ぺこぱの漫才にみる成功する秘訣
こないだのM1。過去最高とまで言われている今大会だったが、実際自分も過去最高レベルに楽しませてもらった。優勝のミルクボーイも当然めちゃめちゃ面白かったが、自分が一番心に残ったのはぺこぱだった。何故かは自分でも確証は得られてないが、ここに書き記しておきたい気持ちになった。それはぺこぱがあのM1の舞台で大躍進したことが、今の世の中を流れとか自分がBIGになるために必要な時代を読む力のヒントが隠されているような、そんな気持ちにさせられたからだ。何か重要な事が隠されている、そんな風に感じたのだ。
今ハマりすぎてぺこぱの同じ漫才を毎日5回くらい見ている。でも飽きない。ネタを見たくなるというよりは、ツッコミの松陰寺 太勇が放つ「ノリツッコまないボケ」(M1でのダウンタウン松本のコメント引用)の一つ一つに対するお客さんのリアクションが気になった。今客が求めているのはこれなのかと。ツッコミとしてそのボケを否定するのが漫才の定石であるが、それに対し松陰寺はむしろ優しく相方をフォローする。それが裏切りとなり、彼のどこか氷室京介を思わせるV系キャラも乗っかって面白い形でお客さんに届けられる。YouTubeのコメント欄で誰かが、最終決戦に上がった三組をミルクボーイは昭和、かまいたちは平成、ぺこぱは令和の漫才という風に表現していたが、まさにその通りだと思った。ぺこぱのスタイルは斬新で新しかった。にもかかわらず自分の中に何の抵抗もなくスッと入ってきた。
今の若者にとって日本社会は一見幸せで平和そうに見えるが、実際は高齢化社会や積み重なる国の借金、政治家の汚職等が日々明るみに出始めている事で将来に不安を感じていたり、疑心暗鬼になっているように思う。昔よりもどこか人々が互いにとげとげしくなっているように思うのだ。しかし、松陰寺のキャラはどんなものでも受け入れて決して否定することはしない。コメント欄にも「見てて何か泣きそうになった」というコメントをちらちら見かけた。たしかにあの和牛を抜いて最終決戦に勝ち上がったというドラマももちろん感動するところではあるが、それ以上に彼らのその何でも受け入れる包容力のようなものがお客さんに響いていたように感じた。
キャラの部分でいうと、二人ともわかりやすく漫画的なキャラクター。特に松陰寺みたいなキャラは漫画に出てきそうな感が半端なかった。そして何よりすごいのは今回のキャラとスタイルを発見し、試行錯誤しながら作り上げてきたこと。たいていのお笑い芸人はキャラを考えるよりも自分たちの技や漫才の型を磨くことをひたすら繰り返すと思う。しかしぺこぱはアイデアをひたすら練り続け、それを何年越しに掘り起こしてその新進気鋭さで多数のライバルを蹴散らした。ただ一つのことを極める職人というより、どこか起業家精神のようなものを感じて、そこが一番自分が感動した部分である。
そしてこれこそがお笑いの新時代の幕開けであり、令和の空気をも明るくしていくような気さえしている。自分がBIGになるためには、この時代の流れと目新しさ。この2つは絶対に見落としてはいけないと思わされたM1だった。
悪くないだろう。