
このまま選考にのぞんで、
難なく内定ももらえるだろうと思っていた。
…まあ、そんな甘いわけないんだけど。
時間はあっという間にすぎて、
7月頃からサマーインターンの応募が始まった。
意識高めの自称イケイケ女子大生だった私は、
けっこう早い段階でESに取り組んだ。
ねらいは、某大手企業。
・グループワークでどう貢献したいか
・上記の考えに至った根拠となるエピソード
内容はこんな感じだ。
貢献ってなんやねん。
書かせる理由が分からなかった。
人事さんは私に会ったこともないのに、
私が書いた文章を読みたいの?
小説家でもないド素人の文章を?
しかもそれで合否を判断するの?
え、正気?
文句はとめどなく溢れるけど、書き始めないことには応募もできない。イケイケ女子大生の名を汚したくない。
とりあえずパソコンに向かった。
2時間くらい経っただろうか。
目の前の液晶画面は依然として、白。
書けねえ。
面白いくらい書けなかった。
2-3行書いては消しての繰り返し。
「積極性に長けています」
「リーダーシップがあります」
とにかく当たり障りのない言葉しか出てこない。こんなの、私じゃなくても書ける。
積極的でリーダーシップがある人なんて、日本中に五万といる。
それから3日間。
とりあえずパソコンに向かったけど、
進捗具合はまるで変わらず。
先輩が書いた過去のESをヒントに書いてみるが、なんだか似たり寄ったりの文でオリジナリティに欠ける。
そろそろ限界だった。
自信もすっかり失った。
今まで順調に来ていたのに、予想もしなかった段階で高い壁にぶつかった。
早い段階で就活を始めた自分に酔って、
自意識過剰になっていたんだろう。
“自分の良さを自分の言葉で書くことができない” ねじまようもないこの事実は、自信喪失の理由には十分すぎるくらいだった。
そもそも400字で私の何が分かる。
しがない大学生が書いた文章だ。
判断のしようがないじゃんか。
腹いせとしか思えない文句が
頭を通り抜けていく。
もう無理。もう無理だ…。
しかし、
その時ふと、気づいた。
ここは日本。JAPAN。
日本だから就活制度がある。
就活が嫌なら、
日本から逃げればイインダ!!!
そうだ、日本から出ればいい。
簡単なことだ。
留学とかワーホリとか適当な理由があれば休学もできる。海外での経験があれば、ESもきっと書きやすくなる。
海外に行きたいことはもともと周りに言いふらしていたし、ワーホリにも興味があった。誰も文句は言えないはず。
頭の中でパズルが組み上がっていく。
バッチリ。天才だ。
早速ワーホリのエージェントに見積もりをしてもらう。Instagramのストーリーで、念願のカナダ行きを高らかに宣言する。
(※実際の写真。ひどく調子に乗っています)
あとは親の説得だけだった。
父は放任主義なので問題なし。
1番の難関は母だ。
私がなにか新しいことを始めようとすると、
ストップをかけるのはいつも母。
とくべつ秀でた知識量もないし大きな企業で働いたこともないけど、なんか鋭い。突っつかないでほしい部分に、容赦なく剣を差し込む。
天然なんだか天才なんだか。
しかし、祈りも虚しく
母の剣はビュンビュン飛んできた。
「なんで今行きたいの?」
ドキッとした。
「へえおもしろそうじゃん〜」
のあとに投げる言葉?それ!?
安堵した瞬間にみぞおちを刺されるような感覚だ。一気に身体が冷たくなる。
なぜ今行くのか。
それは私が1番されたくない質問だった。
カナダに行きたいのもワーホリに興味があるのも母は前から知っていた。決行するタイミングは今までいくらでもあったことも。
だから、「今行きたいからだよ」としか言えなかった。就活から逃げたいだなんて、口が裂けても言えないし絶対に反対されてしまう。
2時間ほど粘った結果、母の答えはノー。
就活から逃げたいことも全てお見通しだった。
ダムが一気に決壊したかのように、
私は大号泣した。文字通り、わんわん泣いた。
一気に現実に引き戻された。明日から就活に戻らなきゃいけない。暗黒のようなあの日々が、また始まるんだ。
とにかく涙が止まらなかった。
小さい子どものように泣きじゃくりながら、
観念したように、口が勝手に本音をこぼし始める。完全に不可抗力だった。
ESが書けない。うまく書けないの。
自分の良さがわかんなくて、それが辛いの。
今まで頑張ってきたはずなのに、全然わからないの。だから就活から逃げようと思ったの。
本心だった。まったくの本音だった。
ああ私、ずっと誰かに聞いてほしかったんだ。
独りで戦い続けて辛かったこと。自分と向き合うことが何より苦しいこと。逃げ出したくてしょうがないこと。
聞いてくれる人がいなくて、ううん、誰かに話そうともしないで心に溜め込んで。ずっとずっと苦しかったんだ。
電話口の母は「うんうん」と頷くだけだった。
ひと通り話し終えたところで、
「大丈夫だよ」と、母が続ける。
「いっかい向き合ったらいい。ほのか自身と、就活と向き合ってみなさい。」
“就活と、向き合う?”
「そう。うまくいかなくてもいいから止めないこと。まずは続けてみる。その上で海外に行くなら、お母さんは止めない。……あとね、」
ひと呼吸置いて、
電話口の声色が、ふわっと優しくなる。
ひとりが無理だと思うなら、
誰かを頼ればいいじゃない。
ーーーーーーーー
電話が終わったあと、
私はしばらく動けなかった。
目もひどく腫れて出目金になっている。
誰かを頼ればいい。
就活も同じだろうか。
誰かが手伝ってくれるだろうか。
ふと、先輩の顔が頭によぎる。
早期就活の道を示してくれた、あの先輩の。
1度、話してみよう。そう思った。
ESが書けないことを話そう。
どうしたらいいかを聞こう。
たくさん助けてもらおう。
カナダに行くのは、
それからでも遅くないような気がしていた。
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