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ニューヨークの小さなライブハウスはこんな感じだったよ!!というレポート

今日はちょっと時間を戻して2020年2月の話です。3年掛りの大仕事を終えて心身ともに疲れ果てた僕は一人で1週間念願のニューヨークに行ってきたのでした。

例の場所

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あまり観光地に興味がないので行き当たりばったりで街を散策してたのですが、やっぱり音楽業界の人としてライブハウス行きたいじゃないですか。という訳で急遽ニューヨークで思い立って現地のライブハウスに行ってみた時の話を書いていきます。実録レポートで長くなるので結論だけ知りたい方は「まとめ」まで読み飛ばしてください。

キャパ200で動員50人ぐらいの場所こそ現場でありリアル

大きな会場でやるアーティストというのはある程度完成しているので、クオリティは当然高いです。日本での経験上、地域に根付いてアーティスト同士が切磋琢磨しているリアルな音楽シーンをみようと思ったら、大型コンサートホールではなくて「キャパ200で動員50人ぐらいの3〜4組の対バンライブ」を見るのが良いのではないかと思います。

意外と(少なくとも日本人が読みやすい形で)海外の音楽シーン情報はなく、実際のところどうなのかずっと気になっていました。日本のライブハウスはノルマ制が悪で、海外のライブハウスはもっとカジュアルで素晴らしいんだと批判されるのにあまり具体的な情報が出てこないんです。折角ニューヨークに来たので思い切って現地のライブハウスに行ってみることにしました。

ブルックリンのライブハウス

ニューヨークといえども広大です。僕らがニューヨークと言われてすぐイメージできる大都会は「マンハッタン島」で、マンハッタン島の郊外に「ブルックリン」という地域があります。日本で言うなら住みたい街ランキングの上位に入りそうなサブカルっぽいお洒落なエリアです。端的に言うと下北沢や吉祥寺、心斎橋、横浜みたいなイメージでしょうか。

マンハッタン島にもライブハウスは沢山あるのですが一等地ゆえにレベルが高めで、ブルックリンの方がインディーズっぽいアーティストが沢山出演する会場が多いみたいです。

今回の目的で考えると当然ブルックリンなのでその地域のライブハウスを調べると丁度翌日ギターロック系の4マンイベントをやる会場を見つけました。海外のライブハウスのスケジュール欄には出演アーティストの試聴ページへリンクが貼ってあるところが多くて、すぐにどんな曲をやるアーティストなのかわかって便利です。

遠くに見えるのがマンハッタン

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これがブルックリン(栄えてるエリア)

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ライブハウス行くの怖いと思ったのいつぶりだっけ?

チケットは前日にネットで購入しました。簡素なチケット購入ページでクレジットカードで支払います。代金を支払うとQRコード付きの支払い証明メールが届きました。前売りだと$10(1100円ぐらい)です。当日は$15だったかな。1ドリンク制度はありません。

OPEN/START 18:00/19:00ということで、19時直前に着くように行きました。

降り立ったエリア

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少しは栄えてるのかなと思ったらブルックリンの中でも住宅エリアだからか人が全然いません。しかも割と暗い。

スマホの地図を頼りに現地まで来たものの入り口が見当たらず、近くにいるのは酔っ払いの兄ちゃん二人組だけです。完全に怖い。こんなにライブハウスに行くのが怖かったのは大学生の頃に初めてインディーズバンドのライブを観に行った時以来です。薄暗い地下へと続く階段、ポスターとタバコで汚れた壁、当時の僕にはめっちゃ怖かったです。

ノスタルジーと恐怖を感じながら入り口を探していると何の変哲もない真っ黒の扉の建物からギターの音が聞こえてきました。

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ん?

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「SAINT VITUS(ライブハウス名)の入り口は右隣の黒いドアだよ」


これはわからないよ!!

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特に看板も出ていない中、恐る恐る入るといかにもライブハウス的な薄暗さです。バーフロアとライブフロアが区切られていてフロアの間に扉はありません。ライブフロアのキャパは150人程度でしょうか。

開演10分前なのにバーカウンターに座ってる人が一人だけでライブフロアの方ではリハーサルをやってました。すでに意味がわかりません。

潜入ライブハウス in NY

カウンターのお兄さんがスタッフさんらしく、チケットを見せて事情を伝えると「んー、、ライブ始まるまでまだあと1時間以上かかるけど大丈夫?」と言われたので「お酒飲んで待ってていいですか?」と言ってビール飲みながら仕事して待ってました。開演時間として書かれている時間が全く守られていないのが謎で面白くなっていました。

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ビールの種類がとにかく沢山あって楽しかった。日本もこんな感じだったらいいのになぁ。

当初の開演時間を30分過ぎても人は5,6人ぐらいです。バーでお酒飲んでダラダラ話してます。僕には区別する術がないですが、おそらく全員出演者です。日本で日々見てきた開演前の出演者ムーブをしています。

