[本のおはなしvol.27]「万次郎さんとおにぎり 」
9月最終日のおはなしは新米が楽しみなこの時期にぴったりなこちら
『万次郎さんとおにぎり』
息子の通う保育園の絵本図書室で、表紙のおにぎりくんに一目惚れ!
そして息子との絵本タイム、声に出して読んでみて驚きました。初めて読むのにスラスラと読める…どうやら発声が楽なのです。読み聞かせをしていて、発声し易いと感じたのは初めて(笑)。言葉選びのおかげか、それとも私の声帯と昔話風の(四国の方言らしい)語り口調がハマったのか、なぜでしょう?そしてこれは私だけ?ぜひ皆さん声に出して読んでみてください。
実りの秋、万次郎さんは収穫したお米で10個のおにぎりを作ります。するとおにぎりたちが…!
「おむすびころりん」のようにネズミや欲の深いおじいさんは出てきません。おにぎりになれて嬉しい10個のおにぎりと、おにぎりたちを空から見守り育てたおてんとさまと、おにぎりたちをそれこそ育てて収穫して精米しておにぎりにした万次郎さんのしあわせなお話。最後の万次郎さんのように「がはは」と笑っちゃう、みんなが笑顔になる(そしておにぎりが食べたくなる)そんなお話です。
万次郎さんシリーズは他に2冊
『万次郎さんとすいか』
『万次郎さんとたぬきのこ』
すいかは夏の日の、たぬきのこは春の日の出来事。
3冊とも働き者で優しい万次郎さんが「おいしいもの」もしくは「おいしいものが大好きな三匹」に振り回されつつも、みんなを笑顔にさせてしまう素朴で温かいお話です。(たぬきのこにでてくる「おにぎり」にも注目!)
文を書かれている本田いづみさんが2017年に急逝され、『万次郎さんとたぬきのこ』は遺稿の絵本化だそうです。もう万次郎さんの新作は出ないということ。寂しいです。冬の万次郎さんのお話も読んでみたかったなぁ。働き者の万次郎さんだから、きっと春に向けて色々と準備したり、保存食を上手に使ったりしてるんだろうなぁ。
扇谷さんとはおにぎりを三角に握る?丸?たわら型?かなんて話から広がって、おにぎりにはどうも「思い出」があるよねということに…。
私のおにぎりの思い出は…子どもの頃は食が細く、お茶碗に盛られた白米はそれをみただけでお腹がいっぱい。そんな時に母が一口サイズの小さなおにぎりを作ってくれました。この小さなおにぎりだとひとつ、もうひとつと気がついたらたくさん食べられたのです。
息子は、まぁよく食べる子ですが、おかずばかり食べてしまった時に、白いご飯をやっぱり小さなおにぎりにしてあげるとペロリと平らげてくれます。
さて、本日の子守唄は『万次郎さんとたぬきのこ』からピッと閃いたこの曲です。たぬきと言えばこの曲!というほどに、お馴染みの一曲。
千葉県木更津市にあるお寺、証城寺(しょうじょうじ)に伝わる「狸囃子伝説」に着想を得て1925年(大正14年)に作られた曲です。
和尚さんとタヌキの情景が、『万次郎さんとたぬきのこ』のどこかほのぼのとしておおらかな雰囲気にも繋がるような。。
証城寺の狸囃子
作詞:野口雨情、作曲:中山晋平
證 證 證城寺
證城寺の庭は
ツ ツ 月夜だ
皆(みんな)出て 來い來い來い
己等(おいら)の友達ァ
ぽんぽこ ぽんの ぽん
負けるな 負けるな
和尚さんに 負けるな
來い 來い 來い
來い來い來い
證 證 證城寺 證城寺の萩は
ツ ツ 月夜に 花盛り
己等は浮かれて
ぽんぽこ ぽんの ぽん