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厚労省の医系技官インターンが楽しすぎた話。

※内容に関して該当課の方に許可を頂いています。

こんにちは。救急が好きな医学生、まっすーと申します!
2022年8月の約2週間、厚生労働省でインターンさせていただき、それがもう楽しくて楽しくて、シェアハピしたくなったので(あとは、応募したけど定員の問題で来れなかった人も何人か知っているので)初めてnote書きます。
なんかブログ的なものを書くのが初めてなので、読みづらい点等あるかと存じますが、どうぞ大目に見てくださいますと幸いです。。。あと長いです。5000字くらい。すみません。
これからは体験したこと、考えたことを等身大でできるだけ残せたら良いなぁ。続くかわからんけど。
あ、もちろんですが所属機関等を代表する発信ではないです。

前泊の夜に、どうしても行きたかった森美術館に。かなりセンシティブなものもあったけど、いろんな意味で考えさせられました。

インターン前に思っていたこと

私は医療現場、特に救急医療が大好きでよく見学などをさせていただいていて、そこで感じた違和感や課題などをTwitterの救急アカウントに残しています。現場が本当に大好きで、救急外来(医学生としての実習や見学はもちろん、救急外来での看護助手バイトや救急車同乗実習も楽しすぎました)にもよく入り浸らせていただいています。
ですが、課題や改善策を考えているうちに、現場の努力の限界というか、システムから変えないとどうしようもない部分が多く見えてくるようになりました。
そこで、このシステムは一体どのようにマネジメントされ動いているのか、どんな人が動かしているのかを見てみたくなり(あわよくば、どう変えられる余地があるのか考えたくなり)、以前からお知り合いの医系技官の方にインターンをお願いしました。

医系技官とは
人々の健康を守るため、医師や歯科医師の免許を有し、保健医療や公衆衛生に関する専門知識をもって、制度作りの中心となって活躍する行政官のことです。

厚生労働省 医系技官採用情報

インターン前の気持ちとしては、国の方針を決める厚労省というところでは、どのような概念・パワーバランスでどんな議論、意思決定がされているのか、働いておられる方々のリーダーシップはどのようなものなのか、スピード感などを見てみたいというものでした。自分が医系技官になりたいかどうかを考える材料集めの側面もありました。
あとは正直に申しますと、どんな効率の悪さ・過酷な働き方なんだろう(眉間にシワ)という思いもありました…
周りの人からはあまり良いウワサは聞かないし…
本当にごめんなさい…後にこの偏見は(多少)ひっくり返ります
そんなこんなで、厚生労働省 医政局 地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室(通称「救急室」。正式名称誰も覚えてないらしい)に配属していただき、インターンがスタート。

霞が関…!でかい。テレビでしか見たことなかった建物が本当にあったんだとかいう田舎者の薄っぺらい感想を抱いて、いざ!

インターンの中身

概要

期間は学生と受け入れ側の都合を調整して決めるのですが、もともと私は7営業日(?)のインターンでした。ですが楽しすぎて延長をお願いしたところ、なんとお許しいただけることに…!本当に大感謝です。結果的に11日間というちょっと長めなインターンになりました。
大まかには、前半は会議の傍聴や先生の講義等のインプット、後半は学びと提案を発表する最終日のプレゼンを作成するアウトプットでした。

体験したこと

建物の中は思ったより「ザ・オフィス」って感じで、PCとモニターと固定電話と大量の資料に埋もれたデスクがフロア中に並べられていました。
産休・育休中でいらっしゃらない先生の机を貸していただき、会議等を傍聴させていただいたり、救急室内での議論を横で聞かせていただいたり。
詳しい中身は言えませんが、国家の政策レベルの議論を間近で見せていただけて感動でした。会議メンバーの決まり方、議論の回し方、意思決定の仕方など全てに理由があり、確かになるほどと思うものも多かったです。

また、地域医療計画課の先生方が 1 on 1 で講義&ディスカッションをしていただいたのですが、皆様お忙しいのにも関わらず、質問が出なくなるまで真正面から向き合ってくださいました。大好きな救急医療や災害医療、地域医療などについて、実際に厚労省で働いておられる先生方とディスカッションさせていただけたことがとにかく幸せでした。
そこでは、自分が考えている理想は他の人の理想ではないこともあり、様々な立場の主張がある中で、長期的な目線も入れつつどうバランスを取るかという視点がすごく新鮮でした。

このあたりから、もう私の目はずっと輝きっぱなしでしたね。私が普段から考えていることを、もっと真剣に、超現実的に考えている、圧倒的に先を行く大人がいて、その議論がここで行われている。
その事実に、「あぁ、自分はまだまだなんやなあぁ〜〜〜」と打ちのめされながらも、ワクワク興奮しっぱなしでした。

見せていただいたもの一覧

最終日には、救急室の先生が体調不良でダウンしてしまい手が足りなくなってしまったようで、資料作りを少しだけお手伝いさせていただきました。
数十秒で指示をもらい、議員の方への説明などに使われる資料を猛スピードで仕上げる体験は、冷や汗が出そうでしたがものすごく貴重な経験でした。

プレゼンしたこと

厚労省インターンでは、一定期間以上インターンしている学生は金曜日、学生どうしで見たこと、学んだことなどをシェアするなんでも発表会があります。
私はせっかく厚労省の中に入らせていただけるなら、自分が考えたことがどこまで通用するかやってみたい、あわよくば先生方が社会をより良くする思考の材料を置いて帰りたいと思ってしまったので、ガチプレゼンをやってしまいました。もはやピッチ。
準備期間はほぼ1週間でしたが、介護、救命士、救急医療、地域医療、そしてスライドデザインなど、それぞれを極めている先輩や友達、後輩に相談に乗ってもらいながら、なんとか形にすることができました。お手伝いいただいた方々、本当にありがとうございました。

