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tipToe.楽曲解説Vol.2 - blue moon.


概要

・タイトル blue moon.
・ヨミ ブルームーン
・楽曲番号 13
・作詞 aoi kanata
・作曲 aoi kanata
・編曲 aoi kanata
・振付 YUKO
・制作時期 2年生1学期編「thirdShoes.」

コンセプト

リリース作品単位で綿密に設計して作った夜にまつわる4つの物語「thirdShoes.」のうちの1作。

「thirdShoes.」全体のテーマは
・夜にまつわる物語であること
・前作「magic hour」より一歩踏み込んだ表現に挑むこと
である。

本編の主人公には4人の同級生の友人がいる。学校ではみんなで楽しく過ごしているのだが、家に帰って独りになると思い出したかのように憂鬱な気持ちが湧いてくる。その時は深刻で悲しいのに学校で友人に会えば忘れてしまう程度に脆い。学校ではまさか友人がそんな気持ちなっているなんて気付きもしない。

「thirdShoes.」はその4人の友人を1曲ずつ主人公に据えて、とある同じ一夜に起こった4つの出来事を描いたオムニバス作品となっている。

この曲のキーワードは「月夜のプール」だった。

楽曲

ドビュッシーの"月の光"がモチーフになっていて、イントロはもちろん、メロディの一部にも引用されている。

この曲は最初から素晴らしかった。作曲者aoi kanataさんから最初のデモが届いた時、最高に良いという気持ちとちょっと音楽的に難しすぎないかという気持ちが同じぐらい湧いてきた。僕らのように仕事で音楽を作る人間は基本的に音楽オタクなのでこういう音楽が大好物なのだが、果たして万人がこの曲の良さに気付けるだろうか。わかりやすいアイドルギターポップのマスターピースを目指したアルバム「magic hour」を出した直後だったので、当時の感覚で考えればそう思ってしまうほどに今までの曲に比べると"難しい"曲だと感じた。作品の良さを理解するにはそれに応じた知識が必要になる。僕は数億円で取引される絵画の良さがわからない。それは僕の知識がその絵画の価値を理解するレベルに到達していないからだ。

ではどう直せばもっとわかりやすくなるのか。いくら考えてもわからない。変に直すとこの曲の大事なものが失われてしまいそうで、このままいくかボツにするかの2択状態。結局、曲が良すぎてボツになんてできず、やるならとことん思い切って挑んでみることに。

ギター、ベース、ドラム全て生でレコーディング。ベースは5弦ベースで最低音がかなり低い。

この曲はボーカルレコーディングにaoi kanataさんが立ち会って慎重に進めた上に、ボーカルをダブル(同じ部分を2回歌って重ねて使うこと)で録りまくっていてレコーディングが通常の2倍。メンバー6人もいてただでさえ大変なのに。ミックスも大変で制作中エンジニアの平田君は死にそうだった。今でも「辛かった」とよくボヤいている。

歌詞

幻想的で夢なのか現実なのかそれすらもわからない二人だけの美しい世界。水面に月が浮かぶプールに飛び込んで踊る。君とは誰なんだろうか。朝が来たら忘れてしまうのだろうか。

タイトル「blue moon.」は他にもタイトル候補がいくつかあった中で、aoi kanataさんと話し合って決定。.(ドット)まで含めてタイトルなので忘れずに。「(once in a) blue moon」には「滅多にないこと」「奇跡」といった意味がある。

実はこの曲まで意地でも英語(アルファベット)をタイトルに使わなかった。英語が使いたくても全部カタカナ。歌詞が全部日本語なのにタイトルでなんとなく英語を使うのってなんだかダサいなと思っていて、英語はいつかグループやメンバーが成長した時に満を持して使おうと残していた。

雑記

正直この曲は最初から凄くてあんまり言うことがなく、余計なこと言わない方がいいなと思っていた。

7月開催のコンセプトワンマン「blue moon rising」は初披露のこの楽曲を最後に据えることを前提全てを設計したワンマンライブだった。

振り付けはYUKO先生で、三原海が踊るイントロのバレエモチーフのソロダンスが印象的。

この曲は照明ありきの楽曲で照明設備が最低限ないところではやらないことにしていたり、リハーサルでもこの曲をやる場合は照明の打ち合わせに比較的時間を割く。

これでMVを作りたいと長谷川Pに伝えたところ「(僕は好きだけどこれをリードトラックにするのは)どうかしている」と言われ、意図説明の末MVを作ることは承諾してくれたものの「MVはメンバーが出てわかりやすく…」という本間からの提案を「こんなに曲で攻めてるんだから映像でも攻めさせろ!」と却下し長谷川Pが独断でメンバー不在の攻めまくりMVを作った。

MVではプロモダンバレエのダンサーでもあるrikoさんとまきさんが、本職でないと難しいようなレベルのダンスを踊ってくれていて、振り付けもオリジナルのものをrikoさんが考えて下さっている。

この時期にblue moon.をはじめとしたthirdShoes.楽曲が受け入れられたことでもうなんでもありという気持ちになった。

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