
見つけたい8
キャプション:SUGIZO&HYDE
「俺たちが、トシさんに声掛けられた時と、LAにヨシキさんに会いに行った時では・・トシさんの記憶に溝というのか、壁とういうのか・・封じ込められた出来事があったんだ・・」
「知らなかったよね・・そんなの・・・なんかそっけない態度するなぁって・・トシさんのこと想ってたんよね?俺も。そやけど・・ああいう出来事があったから、記憶に残らないように対処をしてたんや。SUGIZOもトシさんの態度がそっけなかったってそう感じたんか?」
「俺は・・・覚えてさえもらえてなかった・・・」
「あらら・・悲しいね・・それはまた・・」
「後々・・・どっかであってるとそういう認識はされていくけど・・はっきりと声掛けてもらったことは・・・それもあれ・・メンバー是wん員に声掛けてたんだって・・トシさんは。」
「それなのに・・ああいう事件のことで忘れてたと・・・」
「とんでもないことに巻き込まれてたってのは・・この話で知った。」
「・・・ご飯誘ったらいってくれるやろか・・」
「なに?まだ誘えてないの?」
「・・・なんか言いにくくてね・・・でも・・連絡してみることにするわ。」
「そうしてみたら?きっと言ってくれると思うよ。」
「お前いくんやって。SUGIちゃん。」
「・・・そういうことなのか・・?」
side:Yoshiki
あのドクターの話通り、既に”あの場所”から脱出していた人たちが取り上げられるようなことはなく、まだ脱出つできずに捕らわれの身になっている人たちだけが、報道で人数を言われていた。
トシの治療は進んで、その場所までもがテレビに映し出されたのを偶然目にしても、トシは・・なにも思い出すことはなく、ただ・・悲惨なことが起きていたんだという想いを口にするだけだった。
これで俺が決められた!
何があってもこのことだけは絶対に誰にももう話さないと。
そうは決めても・・なかなか忘れたことにはできない。
それも分かっているから・・・
『俺も受けたい!トシと同じ治療。』
『・・・あのな・・・何のトラウマもないのに・・必要か?それ‥。』
『だから言ってるの!俺だって受けたい!!トシと同じ治療!』
光樹に話してみたけど、光樹はその手の専門じゃないから、とりあえずトシを治療しに来る担当者に話をしてみろと、時間を作る様に話を持って行ってくれた。
その人の夜・・トシの治療を終えてから、俺のカウンセリングに。
『それで・・・あなたは何の目的で治療を受けたいの?』
『忘れる為です。』
『・・』
『トシがいくら別の記憶を植え付けて、この一連の事件を忘れたとしても、俺は覚えてる・・いつでもそれを言うでしょうね・・俺だったら。だから根こそぎあいつと同じように忘れたいんです。』
何が発端で、何を言い出すかわからないってことは、すでにこの状況を作り出した俺自身が原因だ。
何時でもトシを傷つけてしまう。
この一連の事件だって・・ほじくり返すことはできてしまうんだから。
『・・それは・・・彼を守るためですか?それとも・・この先の利益の為?』
何を言うんだよ・・この人!?
『あんたな!!?』
『このことが知られてしまえば、あなたたちの実績に傷が付くのは目に見えてます。それを隠すだけでも大きな違いがあることは確かな事実ではないですか?』
『このことが知れ渡っても、そんことで損失を産んだとしても、俺は気にしない取られたら取り返すだけで済む話だ。でも・・トシの気持ちは絶対に取り返せない。』
はっきりわかった・・。
忘れてたって事・・・そして・・これまで以上に話したくない存在になってるって事。
同じ気持ちには決してならないって事も・・分かってしまったから。
だったら・・同じものをなくすことで、一緒に居られたらそれが一番いい。
『・・・分かりました。後悔しないんですね?』
『はい。』
俺は・・・めったに横にならないゲストルームのベッドで治療を受けることになった。
記憶の置き換え・・・その代わりになるものを・・選んだのは・・
お父さんの死だった。
治療を受けている間・・半分寝ているようで、半分起きていながらも・・体の力は抜けていて・・話しているのかどうかもはっきりしない状態の中にいた。
意識があって見ている光景なのか・・それともただの夢なのか・・
一人の少年が・・じっと一点を見つめて動かないの様子を俺は見てた。
近づいてみると・・その子供は・・無表情のトシだった。
何を思ったのか・・振り向いて突然走り出して行った。
やがて人がたくさん出てきて・・大騒ぎに・・・
それでもう一度・・トシが見ていた方に視線を向けると・・
・・・交通事故・・
俺が知っている・・あの光景が・・・目の前に。
背中から冷たさが頭にまで響いて、めまいがするような鋭い匂いが漂ってきた。
車から引き釣り出された・・血まみれで・・全く動かないおとうさん・・・
お父さんだって感覚はあるものの・・それを受け入れたくない気持ちでい一杯に・・。
知っているのに知らない感覚だった。
気が付いたら隣にいた・・もう一人の少年・・・
そう・・俺だ・・。
暫く、その幼いころの俺自身を見つめてて・・ふと気が付いた。
トシは?!
