
山男の大根への想い
2024.12.01 農場通信 「師走」
昨日は車の窓ガラスはカチコチとなり、降りしきる雨には氷混じりの中、最後のカボチャの収穫を終えることができました。
収穫しはじめの10月末には、例年なら晩秋とでもいうころには、連日夏日であったことは、もう忘れてしまって、日に日に畑は冬支度をはじめています。
寒さが本格的となり、いよいよ野菜ボックスも体を温める根ものが中心となってきました。
ごめんなさい、虫食いだらけの秋の葉物を飛びこし、冬の根ものになっています。
ここ数年大根つくりが楽しく、奥深く、苦戦の連続がさらに情熱を掻き立てています。
大根は世界で500種類、日本だけでも100から200ほど地域独自の伝統野菜があるといわれています。
大根には自分たちで受粉して新しい品種をつくる性質があるので、地域の独自性の強い野菜です。スーパーには青首大根といって煮炊きに向く大根が主流でその他の大根は見られないので、ぜひ世界の広がりと地域の独自性を様々な種類の大根から味わっていただければ幸いです。
中でも日本人は大根が大好きなようで、世界の大根シェア90%以上を占めているといわれています。
おそらく、車でも精密機械でも世界のシェアをほぼ独占している商品はないのでは?と思いながら、世界の有機無農薬での大根つくりのトップランナーとして果てしない挑戦をこれからも続けていきたいと妄想、鼓舞しております。
先月号でも、お伝えしましたが、この夏から続く秋の高温、水不足で、多くの野菜が育てられにくくなりました。大根も1万本ほどは鶏の餌になりました。
1つ1つの作業を見直し、研究し、これから益々進んでいく高温化に立ち向かっていこうと思っています。
先週はお休みをいただいて熱帯農業が盛んな九州各地の農家の見学およびアフガニスタンでの乾燥農業の実践のお話を伺いに行ってきました。各々農家も我々以上に悲鳴をあげながらも、九州は本州より10年、アフガニスタンは30年先に高温乾燥現象に悩まされ、それぞれの工夫や挑戦を垣間見ることができました。一人の農家では決して解決できず、鍵となるのは、農家と農家の連携、農家の枠を超えた様々な知見や協働がさらに必要ではないかと思いました。
不格好や穴あきの野菜が続き、心苦しいですが、日に日に寒くなる季節に、少しでも体と心の芯からぬくもる滋養ある野菜を提供していきたいと思っています。
山口敦史