【読書記録】アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」青木久恵訳
今回はアガサ・クリスティの作品「そして誰もいなくなった」を読んだ。
この作品は言わずと知れた名作で、日本でも映画になるなど今でも根強い人気のある作品です。ミステリー作家として有名な赤川次郎も好きな小説として真っ先に挙げるなどプロから見ても素晴らしい作品になっています。
今回はコナン・ドイルの作品を読んでとっても楽しかったので続いて英文学ミステリーシリーズとして読みました。
この物語の舞台は「兵隊島」と呼ばれる怪しげな島です。そこに、それぞれの形で10人の人が集められます。他に住んでいる人のいない絶海の孤島で次々に不可解な形で人が死んでいきます。そこにはどのような謎が隠されているのか、そしてどのような終わり方をするのか常にドキドキさせられる構成になっています。
まず驚かされるのが、古典作品を読んでいるにも関わらず古さを感じないことです。正直に言ってしまうとコナン・ドイルの『シャーロックホームズ』シリーズではトリックに少し古さを感じてしまいます。私なんかはタイプライターや馬車が出てきても正直あまりピンとこない感じがしてしまいます。もちろんそれはそれで面白いのですが、『そしてだれもいなくなった』では全くそんなことはありません。長い時が経っても色あせないシンプルで強力な仕掛けばかりで、広い世代で楽しまれているのもうなずけます。
シンプルなトリックは自然で楽しい読書体験にもつながっています。複雑な人間関係やちょっと苦しいエピソードもなく、どことなくリアリティがあって自然に読めてしまいます。ストーリーの中では沢山の事件が起こるにもかかわらず全て鮮やかな説明がついて納得することができて読了感もすっきりです。さすがミステリーの王様といったところでしょうか。
おわりに
最近古典作品を読むことにはまっています。長い時間にもまれてもなお残っている作品というのはやはり何かしら色あせない素晴らしい仕掛けがあるものです。正直ここまで長い間同じ作品が楽しまれているのは小説だけではないかと思います。流行のエンターテイメントもいいですがやはり古典的なものも楽しいです。
皆さんも是非読んでみてください。