探してみると、すぐに見つかった。
見知らぬ人に、背中をさすってもらい・・声を掛けられていたが・・それをはねのけようとして・・いる姿・・・。
・・なんで?・・
じっとトシを見ていると・・その視線・・・こっちを見てる・・。
こっちに来ようとしてたの?
俺に話しかけようとしてくれてた??
ただ・・まだ小さかったからだろうか?
それとも・・どこかを怪我してたんだろうか・・力が出ないみたいで、動けずにいたって事が分かった。
俺・・・気が付かなかった・・・
トシが・・話しかけようとしてたなんて。
それを・・引き留めているのは・・大人たちは・・この状況だからだろうか・・
ケンカにでもなったら・・そう考えたのか?
一切俺の耳には届いてこなかったトシの声。
気にもしてなかったんだ・・トシが傍に居るなんてこと・・。
同じじゃないか?!
今の俺と。
忘れてたとか、気が付かなかったとか・・。
俺自身のことで精いっぱいで・・何も気が付かなかったんだ。
この時だって・・今だって・・・。
なのに・・トシは・・・泣くこともせずに・・ちゃんと”今”の状況をしっかり向き合ってた。
俺は・・先に救急車で運ばれる父の後を追って、別の車で病院へ。
それと同時に、事故現場では、車の移動が始まっていた。
トシのお父さんを助け出すために。
病院で・・事故後すぐに息を引き取っていたお父さん・・。
白い布で顔を隠されて・・横たわっていた。
何も言えずに・・弟と二人で見てるだけになった。
”ヨシキのお父さんだって被害者だ”
あの声が・・俺の脳裏にずっと響いていて消えることがなかった。
怒りと同時に、悲しみと、そして包み込むような・・日差しが差し込むようなぬくもりがある・・トシの声。
きっと・・・あの頃から・・・
今のこの道筋は俺の中でできていたのかもしれない。
アイツの声を・・ずっと聞いていたいと・・。
俺自身の目的は・・見つけていたのかもしれない。
『・・シキ・・ヨシキ・・』
・・・
・・
『・・失いたくない・・・消えないで・・・』
誰かに呼び止められたみたいで・・あの光景が消えた。
それでも・・残された不安はそのままあった。
トシが・・消えてしまうんじゃないかという・・大きな不安が。
side:Kohki
「そう・・・じゃ・・暫くは、都内にはいないんだ・・ニィ兄もミツ兄も。」
『ああ・・俺はまだ銀行員だからな。でもその間、俺の友人が管理する。場所も、その友人の知り合いが出してくれた。これからの稼ぎで返済するということで。』
「そっか・・それなら安心して任せられる。よかった・・ありがと。」
『・・何が?』
「いろいろと力貸してもらえる人を紹介してくれて。それで・・トシもこの仕事を続けられて。」
『ああ・・アイツが好きなんだ。どんなことがあっても・・恐らく辞めねぇんじゃないか?あいつは。』
「俺もできることをしていくから、何かあれば連絡してよ。よかったら俺の連絡先もこれから社長になるって人に伝えて置いて。」
『わかった。』
ニィ兄の連絡で、ミツ兄は、この先・・都内ではなく、地方を拠点にしていくことが決まったらしい。
ニィ兄が使い果たした有休分をしっかり取り戻してからは、都内でも仕事ができるように準備をするという。
今は金沢の会社を建設している最中なので、ミツ兄はLAで仕事をしながら過ごすことになる。
・・・ミツ兄・・金沢の会社の設計に・・相談も何もされてないんだよな・・いいの?それで・・。
今になって気が付いたんだけど。
ミツ兄がもともと住んでいた家は、奇麗に中を空っぽにして売却へ。
家の中にあったものは、増えることもなく、貰ったものは持ち主に返したり、別の場所へ寄付したりして、処分した。
ミツ兄は・・・今のところ治療が上手く行っていて、あの家の中の処分に立ち会ったときに、漏らした言葉が・・
”イチ兄の借金でこうなったんだよね・・”と・・寂しそうにしていた。
今は、まだ・・イチ兄に合わせられる状況でもないだろうというニィ兄の判断で、帰国そのものさせてほしくないということだったから、こっちで仕事をしてもらうことにした。
ミツ兄もそれに対して何も意見を言うこともなく、了承していて、暫くの契約期間を結んだ。
俺は今、帰る場所が・・兄貴の家ってのが・・気になっている。
なにかあれば・・何を言うかわからないのがあの兄貴だ。
頭に来たことが発端で・・そうならないために兄貴も治療を受けることになったけど・・・ミツ兄より治療始めるのが遅かった。
まだ・・効果はすぐには出ないかもしれないのに。
そんな中ででも、時間もお金も動いてる。つまり!仕事は動かさないといけないの。
「兄貴・・仕事入ってるよ。日本に行ってもらう。」
『え~?俺だけ?トシは?』
「トシはこちで仕事・・っても‥こっちも危ないか・・NYに行かせるわ。あっちでも仕事があるから。それに俺もついていけるんで。」
NYでスタジオを作ることになった。
その打ち合わせで行くことになってる。
トシのマネージャは付けられない。
なんせヨシキが仕事するなら、他の連中は、ヨシキに戻さないと。
人手なら・・NYの方がある。
あっちでお任せする方がいいな。
『・・俺も・・』
「馬鹿なの?!新しいメンバーに一人会いに行ってもらうのと、あとは・・対談とか会合とか・・いろいろあるんだから・・行ってきて。都内の支社長にちゃんと従って動いてよ?あっちにも伝わってんだからね。」
『・・トシは?』
「だ~か~ら~NY連れて行くんだって!!」
どういうわけか・・トシ対する執着心が強すぎる。
なんでそうトシばっかり・・口するわけ?
