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マンモス

マンモス展を見に行った。
久しぶりに家族に会うと、父が「マンモス展やってる、ホテルの近くや」とヤイヤイいうので、そんなに興味はなかったのだが、暇だし見に行くことにした。

展示会場に入るとたくさん人がいて「みんな、マンモスとかいう謎の生き物にそんなに興味あるんか」と驚いたものの、私も列に並び粛々とマンモスと象の違いについての解説を読むなどする。マンモスの牙は象と違って大きく反っているらしい。確かに象よりも刺さると簡単に抜けず、追加ダメージを与えてきそうな感じだ。

最初の方は骨の標本ばかりで博物館にでも置いてありそうだな、と軽く見ていたのだが、後半は永久凍土から掘り出された冷凍標本が並んでいた。その冷凍標本がとても生々しさを残しているので驚いてしまった。展示のビデオによると、掘り出した後、マンモスの凍っていない血液も採取しているようだった。

それにしても、4万年前のマンモスの血液!
凍りついた大地で腐らず数万年の時を経て再び空気に触れた血液!
その悠久の時に目眩がしそうになる。4万年前!

しかも、血液から状態の良いDNAが採取できるかもしれないので、そのDNAを使ってマンモスを蘇らせる研究をしているというではないか。リアル・ジュラシックパーク。


それにしても、人間というのは変な生き物だなぁと改めて思った。生き物は基本的に遺伝子を次に残すための行動を組み込まれているはずだが、人間という生き物の一部の個体は、直接的には全く飯の種にならなさそうな「永久凍土を掘り返して数万年前の生き物を見つける」ということを嬉々としてやっている。

しかも、発見したものをたくさんの他の個体が見て「いや〜、これはすごい」とじっくり冷凍標本を眺め、「永久凍土すごいな!地球温暖化はよくない!」と感動する。変な生き物だ。

もしマンモスが復活したら生物学的には素晴らしい進歩だけれど、実際、誰かの暮らしが良くなるかと言われると、難しいところだろう。お肉も固くて、あまり美味しくないという噂である。

でも、こんなにワクワクするのだから、これは素晴らしいことなのだ(そして、この好奇心が人間という種としての遺伝子を残す鍵となったのだろう。だから、なんだかんだみんな調べ物が好きなのだ。化粧品でも健康食品でも鉄道車両でも、ジャンルは問わないが)。

効率よく、なんて号令をかける分野はつまらん作業だけにして、新しいことに出会う純粋な喜びを「そんなことをして何になるんだ」とか言いたくないな〜と思ったのであった。


最後まで読んでくれてありがとう。