前からバンドのことで気になっていたけれどコロナのせいでいよいよどうにかならないかなと思ったこと
僕は元々バンドのディレクターをやっていて、その頃の仲間たちと今アイドルの運営をやっているのですが、一旦バンドの世界を少し離れて感じたのがバンドの「やっていいことの少なさ」でした。特にマネタイズに関して「バンドとはこうあるべき!」というあるべき論が厳しすぎる。
なんでバンドって「お金を稼ぐのは悪いこと」「特にタレントっぽいことをして稼ぐことは悪である」という雰囲気があるんでしょう。。「そういうのはロックじゃないから」と言われても何かが絶対におかしい。僕はそんな音楽を続けるのを邪魔する「ロック」に挑戦してやりたい。
バンド活動にはお金が沢山かかります。楽器代、スタジオ代、交通費、更に演者の生活費などです。世の中の多くのバンドマンはそれだけで生活できずにバイトなどで費用を捻出したりします。メジャーバンドですらバイトをしている人がいます。バンド活動中に稼いだお金で活動できた方が沢山時間を費やしてより多く作品を作ることができますがどういう訳かバンド活動でお客さんから対価をもらうのはCDを売るなど一般的なことを除いてなんとなく後ろめたい空気があります。僕が見てきた中で長年活動したバンドが解散する理由は大体お金が稼げないことでした。色々な言い方はあっても根本はそれです。
実際、何人かバンド関係の知り合いに「有料配信やってみたらどうですか?」「サイン会やってみたら意外と面白いかも」というような話を提案してみると「周りでやってる人がいないし、そういうのでお金取るとお客さんからイメージが悪くなる…」と言われることが多かったです。
タレント的なお金稼ぎが悪であるという雰囲気は活動を継続するにあたっての大きな足枷にしかならないと思いました。インディーズバンドの世界では物販で一枚数百円のデモCD-Rを買うだけで10分もアーティストと立ち話をしてサインまでもらえてしまいますが、もし万一サインやトークが当たり前のように有料にできる雰囲気になっていたらもっと生活できるバンドは沢山いるかもしれません。
曲が良いこと、歌や楽器が上手なこと、容姿が良いこと(実際バンドの顔ファン多いよね)、トークが面白いこと、文章が素敵なこと、その全てがそのアーティストの人間的価値なのですから、音楽を続けていく為にもCDを売ってライブをやるだけでなく色々な展開の仕方が許容される文化になったらいいのですけどね。アイドルでいうチェキみたいに一律どこのバンドでもやっていいテンプレ的な展開パターンが欲しいです。
もちろん必ずしもチェキをやるべきと言っている訳ではなく、自分たちにあったやり方を模索しないといけないかもしれませんが。海外ではミート&グリードなど音楽以外の部分でのマネタイズ手法もあるのですから日本ももっと柔軟にならないと自分で自分の首を絞めそうです。良く考えたらアイドルのチェキ会も広義のミート&グリードですよね。
コロナのせいでライブ活動が制限されてしまった今この制約はいよいよ厳しいのではないでしょうか。こないだのnoteで「見る側がコンテンツを面白くする」と書きましたけど、アーティストが続けていきやすい雰囲気を作るのもアーティストとファン、制作スタッフの共同作業なんですよね。バンドに関して現状を乗り越えていくには新しいスタイルを許容する文化作りが大事だと僕は思っています。
もしこの先自分の好きなバンドが例えば有料サイン会を始めたらいきなり拒否せず最初は投げ銭のつもりでもいいから一度参加してみて欲しいです。