[本のおはなしvol.24] 「ロージーのおさんぽ」
夏も真っ盛り。”本のおはなしvol.24”はその泰然自若っぷりが眩しいロージーの在り方が痛快なイギリスの絵本『ロージーのおさんぽ』を取り上げました。
ロージーは、全てお見通し?
イギリスの田園風景を思わせる景色の中の、ごく普通のある一日。
めんどりのロージーの呑気なおさんぽのお話、かと思いきや表紙の左端、ロージーを虎視眈々と狙うキツネの存在が!
キツネは常にロージーから目を離さず、隙あらば!という雰囲気。
一方のロージーといえば、常に前進あるのみ。
この絵本の中でただ一度たりとも後ろを振り返らないのです。
執拗なキツネの追跡に全く動じないロージー。
この泰然自若っぷりは全てをわかったうえでの悟りの境地なのか、それとも天然の極致なのか。という議論に。
もし、見事なタイミングでキツネの攻撃をかわすロージーの行動が全て計算ずくだとしたら。。
「やれやれ ばんごはんに まにあった」
最後のページでのそんなロージーのセリフも、武道の達人が相手を倒した際に放つ余裕の一言。のように思えてきます。
『ロージーのおさんぽ』には続編があった
この絵本の作者パット・ハッチンスは、1942年イギリス・ヨークシャーで生まれました。この『ロージーのおさんぽ』が初めて世に生み出した作品です。2017年に亡くなるまでにたくさんの絵本を生み出していますが、亡くなる少し前に、『ロージーのおさんぽ』の続編とも言える『ロージーのひよこはどこ?』という絵本を残しています。
『ロージーのひよこはどこ?』では、なんとロージーがお母さんに!
ひよこのうちの一匹が見当たらず、懸命に探すロージー。『ロージーのおさんぽ』では表情一つ変えず、振り返らずひたすら我が道を行くロージーでしたが、母になったロージーは、別人(別鶏ですね、)のようにあたふたしています。やはり、守るものができると人は変わる。ということでしょうか。
知ってか知らずかの”危機回避型”の絵本
”本のおはなしvol.24”では、最後にこの『ロージーのおさんぽ』を読んで思い出した絵本をもう一つご紹介しました。
私が大好きな長新太氏作品キャベツくんシリーズの中から『ブタヤマさんたらブタヤマさん』です。
キャベツくんシリーズお馴染みのブタヤマさんが主人公のこの絵本。
巨大バッタや巨大イモムシなど様々なものに狙われながら、「ブタヤマさんたらブタヤマさん、うしろをみてよブタヤマさん」の呼び声にも後ろを振り返ることなく、ただひたすら蝶を追いかけて進んでいきます。
自分に降りかかる危機を、全て織り込み済みで進んでいくという「達人タイプ」ではなく、究極の「天然タイプ」だと思わるブタヤマさん。
後ろを振り返ったら、きっと腰を抜かしてしまいますね。
ロージーにしてもブタヤマさんにしても、それぞれの方法で危機回避している様子を見ていると、きっと、自分も知らない間に災難を免れていることってあるのだろうな。という気もしてきます。
ありがたやー。
さて今週の子守唄は先週に引き続き、絶賛夏休み満喫中!の我が家の小学生とともにお届けしました。
歌詞をよーく読んでみると、「どんぐりころころ」のどんぐりとドジョウはあまり噛み合っていない。その感じがロージーとキツネの交わらなさに通じるところもあるなあと思ってのチョイスです。
誰もが知るこの歌ですが、「それから、どうなったの?」という結末のはっきりしない感じも、その後を色々と想像できるという点で、多くの人に親しまれている理由の一つだったりするのかもしれないなあと思いましたが、
どうでしょうか。
どんぐりころころ
作詞:青木存義
作曲:梁田貞
どんぐり
ころころ
どんぶりこ
おいけにはまって
さあたいへん
どじょうがでてきて
こんにちは
ぼっちゃん
いっしょに
あそびましょ
どんぐり
ころころ
よろこんで
しばらくいっしょに
あそんだが
やっぱりおやまが
こいしいと
ないては
どじょうを
こまらせた