独り言:「本が欲しいなー」と『デパートを発明した夫婦』

自由に本は買いたいし旅行もしたい、でも働くのは面倒くさい(一応現役の会社員です)。誰もが一度くらいは思うことではないでしょうか。

最近流行りのFIRE。夢のある響きですね。

働かなくても生きていける、自分の好きなことだけをして投資利益の4%内で生活をすれば一生資金は枯渇しない。
必要資金はだいたい1億円。
給与は無駄遣いをせず、必要最低限の生活費と生活防衛資金以外を投資しよう。

「老後の資金がありません」でも、「最強の早期リタイア」「ほったらかし投資術」(これは少しニュアンスが違いますが、ためになりました。)でも、必要なのは①無駄遣いをせず②低コストのインデックスファンドに投資をし③なるべく長く、金額を多く投資することです。

こういう本を読むとき、(私はこういう本を定期的に読みます)私の頭に浮かぶ本があります。
『デパートを発明した夫婦』(鹿島茂・講談社現代新書)です。

この本では、必要「だから」買い物をするという段階の後、欲しい「から」必要を「作り出す」段階へとシフトしたフランスの中で、デパートというシステムを発明した夫婦に焦点を当てて書かれた本です。

デパートの持つ人の欲を刺激するシステムと、そのテーマパーク的性質に熱狂する購買層の話が、“無駄遣いをする暇はありません”“貯蓄と投資とコストダウンが老後の安定と経済的自由への道です”という言葉を読むたびに、浮かんでは消えます。

なぜなら私は本が好きです。読まない本まで買い込み、本棚には積読本が並んでいます。

おそらくこれは無駄な買い物なのでしょう。でも、絶版が、品切れ重版未定が怖くてつい読める以上の書籍を買ってしまう。そして、馬鹿な事をしているという思いもありますが、本を買う事は私に幸せをくれます。

月の書籍費はだいたい2万~5万円……こう書くと本当に出費が多すぎますね。困りました。

古本は運悪く状態の悪いものを通販で買って喘息になりかけた上に皮膚科のお世話にまでなったので一年くらい買いたくないのですが。

だいたいのリタイア本は、夫婦2馬力での収入について書かれています。つまり、私のような独身者は人一倍不安です。
だから本を買いまくったり、旅行に行ったり博物館の企画展見たさに片道2時間かけて他県へ繰り出す前に貯蓄しなければならないのでしょう。

しかし、それでは面白くありません。若さは有限です。老眼で見る文字より近眼でも老眼でないときに読むん本のほうが面白いにきまっています。展示品もしかり。遺跡もしかり。
20年間必死にお金をためてFIREしたとして、そのあとに見た遺跡・展示・本に今と同じ感動を覚えられるだろうか、という不安もあります。

欲望と節制のバランスを取るのはとても難しいですね。

話はそれますが、『椿姫』が好きな人にもこの『デパートを発明した夫婦』や『パリ、娼婦の館』『パリ、娼婦の街』は楽しめるのでお勧めです。

あと同じ作者さんの『衝動買い日記』は衝動買いあるあるが盛りだくさんでとても楽しいです。

それでは良き読書ライフを。

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