何組かの出演者が物販コーナーを作り始めていて、手書きの値段表とTシャツが並べられました。CDは売られていません。

開演予定時間から1時間ぐらい経過していい具合にビールが回ってきた頃、1組目がぬるっとスタート。男性スリーピースバンド。お客さんは15人ぐらいだと思います。

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日本のライブハウスはライブが始まる前からある程度人がフロアにいて、そこからSEが流れて演奏という感じで始まると思うのですが、ぬるっと始まります。出演者がステージにゆっくり上がっていって適当に音出してSEなしでいきなり演奏スタート。お客さんたちは「お?始まった?」という感じでバーフロアからぞろぞろライブフロアに移動する感じ。

「外国人はノリが日本と違うから初見のアーティストでも率先して盛り上げてくれる」という噂を以前聞きましたがあれは嘘でした。日本と同じです。パラパラとした拍手程度。最前も空いててみんな後ろの方にいます。そんな最前エリアをスタッフであろう女の子が一生懸命走り回って写真撮ってました。既視感が凄かったです。持ち時間は30分ぐらいだったと思います。

ライブが終わると再びみんなバーエリアに移動して飲み始めます。多くの人たちは誰かと話しながら飲んでるのですが、ぼっちも何人かいて、そういう人たちはライブフロアで次のバンドを待っていたり、隅っこでお酒飲んでいました。親近感が湧きます。

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お客さんも40人ぐらいまで増えてきた気がします。ステージ上では機材転換が行われているのですが、次のバンドがお酒飲みながらのんびり転換しているのには驚きました。日本だと転換は時間との勝負なのでカルチャーショックです。タイムテーブルという概念はあんまりないのかもしれません。そもそも開演時間1時間ズレてますし…。

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転換を待っていたらこのテーブルの存在に気付きました。僕の中でライブハウスの物販で使うテーブルと言ったらこの形なのですが、まさかアメリカでも同じだとは思いませんでした。

アメリカは日本と違い治安が悪く、置き引きなどに注意が必要と聞いていましたが、何の躊躇いもなくフロアの隅に荷物を放り投げてライブ見ている人がいたり、物販コーナーは完全放置だったりで何かと平和です。

この調子で2組目、3組目と進んでいき、やはり後半になるにつれてお客さんもどんどん増えていき、盛り上がっていました。

2組目のライブの様子。フロアは40〜50人ぐらいになってきました。

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3組目になると僕もいい加減酔っぱらってきて、流石に海外で寝落ちはまずいと思い、水を頼んだらタダでくれました。チップも断られ驚きです。水道水ではありますが無料でくれるんですね。この辺りでカウンターの隣に座ってたお姉さんに「ねぇ、ちょっと聞いていい?」と声を掛けられましたが「いいよー」と答えたものの酔っぱらった状態では何を言っているのか全く理解できませんでした。ごめんなさい。

最後の4組目(大盛り上がりでした。曲も良い。)が終わる頃には22時過ぎです。終了直後のフロアでは出演者とお客さんが交流しています。これも日本でよく見ますね。

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この後もみんなゆっくり飲んでいく感じでしたが僕は流石に帰りました。ニューヨークは地下鉄が24時間営業なので何時でも帰れます。タイムテーブルが緩いのもそのおかげかもしれません。ちなみに地下鉄は24時間営業ゆえにずっと中に人が滞在できるので治安が最悪です。ちょっと怖いホームレスや酔っ払いが電車の中やホームに沢山。帰りの電車でも右隣に座っていたお兄さんが酔っ払いに絡まれてて左隣の優しいお兄さんが「おい、いい加減にしろよ!」とキレて制止してました。ということで夜の地下鉄は要注意です。


まとめ

①雰囲気は日本と思ったほど変わらない
お客さんのノリは日本と一緒。

②お酒を飲んでダラダラしにくる場所
あくまでバーで、途中でショータイムとしてライブが行われる感じ。チケット代は安く、みんな友達と話しながらお酒を沢山飲んで楽しんでいる。日本よりもカジュアルかもしれない。転換が早いと飲めないのであれぐらいゆっくりの方がいいんだろうと思いました。

③ライブのクオリティも日本とそんなに変わらない
この日の対バン見ただけでもピンキリでした。

電車が24時間営業なのがとにかく大きい印象でした。そのおかげで日本みたいに必死にスケジュール通りに進行しないでいいし、お客さんものんびりしていられます。日本でこれを再現しようとするなら土日の16時ぐらいからダラダラやる感じになるかもしれないです。僕は個人的に昼イベント推進派なので、緩いタイムテーブルで進行するこんなイベントを一回試しにやってみたいです。

今回のレポートはあくまで僕が行った日に限った話で、勘違いしてるところもあるかもしれません。こんな経験をした人がいるのか程度に思っていただければ幸いです。

noteに動画が載せられないのでTwitterに載せました。映像の方が臨場感あってイメージ伝わると思いますのでご興味あれば是非ご覧ください。

https://twitter.com/btrstaff/status/1265428358013186049

おまけ

ライブハウスの出入り口に張り紙見つけました。

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「近隣に敬意を払い、外ではお静かにお願いします」

この張り紙は世界共通なんですね笑

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