これまでそういうこと一切なかったってのに。
まだ言っても治療中。
つまりその担当医も二分割して連れていくことになるな、それぞれ。
その手配もさせて、二人そろって同じに日に出かけることになった。
空港で・・・
「トシ・・何かあったら必ず連絡してよ?絶対一人でどこにでも行くなよ?」
「うん。心配しないで。ヨシキも、元気でね。」
・・・
「ありがと。またね・・」
「うん!またな。」
・・・
・・
方や泣きそうな笑顔・・方や屈託のない素直な笑顔・・
そして熱い抱擁・・・友情の証・・
いいんだけどね・・・そう長い旅路に出るわけでもないんだって。
言っても1か月もないのよな・・・それでこれ・・。
一体何がどう変わったらこうなるんだよ。
全く理解できない二人に、俺が付いていけない。
『仲良くなりましたね。』
『最初から素直になっていればよかったんですよ。』
・・そういうことなのかもしれないけど・・なんか違うような気がしなくもない・・。
トシにとっては・・これこれで息がつまりそうな状況ではあると思うんだって。
朝から晩まで一人になる時間がまたもやない!
いつか逃げ出したりはしないかと・・不安になっていた。
だけどそれはなく、無事に仕事完了!
LANに戻ってきた。
ヨシキより一足早く。
ただ・・気が抜けると・・ってやつだった。
『大変です!トシが見つかりません!!』
!!?なにぃ~~?!
本当に突然だった。
実はトシに休暇を出してた。
その間・・夜はセラピーがあるんで絶対家にいろとは言ったが・・その間にまさかどこかへ行くとも思わなかったから・・何も言わずにいた。
出かけるときは声をかけてね・・って言っておけばよかったなぁ・・・。
俺が失敗した。
ダメもとで会社から支給した携帯に電話。
「・・・」
・・・
・・・
あ~~~!!出ねぇのかよ!!
一体どこをほっついてんだ・・アイツはぁ~~!!
『どうしましょうか・・まさか!!日本へ帰ったなんてことは・・』
『・・・?パスポートが俺の元にあるんだよ・・トシのやつ自分から預けに来てた・・帰国はないな。』
『では・・』
『・・・う~ん・・それが分かれば苦労してないの!!』
トゥルルル~~~トゥルルル~~~
・・!?
『ハイ・・』
『あ~~・光ちゃん!!電話あったからかけたの。どうしたの?』
ミツ兄?!
何もなかったのか‥それとも何かあったのかもわからないいつもの明るい声。
「今大丈夫なの?どこにいるの?何があったの?」
『今ねぇ~・・温泉に来てるの。それで・・マッサージ受けてて電話に出られなくてさ、今終わったの。これから帰るね。』
・・・何を言い出したかと思ったら・・・
スパに行ってただとぉ~~!?
休暇中だよ・・確かに!!
だからって・・・何も言わずに行くとは・・いい度胸してんじゃねぇか?
「今すぐに帰ってこい!!」
「あ・・うん。わかった。急いで帰るね。」
まったくぅ~~・・・何しでかすかわかったもんじゃねぇ~~・・
慌てて、社長室に来たトシ。
「なにがあったの?大丈夫?」
バカだ・・・こっちが心配知ってんだよ。
「あのなぁ~!」
「!!はい!」
緊張のあまりびしっと姿勢を正したトシ。
「・・心配させんなって・・どこ行ったかもわからなくなってみんな慌ててたんだから。」
「・・ごめんなさい・・」
本当に素直で・・表情そのものがくぐもっている。でも!スパ言ってきたんだってのが全身で分かるほどの、艶々感がにじみ出てた。
「・・これからさ・・出かけるときは、休日でもあってもちゃんと言って?怒ったりしないから。」
「はい。」
「好きなの?」
「え?」
「スパとか、マッサージとか。」
「はい。好きです。」
・・・どうやって受けてんだろう・・・
「何時から?」
「え・・・前から・・日本では受けたことなかったけど・・こっち来てから・・英語の先生の一人がそういうの好きで話を聞いているうちに俺も。」
「それってさ・・相手は女性?」
「そう。」
「裸?」
「うん。」
「全裸?」
「そうだけど。」
・・・・恥ずかしくないの?
