月いち!オリ博オンライン講座「先史・古代南アジアの信仰世界」を見た
古代オリエント博物館友の会の会員になっている。
博物館本体には特別ごとに一回いくので精一杯だけれど、この月いち!オンライン講座が見たくて会員になった。
今回は「先史・古代南アジアの信仰世界」として、インダス文明前後の信仰世界の配信だった。
インダス文明は、独自の文字文化と神話を持つと考えられる文化だが、文字が未解明なため、土器の文様その他を含めて何だかよく分からない文明である。
考古資料というのは何かの結果として現在まで形が残された遺物である。
それを作り装飾し、壊すもしくは埋める、遺棄する……ようするにそれが作られて今日まで残る結果となった、そこに至る過程には言及しない。
当たり前である。
けれど、この過程こそが知りたい。めちゃめちゃ知りたい。
大変興味はある。
エジプト文明だって、シャンポリオンがヒエログリフを解読したおかげで劇的に究明が進んだ。
文字未解明時代のトンでも翻訳も面白かったけれど、それはそれ。楽しみ方のベクトルが違うのである。
閑話休題。
今回の講義では、主に土偶を中心に講義が行われた。
土偶の形の変遷、どんな風に形が変わったか、手で作る土偶から型で作る土偶への変化は技術の発達なのか、イコンとしての表現の固定が進んだのか。
インダス文明の衰退と土偶や神話的世界の表現の衰退について。
インダス文明の要素が残る仏教時代のレリーフの表象について。
逆に物だけでここまで分かるのがすごい。
もちろん文字が読めない以上、彼らの精神世界や思考回路を知ることはできない。
この先AIが発展して文字が解読された時、今までの常識がひっくりかえるかもしれない。
古代の人間がどんなに私たちと違った思考をしていたとしても、彼らは間違いなく私たちの文化の基に存在している。それがすごく面白い。
今はインダス方面まで手を広げることは難しいので、たまにこうしてオンライン講座や博物館の特別展なんかで「知りないな~」という思いを募らせて楽しんでいる。