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【読書記録】『さすがに日本は、戦争なんてしないですよね⁉ そもそも戦争ってなんですか?』を読んで考えたこと。

『さすがに日本は、戦争なんてしないですよね⁉ そもそも戦争ってなんですか?』を読んだ話をします(それにつけてもタイトル長っ)。

戦争とは何か、という問いに対する答えや、戦争の歴史、今現在の日本を取り巻く状況など、戦争をテーマにした解説本ですね。


戦争とは

普段生活している中で、戦争はどこか他人事だと思いがちです。
しかしいざ自国が開戦してしまうと、問答無用で戦争の高揚感に呑まれていくし、国家の手一部に組み込まれていく。私には関係ない、興味ないが通用しない。それが現実。

そんな戦争の本質は、興奮状態による破壊と殺人と、記されています。
正常な感覚が麻痺した状態での戦争は、歯止めはきかず、クラウゼヴィッツの戦争論もあっさり追い越して、テロリスト(犯罪者)なら殺してもいいという人権意識の崩壊も招いてしまう。

そんなことが、問答形式でわかりやすく書かれています。

「教えて、ウサもん!」と、白地に青のふちどりの生き物に振れば、懇切丁寧に解説してくれるわけですが、つい「教えて、ド〇えもん!」と言いそうになったので要注意! というか、今の今まで「ウサえもん」だと思ってましたよ……。いや、紛らわしいって。

戦争の歴史

そもそも歴史的に見ると、人類って戦争しがちな動物のようですね。
ヨーロッパの三十年戦争(1618年~1648年)後には「戦争することができるのは主権国家に限る」とするなど、戦争を主権国家の権利とみなすような部分もあったりと。

とはいえ100年も続いた宗教戦争終わらせたことで、各国は戦争を「無法状態にしない」道を探るようになります。
捕虜虐待の禁止や、民間人の殺害禁止、宣戦布告の必要性、などなど。

徴兵制導入のきっかけになったのがフランス革命ということも、ちょっと驚きでした。
手に入れた自由を守るために戦う義勇兵があまりに強いから、各国の指導者は、傭兵をやめて徴兵制に変えてしまう。傭兵は給料貰うために生き残ろうとするから、土壇場で戦うのをやめてしまうけれど、義勇兵の見返りは祖国を守ることだから、命懸けで戦う。だから強い。
それが支配者の主張。ああ、クソだな。

そんな徴兵制で二度の大戦を経て、ベトナム戦争後になると、今度は民間の軍事会社に委託するようになってきます。
国民に民主主義が根づいてきて、戦争をする意味を問うようになってきたから、そうそう国の思うように国民が動くとは限らない、ということでしょうか。(だいたい戦時熱狂で政府の支持率は上がるけれど、戦死者が増えれば支持率低下は免れないもんね)

自由の国アメリカでさえ、有事には政府がマスコミを管理下に置く、というのも、驚きというか、わかってたよというか……。
戦争は情報戦でもあるから、政府はマスコミを使って自分たちに有利な情報を流させようとする。まずい情報は抑える。
民主主義から最も遠い場所にあるのが、戦争ですね。(攻撃してくる方が100%悪いとはいえ、悩ましいところ)

日本人の戦争観

この本を読んでいて、ちょっと「あれ?」と思ったのが、第二次世界大戦の始まりについて。
読んでいくと、ナチ・ドイツがポーランドに侵攻した1939年が始まりのように書かれていますけど、1931年の満州事変は?

NHKの【3か月で学ぶ世界史】で、満州事変発端説を取り上げられていたので、どうかな~と思っていたんですが。
本書では、日中戦争は華麗にスルーされている模様です。

でもそれって。
日本人の第二次世界大戦観が、イコール太平洋戦争になってるんじゃない? ということですよね?
満州事変に始まる日中戦争を、どうも矮小化してるふしがあるし。
満州事変を起こさなければ、ひょっとして第二次世界大戦は始まらなかった? という点も、我々は真摯に検証しなきゃまずいんじゃないでしょうか。

ということを、読みながら考えておりました。

おわりに

今世紀に入ってから、憲法9条をなくしたい政権が続いており、石破氏も軍国化したがっている政治家ではありますが。

誰かがTwitter(X)で仰ってましたけど、日本の人権意識や民主主義って9条が支えている部分ってあると思うんですね。
いつでも戦争できる国になったとき、戦時意識に我々は抵抗できるのか?
個人の人権より国策を優先する社会になったら、庶民は「特権階級の人々」を守るための盾として使い捨てられるんじゃないか?

そもそも80年も戦争をしていない国で、歴史的に対外戦争の経験が少ない国の国民で、猿真似の軍国化が役に立つほど、国際安全保障の状況は生易しいものではないだろう?
輸入が止まったらどうなるか、の予測も対策も疎かになっているこの国で。

で、第二次世界大戦・満州事変発端説ですよ。
これに対し異論が出るのは承知の上で、それでも「戦力で国際状況を変えてしまった国」として、戦争とは何なのか、もっと考えなきゃいけないんだよと、そこは本当に思いました。

ロシアやイスラエルのやり方を肯定したくないし。
平和に犠牲はつきもの、なんて薄っぺらに言いたくもないし。
みんなの命と生活と自由と人権を守る、それがどうしてこんなに難しいのか。

そんなことを考えずにはいられない、秋なのでした。

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ほんのよこみち
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