なんで普通に受けてんの?
「緊張とかしない?全裸みられてるんだよね?」
「・・全然。気持ちいいよ?」
・・・そうなんだ・・
どうやらミツ兄は・・人が持つ感覚の何かがずれてるらしいということが分かった。
「痴漢されてるわけなじゃいんだからそんなに心配しないでよ。」
!!!?
なに?!
今とんでもないことを口走ったぞコイツ!!
「はぁ?!なんて言ったんだ?」
余りのことで頭がぶっ飛んだ。
「だから痴漢されてるわけじゃないって。」
「・・あったのか?それは・・」
「あった。昔だよ・・?まだ・・都内に出て気ばかりのころだと思うけど。」
これ・・・兄貴に言ってみろよ・・殺されるどころでは済まないんじゃないの?
気が付いてないとは思うけど、今の兄貴は・・恐らくトシに夢中になってる。
これも言えば殺されるけどな。
「・・・はぁ~~いろんな意味で、お前は一人になるな。家の中でだけ、一人でいろよ。頼むから。」
「・・うん・・」
俺だって、ミツ兄が一人で入れない環境を作りたくないんじゃない。
だけどそうしないと、色々危険なの。
特にミツ兄・・こいつは人を疑うことを知らない。
誰も悪者にしたくないんだってすごくよくわかる。
これまでの足取りを俺なりに調べた結果がそうだった。
本当に優しさで仕事をしていた。
これはトシにとっての大きな武器だけど・・それを攻撃に使うことを全く知らない。
だったら、こっちで守るしかないんだって。
そこを・・どうか分かって。
これ以上傷ついてほしくないってのは、俺自身の想いなんだよ。
「ニィ兄が戻って来たら、トシは自由に動ける。それまでの間だけ、うちの会社の方針に従ってくれよな。」
「うん。ごめんなさい。」
「それで・・仕事の話だけど・・興味あるの?」
「え?!」
仕事の話と分かると急に表情が明るくなった。
”辞める気ないだろ、アイツ。”
ニィ兄の言葉・・本当だわ。
辞めれないんだ。
まだまだたくさんやれること、たいこと見つけたいんだね、ミツ兄。
だったら・・
「老人ホームとか、養護施設とか・・」
「うん!障碍者の学校とかに行って歌うたったり、皆で工作したりして楽しかったんだ。あとは老人ホームでも・・介護を受けている人も介護している人も楽しんでくれて、俺、嬉しかった。」
「またやりたい?」
「!!いいの?できるの?」
本当に好きなんだな。
「日本ではないけど、こっちでできる。やってみる?」
「うん!!」
・・・本当にこれが・・4歳上の人間の顔なの?
年齢間違えてない?
何故か俺がドキッとしてしまった・・・。
その話の交渉でいろいろ回ってもらったら・・次々とまぁ・・・
いつ終わるのよ・・これ・・というため息しか出てこない量の仕事が。
これ・・全部めぐってたらそれこそ一生仕事してんじゃないの?
絞るしかないな。
どうやって決めたらいいか・・・。
最初に言っとくんだったわぁ~~・・先着何件とか。
見てるだけで疲れてきた。
そうはいっても・・やっぱり調査は必要だ。
危ういところからもお声がかかるとそれはそれでまたもや危険だって。
あの一件で、トシが一番傷ついた。
でもそれは・・俺たち自身に降りかかったことだったんだ。
”この世界を甘く見るな”って言う危険信号。
何から調べたらいいの?
頭がおかしくなってくる。
『社長?今よろしいですか?』
『はいよ』
『・・・何ですかこの散らかしようは。』
『・・好きでこうなったんじゃねぇよ!来たんだよこれだけの量が!!』
『・・・呼んだんですよね・・ご自身で・・』
『そうだけど。』
この秘書・・率直に言いやがって。手伝う気もないくせに。
『その資料の処分で困っているようなので、こちらである程度まとめて、詳しく調査したところから、ピックアップしていますが、いりますか?こちらの資料。』
『!!あるなら先に出せよ!』
『機嫌が悪かったので、お話したくないのかと思いまして。』
悪かったな・・・何性格悪いのは俺に対する八つ当たりなわけ?
