【編集先記】ここだけの化石が地味にスゴイ!徳島県立博物館編vol.3
こんにちは。編集長です。
某出版社から刊行予定の某化石案内本の取材のため、徳島県立博物館を訪れました。
ここだけの化石が地味にスゴイ!徳島県立博物館編vol.2の続きからお届けします。
vol.1も読む
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こっちの化石もスゴイ
ここ徳島県立博物館には古生物のエリアがもうひとつあり、徳島のもの以外の化石はこちらに展示されています。
中央の展示台と、壁にもびっしりと化石が並べられた夢空間!
壁の展示は、地球の誕生、生命の誕生、古生代、中生代、新生代と左回りに歴史がわかる配列になっており、奥には珍しい南アメリカ大陸の哺乳類たちもいます。
せっかくなのでちょっとご紹介しましょう。
徳島で会える南米の哺乳類
vol.1、vol.2でお伝えしたように、この取材の目的は徳島恐竜コレクションと瀬戸内海産のナウマンゾウなのですが、実は個人的に会いたいお方がいまして……
どこにいるのかなと思ったら、この部屋の奥にいらっしゃいました。
メガテリウム!
何がすごいって、この迫力で哺乳類なんですよ。
しかも、現生でいうところのナマケモノの仲間。
動かなすぎて背中にコケが生えちゃう、トイレ以外で木から降りてこない、なのに泳げば意外に速いというあの動物とまるで結びつきません。
「仲間」ってなんだろう。
メガテリウムは南米生まれの哺乳類で、その後一部の派生した仲間が北米に渡り繁栄しました。
日本では徳島県立博物館の他にも国立科学博物館などでメガテリウムの展示がありますが、そちらは北米産。南米の真のメガテリウムの、それも全身の復元骨格が展示されているのは、日本ではここだけなんですって!
全身復元骨格の手前には実物の骨盤も展示されていて、その大きさに思わず息を呑んでしまいました。
メガテリウムの他には、トクソドン、スクレロカリプトゥス、パノクトゥス、ステゴマストドンなどの南米哺乳類の姿も。
ところで徳島の博物館になぜ南米の哺乳類たちが展示されているのでしょう。
実はこれらは、アルゼンチンのラプラタ大学から文化交流の一環として寄贈されたもの。その中には哺乳類以外にも単弓類のエクサエレトドンの頭骨もありました。
資料交換(徳島からは代わりにランドクルーザーや電子顕微鏡を贈った記録が残っているとか)は全部で3回行われ、最初の頃は先方にレプリカを作る技術がなかったのか、全て実物の化石が贈られたそうです。
ここではそんな貴重な実物化石が展示されています!
あれも実物これも実物
あのー、ちなみに先生?
ラプラタコレクションのプレートには「実物」って文字があるので分かりますが、先ほどから何も書かれていない化石のこともサラッと「実物化石」っておっしゃっていませんでしたか…??
すると、󠄀「基本は実物化石を展示していて、複製のものには「複製」と書いています。「実物」と書いているのは特に気にして見てもらいたいものだけですね」と辻󠄀野先生。
え? そうなの?
えー? じゃああれもそれも何も書いてないけど実物!?
えええ? これ丸出しなんですけど、触れるんですけど、実物???
「はい。みんな触るから、表面が多少ツルツルしてきましたね」(小布施先生)
じゃないよ! なんでそんなことを!!
徳島県立博物館の常設は2021年にリニューアルされたのですが、その際、来館者に少しでも楽しんでもらおうとタッチングのコーナーを増やしたのだとか。
アパトサウルスの大腿骨なんて、250キロあるし盗まれないからと留めたりもせずにゴロンと置かれてました。
遠足の子供たちに触られまくるアパトサウルス(実物)。
触るよそりゃ、私も触ったよ、アパトサウルス(実物)。
ありがとうございますだよ。
vol.1の冒頭でも触れたように、徳島県立博物館は総合博物館。化石以外にも現生の生き物や民俗、歴史の展示もたくさんあります。あるようです(回れなかった)。
さらに徳島県立博物館のある文化の森総合公園には、美術館や記念館など他の施設もあるようなので、次は大袈裟なほど時間に余裕を持って来ようと心に誓いました。
最後に改めまして、中尾先生、辻󠄀野先生、小布施先生、隅々まで丁寧な化石案内、ありがとうございました!
あ、そうだ。
化石目的で行かれる皆様、歴史の展示エリアにもちょっと寄ってみてください。
「近世の徳島」エリア脇にあるVR体験ルームで、化石のバーチャル発掘体験ができます!