絶叫、エレキギター(雑記 2024.10.18)
梨本ういの曲を聞いていたら、涙がポロポロ溢れた。16歳の頃、くそ重いWindows Vistaのスローな動作を我慢しながらニコニコ動画で梨本うい(当時は梨本P)の曲を日夜聞きまくり、新曲を楽しみにしていた頃と何も変わらない。そんな30歳もあと半年で終わる。
いつだったか大学の同期が家に招いてくれたので、手土産を持って彼女の家に行ったことがある。自炊しているのかという話になり、「毎晩納豆ご飯だよ」と冗談めかして言った。彼女は生後半年くらいの息子のために離乳食を作りながら、「大学生のご飯みたいだね」と少し悲しい目をした。急に居た堪れなくなって、ごめん、そろそろ用事あるからと同期の家を後にした。
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いつ読めるのかも分からない書籍を数千円分ポンっと買うくせに、化粧品は買うか買うまいかいじいじと悩んでいる。そろそろいつも使っているファンデーションをやめて、もっと年相応のマット感のあるやつにすべきではないか……と思ったりするが、結局考えるのが面倒くさくなって、Amazonで安くなっていたクッションファンデーションを購入した。
ついでに本も買った。「布団の中から蜂起せよ」というタイトルのエッセイである。布団の中から蜂起せよ!素晴らしいタイトルだ。ロックである。手元に届くのが楽しみだ。
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本の話で思い出したのだが、私は「ここはすべての夜明けまえ」の話をここでしていただろうか?きっとしていないだろう。
といっても、大筋については特に触れないので各々読んで欲しいのだが、この小説内に主人公が夜中に何度も聴いた曲の話をつらつらとする箇所がある。そこにあがっていたのが、Orangestarの「アスノヨゾラ哨戒班」と「DAYBREAK FRONTLINE」の2曲だった。
主人公の彼女は眠れない夜にこの2曲を何度も聴いてだんだん明るくなっていく空を眺める。美しい朝焼けを見て、そういう時は「うまれてきてよかったとちょっとおもえる」。たとえそれ以外の時間、ずっと死にたくても。
「ここはすべての夜明けまえ」を読んでいる時はこの2曲を知らなかったのだが、本を読み終えてから、なんとなく気になってYouTubeで探して聴いた。曲を聴いた瞬間、小説の中の女の子は突然質感を持って私の隣に現れた。
私は知っている。眠れない夜。ボカロの機械的な歌声をずっと聴いていたら、だんだん空が白んできて、朝だな〜、そろそろ寝なきゃな〜、とぼんやり考える。そういう朝。
聴いていた曲も聴いていたプラットフォームも違えど、これはもうびっくりするほど同世代の質感だった。誤差±5歳。後から本をもう一度開いて計算すると1998年生まれの設定だと思われた。1994年の私より、4つ下。ほとんど同世代。もし彼女が現実にいたらすれ違っていたかも。カテキョのバイトで訪問する先だったり、そういうところに。いたかも。
なんだか突然そう感じて、彼女がすぐそこにいたように感じて、「ここはすべての夜明けまえ」は忘れられない一冊になったのだった。
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友人にEurovisonの話をしていたら、「本当に音楽好きやな」と言われてポカンとしてしまった。そうか。私は音楽が好きなのか。音楽を聴き続けることがあんまりにも当たり前なので、好きとか考えたこともなかった。最近はギターも弾かなくなっちゃったし。
ちなみに、Eurovison 2024のオススメはフィンランド。元気がない時にみてほしい。
非常にバカバカしいことをしているのだが、妙に曲も良くてクセになる。Forget the rules and scream!
上の動画でパフォーマンスをしている会場の舞台は、床がLEDパネルで映像を映せるようになっている。ドキュメンタリーを見ていたら、Windowsのロゴ付きTシャツを着た彼が、リハーサルで火花が出るやつを下に向けて振り回し、ちょっとパネルをダメにしてしまったようで、パフォーマンス変更を余儀なくされていた。考えてきたプランが直前で出来なくなってしまう悲壮感が漂っていたが、見ているこっちは「何してんねん」という気持ちが抑えられず、つい笑ってしまった。
いや、Eurovisonの話がしたかったのではない。
音楽の、というか、エレキギターの音の話がしたかった。
汚く歪んだエレキギターの音を聴くと、生きようという気がする。10代の頃、梨本Pの曲を好きになったのも、汚く歪んだギターの音と初音ミクの感情のないようなあるような掠れた歌声がすごく良かったからだ。
このところ、なんだかうっすら死にたい。死にたい、というか、生きていける気がしない。大気圧に負けて潰れてしまいそうな気持ちだ。
ニュースを読む。イスラエルによる虐殺は止まる気配もなく、目を覆うような現実が広がっている。Twitterを見ていたら、お店でアイスクリームを売るフリーザーのなかに子どもの死体が入れられていた。アイスを売る機械を、子どもの死体が腐らないようにするために使っている。顔を顰めた。ガザは更地になっている。
ロシア・ウクライナ戦争の死傷者が計100万人となったという見出しが目に入る。戦争は一度始まると簡単には終わらない。
突然、選挙だというので、何の気なしに各党の公約でも見るかと思ったら、自民党のところに「ルールを守る」と書いてあってアホみたいなこと書くなやと毒付いた。議論の出発点が低レベルすぎる。裏金問題のことを受けて書いているのであれば、政治資金こそ電子決済でも用いて自動で資金の流れをみえるようにする仕組みでも作ればいい。なんだ「ルールを守る」って。もしかして、こちらをバカにしているのか……?脱力する。
ため息をついてスマホを裏返す。ニュースを眺めて、一日一回はとにかくひどい気持ちになる。連日これをやっていると、なんだかじわじわと潰れそうな気持ちになってくる。
そういう時に、歪んだ汚い音のエレキギターを聴く。エレキギターはいい。怒り、反抗、おかしさ、切なさ、悲しさ、衝動。
誰かのどうしようもない気持ちがのった歪んだエレキギターの音が私の血を熱くしてくれる。まだ大丈夫、明日が来る。
梨本うい氏、これからも元気でいてくれ。
最後は永遠に貰いゲロしているだけの曲でお別れです。
同じ曲だけど、こっちも迫力があっておすすめ。