毎度毎度・・突っかかってきやがって。
『それと・・トシが車を明後日出してほしいとのことで連絡がありました。またどこぞのスパにお出かけになるそうです。今度は、ちゃんとおつきの方も同行させてほしいと。ですが出来たらそういう所が好きな方にとのことでした。』
・・・わかってるな・・・ただ待たせてるんじゃいくら仕事でも辛いだけだ。だったら・・興味があるやつが付いてきた方が気兼ねしないのはお互い様になる・・・。
まったく・・気を利かせたから一人で出かけたのか・・ミツ兄。
アンタって人は・・・。
『誰が好きなの?そういうの・・俺知らないけど。』
『・・・ご自身の会社のスタッフのことも知らずにいるからこういう資料処理で頭抱えるんです!』
それだけ言って出て行った秘書。
一体なんだってんだよ・・。
side:Toshi
・・・どういうことなの・・これ・・なんでこんなに人が来てるの?
一体どこ行くの?
今日は・・俺は休みで・・夕方にヨシキが戻ってくるらしく、今後の打ち合わせで会社に戻ることになってる。
だからその間・・ゆっくりと・・スパに行こうかという話を・・したんだよね・・確か・・光樹社長に・・・。
それが・・なんでこんなに大人数?!
俺はヨシキじゃないんだよぉ~~!
大人数で大移動なんて望んでねぇよ!!
『トシ?ここのスパからここまでのスパ・・行ってみませんか?』
『行く所ならもう決めてる。』
なんだ・・案内の為に・・でもこの人数は必要なの?
『それが・・これ・・系列店で、3店舗回るとお得なんですよ?返金されるんですから。』
え?!そういうのがあるの?
『ポイント還元です!』
ポイントなんだ・・・なんか面白そう。
『次行くときにこのポイントでお支払いができますよ?』
・・・ま・・場所的にここから近いし、今後・・ポイントでお支払いできるんだったら・・その方がお得かも。
いいなぁ・・それ・・
『でもさ・・なんでこんなに人がいるの?』
大型ワゴン車・・10人乗りの車一台で移動って・・・撮影じゃないとつかわないだろうが。
『皆行きたかったんです。そのために有給取ったんですから急遽。』
・・・!!!!
はぁ~~?行ったのは一昨日の夜・・・
この人たち・・・急な休みを・・・振り回されてる人が・・この人たちと同じ数だけ・・・大丈夫かよ・・この会社。
今頃不満殺到してんじゃんねぇか?
”本当は私休みだったのに!”とかなんとかかんとか・・。
その責任・・・俺が追うことに?!
どうやって謝罪しようか・・・。
『青ざめてますけど・・・大丈夫です?』
『車酔いですか?』
・・ヨシキの会社のスタッフさんたちは・・ヨシキ並みにぶっ飛んでた・・。
「で・・どうだった?スパ、楽しかった?」
「・・あんな人数休ませて・・会社平気なの?」
「・・ああ・・ヨシキいなけりゃあんなもんだよ。」
「へ?!」
「ヨシキいないと動けないのよ・・つまりほとんど休み。」
会社に来て、今日の報告・・・。
必ず。
例え休みだったとしても・・光ちゃんは夜になると連絡をしてきて、俺が出ないと・・ものすごく不機嫌になりながら”心配してんだぞ!”っていってくる。
まるで本当家族みたいに、俺のことで真剣になって怒ってくれる光ちゃん。
俺は・・人に囲まれて仕事するのは慣れないけど、こうやって誰かが心配してるんだったら・・安心させてあげたいな。
「アイツら全員そのまま空港か?」
「そう・・迎えに行ってきますって・・あんなにいるの?!」
「連れてくる人数がそれと同じだけいる。」
・・・!!!
いつの間にそんなすごい人になってるたの?!ヨシキ・・。
どんどん遠ざかっていくのは分かるけど・・本当に見えないところに言ってたんだ・・。
「・・凄いね・・・ヨシキ・・」
「あのな・・・落ち込んでどうするよ?そうさせたの、あんただろ?トシ。」
・・!!?
「俺は何も・・」
「バカか?!」
!!?なんてこと言うんだよ。
「あれだけの人気を集めたのは、トシがそうさせたからなんだよ。もっと自信持てよ!これからヨシキが向かう所はとんでもなく広くてデカい場所なの。トシの声があるからそこに行ける。」
「・・・俺は・・」
ヨシキは・・
”世界を目指す!”
・・そう・・世界で世界と戦おうとしてる・・。
連れて行くって・・そういったけど・・俺・・連れてかれてるだけなんじゃないか・・?
「俺は・・皆が言う通り・・ヨシキに付いて行ってるだけで・・」
「!!?なに?!それ・・!!なんで・・トシ!!まさかお前週刊誌読んだんか?」
「え?」
立ち上がった光ちゃん・・かなり興奮してる・・けど・・なんで?
「なんでそんな情報知ってんだよ?どこから仕入れた?誰がお前に話したんだ?」
え・・あ・・え・・???
なんで怒られてるの?
『おい!誰か来い!!』
電話とってすぐに人を呼んだ光ちゃん・・。
物凄い剣幕で、社長室に入ってきた人に対して怒ってた。
早すぎて聞き取れない・・・。
なんでそんなに怒ることがあるの?