第5回 救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループで言及されていた問題に着目し、高齢者施設からの救急搬送要請を適正化する(本当に必要な時にだけ使ってもらう)にはどうしたらいいか、課題と解決策をプレゼンさせていただきました。

救急室の先生方は、プレゼンの構成や中身などに関してたくさん褒めてくださった後(嬉し〜〜)、課題抽出や実行の実現性などに関してアツイ議論をしてくださりました。課題の構造や倫理、責任、他の事業との兼ね合いなどの観点からすぐに実行することは難しそうでしたが、準備期間1週間にしては、議論の出発点としては良いところまで行けたのではないか、と個人的には思います。
(とは言っても、実現レベルまでたどり着けなかったのが悔しい…!!もし次があるなら、もっと良いものを作りたいです。ウオオ)
あとは何度も言いますが、憧れポイント盛りだくさんの先生方と等身大で気が済むまで議論させていただけたのが、もうほんとに人生の財産で、何よりも幸せでした。こんな先生方が厚労省にいらっしゃるなら、日本大丈夫なのでは!?と思えました。

後日談ですが、もともとご紹介してくださった先生と救急室の先生とでこのプレゼンの話になり、お褒めいただけていたとお聞きし、嬉しすぎて気絶しそうでした。

感想・インターンさせていただいてわかったこと

まず言わせていただきたいのが、「官僚の皆様、いつも本当にお疲れさまです。国民のためにありがとうございます。」ということです。
ブラック霞が関』でも言及されていますが、確かに残業は多いし、一見無駄と思える作業も多い。遅くまで残られている方々を見て、やっぱり働き方はとても心配だし、改善されたら官僚の方々のパフォーマンスも劇的に上がるんだろうなと思いました。
それでも国民のことを思い、中央省庁で働く誇りを持って業務をこなされている官僚の方々を見て、「どんな効率の悪さ・過酷な働き方なんだろう(眉間にシワ)」とか思ってた過去の自分を戒めたくなりました。まあ事実なところもあるんですけど…。

あとは、「現場も大変、行政も大変」ということです。
昨今はコロナ第7波で医療現場は本当に大変な状況かと思います。医師、看護師、薬剤師、救命士、技師、ケアマネ、事務員さんなどなど、、現場の先輩方、本当に本当にお疲れさまです。
大変な現場を見て、「なんとかならないのか行政…」と僭越ながらに思ってしまっていた面があったのですが、厚労省の方々も本当に身を粉にして働いておられて、「あ、行政も必死なんだ」と思いました。
お互いにリスペクトしつつ、まだ足りないところは(頑張ってるとかの感情論とは切り離して)補填されていってほしいです…。

あと感じたのが、当たり前ですが「やってる人が一番すごい」ということ。
外部から行政や省庁の批判をされる方も多く、確かに的を得ている批判もあると思いますが、とは言うもののやってる人が一番すごいんだなと心の底から思いました。
完璧ではない政策、ステイクホルダーの構造や意思決定プロセス等を理解し、それでもこの部分は良くできる、この部分は時間はかかるけどこうしたら良いのでは、と日々膨大な量の業務をこなしながらでも考え続ける姿勢に感銘を受けました。

また、何でもかんでも(良く言えば)柔軟に(、悪く言えば一貫性なく)やればいいというわけでもないと学べたことも大きかったです。
コロナ対策などを見ていると、「もっとスピーディーに柔軟にできないのか」と思うところはあるし、私も思ってしまうタイプです。
が、柔軟派も慎重派も一長一短で、一概に決められない複雑性を目の当たりにし、また一つ思考が進みました。
柔軟派・慎重派に関して先生とお話していた時に紹介していただいた、ウィンストン・チャーチルの言葉が印象的だったので引用します。

「二〇歳のときにリベラルでないなら、情熱が足りない。四〇歳のときに保守主義者でないなら、思慮が足りない」
(If you are not a liberal at twenty, you have no heart. If you are not a conservative at forty, you have no brain)

Sir Winston Churchill

他にも見えたこと、思ったことはたくさんありますが、プレゼンの時にお蔵入りになったスライドで供養します。

感想を聞かれた時用の隠しスライド

最後に

昨年に新潟県庁にインターンさせていただいたのとはまた違った良さがあって(新潟もめちゃめちゃ良かったです)、中央省庁の解像度がかなり上がりました。
そして、長時間労働や日々の業務に忙殺されながらも、社会をより良くすることを考え続ける医系技官の先生方や厚労省の方々が大好きになりました。
もちろん改善したほうが良いところもたくさんあるとは思いますが、最大限のエール(わんちゃん加勢?)を送り続けたいです。
現場大好き人間なのは変わりませんが、自分のやりたいこと、実現したい社会のブラッシュアップをしつつ、目の前のタスクにも全力でアタックし続けたいと思います。日々精進!

医系技官に興味のある方は、こちらの公式サイトをチェックしてみてください!

最後になりましたが、ご紹介いただいた先生、調整いただいた先生、受け入れていただいた先生方、本当に、本当にありがとうございました。直接お伝えもしましたが、この場でも御礼申し上げます。

おまけ

地下1階にはセブンイレブンと食堂、文具屋さんや本屋さんがありました。お出かけや見学などをした時にはそこの本屋さんを見るのが趣味なのですが、政治や行政などに関する本が平積みされていて、さすが…!と思いました。
例の『ブラック霞が関』も平積みされており、「ここでこの本を手に取る人はどのくらいいるのだろうか…」と少し立ち尽くしたことを覚えています。

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