俺何したの・・・
「・・ちょっとぉ~・・何この雰囲気の悪さ・・トシビビってんじゃないの?」
「兄貴!!ヤッベェ~~・・・」
「やばいのは、お前の頭ん中だろ?怒るのはいいよ。トシを返してからにしてもらいたいんだけど。」
・・・俺がいるといけなかったの?
俺・・・先に帰ったらよかったの・・。
出ていいって言われてなかったから・・タイミング分からなかった。
どうしたらいいんだろうか・・・
『あの・・だいじょうぶですよ・・俺・・何も気にしてないので。』
『・・ごめんなさい・・本当に・・週刊誌・・置いておいたのがいけなかったんです・・』
・・・読んでなかったんだけど・・ここの週刊誌。
でも・・かなり濃い噂になってたんだ・・。
俺が日本にいた時に。
ヨシキが作り出す音楽に・・うまく俺が乗れていないという評価はされてて、ただ乗せられているだけどということは言われ続けてた。
それがヨシキの耳にも入ったんだろう・・当然その流れを変える動きに出たものの、俺は・・ついて行けなった・・。
そんな雰囲気が悪くなる一方だったから、メンバーもやめていって・・俺・・なんの役にも立ってない・・
このメンバーの存続になること・・何もできてんかったんだ・・
”世界に連れて行く”
・・あんなこと言ったのに。
全然できてない・・。
『もういいよ・・仕事戻るなり帰るなりしなよ。お疲れ。』
ヨシキの声で我に返った・・
呼び出されたスタッフさんたちがぞろぞろと部屋を出ていく。
「トシは、俺が連れて帰る。それでいいよね?」
「ああ・・ただし!下手に情報を入れさせるな!」
「はぁ?何言ってんだ?」
「トシがあんたの付き人って情報・・トシが知らないようにさせろよ。これ以上変な噂に惑わされないように。」
「・・・!!!誰が俺の付き人だよ!?こいつは俺にとって大事な素材なの!!」
・・・
「・・・おいおい・・それ・・もっとひどいこと言ってるって自覚ある?」
「高級素材だけど?悪いの??」
「・・もう・・いいや・・お疲れ・・気を付けて帰ってね。」
!!!ヨシキ・・今・・高級素材だって・・俺の事言ってくれた。
「・・全く・・いちいち気にしすぎなんだよ。光樹のやつ。いくら何でもたかが世間の声だろうが。俺の言葉じゃないってんだよ。トシも!!」
!!?ビクッ・・!!
「なんでそう誰かの声に引っ張られなきゃいけないの?気にしなくていいあんなの!!好きに言わせておけよ。言いたいだけなんだから。」
「だけど・・でも・・だって・・」
「だけども、でも、だってでもないの!!俺だけでいいじゃん!ほか気にすることなんて何もないじゃん!!」
!!!凄いこと言ってる。
エレベーターで下に降りて・・駐車場・・
声が響き渡る中・・これを言ったヨシキ。
まるで・・・なんていうか・・聞く人が聞いたら誤解するような言葉を堂々と放った。
「・・近々、日本から新しいメンバーが顔を見せに来るから。」
「探したの?もう見つけたの?!」
「・・・そう・・。」
そうなんだ・・・もう・・見つかったんだ。
凄いな・・ヨシキ。
流石顔が広いんだ。
「時間かけずに、良く見つけてこれたね。他にも仕事してたんでしょ?」
「・・・そうだけど・・まぁ・・こうなる予定はしてたんだろうな・・向こうも。すぐに話は付いたよ。」
ますます凄いな。
新しいメンバーか・・・
「今度は・・離れて行かないメンバーになるといいね。」
「!!?」
「ヨシキ!!前見て!前!!」
「あ・・ああ・・。」
危なかったぁ・・・。
急に俺をじっと見るから・・俺もついヨシキから目が離せなくなったけど・・赤信号じゃんかったんだよ・・走らせてる最中だったんだから。
でも・・・なんであんな表情したの・・?
驚いたような・・・懐かしんでるみたいな・・なんて表現していいかわからないけど・・嬉しそうだった気がする・・。
でも・・そうだよね・・
もう失いたくないよね・・どれだけ頑張ってやってきても、みんないなくなっちゃうんだけど・・ヨシキの実力についていける人たちが集まれば絶対離れてなんか行かない。
ちゃんと作れるよ。
ヨシキのバンド。
俺はそう信じているから。
side:Kohki
ヨシキがトシを連れて帰った。
まさか・・巷の噂を耳にしているなんて思いもしなかったトシが。
どこで仕入れたのか・・と言えば・・恐らくあの会社をダメにしかかっているあたりだろうな。
あの元社長が・・恐ろしく・・あちこちにミツ兄を連れ出していた。
その頃には・・残念だけど・・知っている奴らは知ってたんだ・・
トシの仕事が・・減っていることを。
だから・・・軽くそういうことを口にする連中もいたってことになる。
全く次から次へと傷跡残させやがって・・。
根に持たない性格だけに、一度無くした自信を取り戻すのは、難しいんだってのに。
そこへ電話が・・
『はい・・』
【ア~光樹かぁ?】
ニィ兄・・・。
凄いタイミングで連絡が。
丁度声が聞きたくなったところだった。
安心するこの感じ。
兄貴よりもニィ兄が頼りになるこの頃だって。
【今時間いいか?】
「ああ・・いいよ。どうしたの?」
【・・連絡しようと思っててなかなか時間取れなかったんだが・・一月ほど前かな・・トシのセラピーを担当しているって人が来てな・・俺を訪ねて。】
ああ・・その話か・・
それなら聞いている。
「それでどうしたの?」
【子供の時の話とか・・プロになる前の話とか・・俺に訊いてきたんだけど・・俺はうまく答えられなくて・・特に・・プロになる前のあの頃は・・俺はすでに大学も一人暮らしで、そのあとNYにいってんだ・・アイツにとっての思い出なんて・・】
「でもさ・・そんな中にもあったんじゃないの?ミツ兄にとって・・大事な思いで。それを・・ニィ兄なりに探せたんじゃないの?」
【それなんだけどよ・・俺・・余計なことを言ったかもしれん。】
・・珍しい・・ニィ兄が余計なことって・・
「何を言ったの?」
【・・・それがぁ~・・・兄貴との思い出の話・・】
・・・
・・・
マジかよ・・・
けど・・切り離せるわけもない。
家族なんだよ・・血のつながった。
ミツ兄にとっては・・本当に兄孝行をしたいと・・そう考えたから・・社長就任させたんだ。
それくらい大事に思ってるんだよ。
それでも・・そのことで・・治療に何らかの支障が出たら?
・・・でも・・もう話したんだよな・・ニィ兄は。
「聞いていい?イチ兄の・・どういう話を?」
【・・葬式前に・・霊安室で・・ミツを一生懸命に慰めていたのはイチ兄だったんだ。】
・・そういう想いでか・・・。
【目の前で・・あんな悲惨な光景を逃さず見てた筈のミツは・・泣きもせず・・しっかりした表情で、父さんを見てた。】
泣かなかったってのは・・俺のお母さんからも聞いてる。
誰もが心配したんだ・・ミツ兄の心がどこかに言ってるんじゃないかって・・。
それくらい・・ミツ兄は泣いてなかった。
【けど・・あいつ・・誰よりも強かったんだよ。誰よりも優しかったんだ・・そんなミツを見てて・・兄貴は・・どう思ったのか・・泣かせようとしててな・・】
・・・はぁ?!
頭が一瞬真っ白になった。
なんだそれ?!
「なんで?」
【・・俺にもわからんが・・一つは・・弱みを見せてもいいだろうという兄心かもしれん・・もう一つは・・何があっても泣きもしない弟への嫉妬心だろう・・どちらかわからんが・・どちらもあるだろうがな・・。】
・・・分からねぇ・・・
ミツ兄の兄ちゃんが・・わからねぇ・・・
よくその中で生きてこれたな・・ミツ兄。
おかしいのはそのイチ兄じゃねぇか!?
「・・それで・・・ミツ兄は・・?」
【兄貴に何されても泣きはしなかったんだ・・けどよ・・俺が・・兄貴と口喧嘩しようものなら、泣いて止めに入ってな・・】
・・・やっぱり・・・ミツ兄って・・・強いな・・・
【”誰も悪くないんだからケンカするな”って・・俺は無理やりにでも中惣としている兄貴を止めたかっただけなんだが。それがケンカに発展したんだ。】
だろうな・・ミツ兄は、自分が攻撃されても気にしないんだ・・。
別の誰かになれば・・・
あ・・そうか・・・ヨシキもそうだった・・・
兄貴が体が弱くて・・まだ体も細くてミツ兄より小さかったころにからかわれてて・・それ・・・庇ってやり返してた・・わ。
ふっ・・・ほんと・・・何も変わってないじゃんか。
「ニィ兄・・それ・・言ってよかったんだよ。」
【でも・・イチ兄のことは・・】
「そこがメインの話じゃねぇだろうが。大事なのは・・ミツ兄って人間の本質なの!それがちゃんと伝わってるはずだよ。あのカウンセラーには。」
【そうか・・・それなら良かった。ミツの様子はどうだ?元気にしてるか?日本帰りたいとか言ってないか?】
・・・やっぱり心配してる・・・ほんと・・兄貴だわ。
【まだ・・向こうの状態が安定しないんだ。会社ができたら連れて行ってやろうって思ってるんだが、俺もまだ有給分がな・・】
「分かってるって。大丈夫。日本のことは何も言ってこない。こっちでも楽しいことを一つづつ増やしてんだよ。これまでスタッフたちと交流を持つ余裕もなかったんだけど、ヨシキが仕事で帰国してたんで、スタッフの手が空いた序でにトシと出かけさせた。それで交流ができて楽しそうにしてたよ。」
【ほんとかぁ?!よかったぁ~~!アイツ仕事とプライベートは完全に分けるタイプだから、友達出来ねぇんじゃねぇかと心配してたんだ。】
・・まったく・・・過保護な兄貴がいたもんだ。
ただ・・・そうなるよ・・あんな純粋無垢な人間が弟ならな。
「心配すんなって。ちゃんとミツ兄のこともうちの兄貴同様に面倒見るから。今は仕事に集中して。また何か報告することができたら俺からも連絡するからさ。」
【ああ・・助かる。じゃぁな。】
「ああ・・ありがと。」
正直言えば、まだ気を抜ける状態じゃないのは確かだ。
あの拉致された検体の人たち以外にも実は早急に脱出している人たちがいるんではないかというんで、探し回っているマスコミ業界がいる。
落ち着くまではトシを一人にはせておけない。
って・・・きつく心に決めたところでこれかよ・・・
”大変です!早く来てください!!”
という内線一本でスタジオがある階へ降りて行ったら・・・
「違うっての!ここをもう少し・・」
・・鬼指導・・って・・
これは逃げるのもすぐだろうが!!
全く・・・戻ってきてすぐにこれってどういうことだなんだ?!
なんでこうも・・
状況は聞かずとも理解できた。
問題は・・
『この語のスケジュール・・どうなってんだ?』
『それが・・BOSSがしっかり書き変えまして・・』
そんなことはこの状況で分かる。
どう書きかけた・・か・・って・・・あほか!?
これ・・こなせる人間いないって!!
ずっとスタジオにこもりっきり!!?
いつ帰るの?いつ休み??
誰が給料払うと思ってんだ・・ここのスタッフが帰れねぇって・・
しかも・・治療までここ?!!
『一体全体どうしてこうなってんだ?』
『それが・・・』
事情を聴いて驚かされた・・・
いうなと言わなかった俺が悪いかもしれねぇけど・・・
一人でどこかへ行ってしまったことをヨシキに話したスタッフがいるらしい。
うっかり口を滑らせたとしか言いようがないと思うんだが・・それが兄貴には癇に障ったんだろう・・仕打ちがこれ。
ミツ兄が居た堪れない・・・。
「だから!ちがってんだよ!!ここで切るの!ここで伸ばすの!!掠れるのこっち!」
・・・はぁ・・・どうしたものか・・・今何か言えば絶対に怒鳴られるのは俺なんだけど・・
”俺が兄貴とケンカになると”誰も悪くないんだから”って止めるんだよ”
・・・ミツ兄・・・
「ちょっと失礼するよ!兄貴!!」
「うるさい邪魔!出てけ!!」
「いくら何でもやりすぎ!まだメンバーもしっかりとできてないんだから何もそこまでしなくても。」
「レコーディングに時間かけ過ぎって行ってんのはお前だろうが!だから早めて練習させてんだよ!!なんか文句あんの?」
「缶詰にするほどの事なの?!まだ時間はあるだろうが?できたからってすぐにこんな・・横暴だってんだよ!!」
アッぶねぇ・・”監禁”って思わず言いそうになった・・。
これは禁句だ。
下手に記憶を呼び覚まされても困る。
「どこがだよ!俺の曲なの!俺の歌なの!!トシは言うこと聞いてればいいんだよ!絶対売れるから!!」
「言ってることは真っ当だわ。やってることが大問題だってんだよ。」
「お前に関係ないだろうが!!」
「あるよ!!うちの会社だよ!!ブラック企業じゃないの!!」
!!!あ・・まさか・・
気が付いたらすでに遅し!
なんてこと言ったんだよ・・。
「・・ケンカしないで・・ちゃんと歌えるようになるから。だから・・ヨシキ怒らないで。光ちゃん、悪くないよ?」
・・・止めに入ってきたんで・・俺は言葉間違えたと・・そう思って焦ったら・・俺以上に息を飲んで・・俺たちのケンカを止めに入ってきたミツ兄・・。
「光ちゃんもごめんね。俺が上手くできないから・・巻き込んでしまって。」
落ち込んでる・・・凄く落ち込んでる・・・。
えっと・・・こうなってるのは・・兄貴のせいだって・・みっちゃん・・思ってもいいんだって。
「もういい!今日は辞める!!」
そうしてもらえるとありがたいわ。
「・・」
どうしていいかわからなくなったトシ・・・。
”よし、やったぁ!休みだぁ”とは決してならない性格なんだよな・・この人は。
自分が悪かったと、心から反省している。
・・・
「気分かえて・・英語のレッスンでもしたら?先生来てるよ。」
「そうなの?!行ってみる。」
切り替えは早い!
全く・・スタジオで練習させたんだったら、英語レッスンは断っておいて欲しいのに、それもすることなく・・先生を待たせてて・・どうするんだよ。
兄貴のやつ・・。
まぁ・・気分転換にはいいか・・トシの。