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”犯罪加害者の更生”をコンテンツ化するYouTuberヒカルは是か非か【阿武町】【誤入金問題】【田口翔】

職業カリスマと若かったら言ってみたい、さじゃんです。今日は日本中を駆け巡った衝撃のニュースである阿武町誤入金問題の容疑者がYouTuberヒカルの援助の元更生するという衝撃の出来事が報じられました。
一時期は連日ワイドショーで報じられ、テレビを見てる中高年層からすっかり有名人になった田口被告と阿武町というキーワード。彼の罪は”電子計算機使用詐欺罪”という聞き慣れないものですが、誤入金されたと知っていながら全額私的に使ったことが罪に問われているという解釈で大丈夫そうです。

でんしけいさんきしようさぎ‐ざい【電子計算機使用詐欺罪】コンピューターやその電磁的な記録を不正に操作するなどして、詐欺罪にあたる行為をする罪。刑法第246条の2が禁じ、10年以下の懲役に処せられる。ーデジタル大辞泉ー

誤入金なので横領とかとも違いますし、立件が難しいともされていましたが逮捕され長きにわたる勾留の末、先日保釈となったようです。勾留中は散髪をすることが出来なかったようでかなりの長髪に驚いたのと風で完全に顔が見えなくなっていたことで、Twitterなどでは”セルフモザイク”などど揶揄する輩もw何れにせよ、この短い映像だと田口被告の人間性や高額な使い道など全くわからず”犯罪加害者”としてのイメージ像は地上メディアによって作られた人物像でしかないのは確かだと思いました。

■保釈直後に異例のインタビュー敢行

動画を見ていただけれな分かるのですが、

田口被告の保釈に合わせてワンボックスカーをレンタルしヒカルのYouTube撮影メンバーと共に山口南警察署に向かうところから動画はスタートします。よく有名人が薬物や不祥事で逮捕されメディアが釈放の瞬間の出口を撮影する風景をよく目にしますが、その後乗り込む車の中の映像を撮影した動画は過去にほぼなく、こうしたドキュメンタリーもすでにレアコンテンツとして成立しているような気がします。

車に乗り込んだ瞬間の田口被告とヒカルさん。従来メディアがこうした犯罪加害者の釈放の瞬間の”内側”の映像を見ることは難しく、せいぜいヘリやバイクで搭乗したワンボックスカーを追うぐらいしか出来なかったはずで、

手を差し伸べる代わりに取材させてほしい

と言うのは非常に田口被告側としてはリスキーな反面、4000万円オーバーという多額の補償をどうしていくかと実際に考えた時に若干24歳の若者が”自力だけで返済&更生”というのは事実上難しいとも言え、功罪両面が工作する相互利害関係だと思いました。

■阿武町に言いたいことがある田口被告

従前の地上メディアの田口被告の報じ方はもう少し”パリピ”寄りと言うか、半グレ的な印象操作が行われてたようにも感じます。しかしYouTubeというある意味でリアルな”生”のプラットフォームから感じる田口被告の印象は、

非常に物静かで小市民的印象

でした。分かりやすく言うならカイジのだめ債権者やウシジマくんに出てくるような気のいい債権者的印象とでも言いましょうか。。もちろん田口被告が保釈直後で精神的に安定していないと言うのはあるにせよ、4000万円の大金を一気に使い込んで逃げ回った凶悪犯という地上メディアのレッテルとは大きく違う印象を受けこの時点でヒカルさんサイドの”インタビューの目的”は達成されたようにも感じます。自分の犯罪(使い込み)に関しては完全に自分に非があり反省していると話す田口被告も

阿武町には思っていることもあるし言いたいこともある

と断言。しかし起訴され裁判中の身であることから発言が弁護士サイドから制限されているようであまり踏み込んだコメントは今回はされませんでした。

■美容師も用意するヒカルサイドの狙い

更生し一緒に働くにあたって見た目を変えたほうが良いというヒカルさんの提案により一気に散髪することに。山口南警察署周辺でインタビューされたと思われますが用意周到に美容師まで準備するとはすごいことだと思います。(ヒカルさんのYouTube出演メンバーに美容師の捧さんという方が居るので彼かもしれませんが)

”犯罪加害者の見え方”というブランディングに一区切りつけたあとは具体的に周囲に対する補償のための収入が必要ということで、ヒカルさんの関連会社(持ち株30%)の究極のブロッコリーという企業で働くことが決まったと動画内で報告がありました。本当にこのまま田口被告はヒカルさんの敷いたレールに乗って素直に更生できるのか?保釈直後で反省しているだけではないのか?というネガティブな感情が自分の中に無いわけではありません。しかし、自分がエンタメコンテンツとして消費されることを受け入れた上での出演であり、更生の覚悟だと考えてあげれば顔にモザイクもかけず堂々としている点はすごいなと感心しました。犯罪加害者のドキュメンタリーや映画を割りと多く見てきましたが普通は陰日向で誰にも知られず生きていきたいと願う方が多く、今回の田口被告のように真正面から謝罪と更生を誓うというのは意外と出来そうで出来ないことかと思ったりもします。ヒカルサイドの狙いとすれば、

YouTube初の犯罪加害者の更生ドキュメンタリー

を今後もほぼ独占で追うことができるというコンテンツ制作としてのメリットがかなりあると考えます。犯罪加害者に加担するという議論を呼びそうなエリアにBETして張っていく姿勢はギャンブル好きのヒカルさんらしいと言えばらしいのですが。

■類似犯罪の増加につながる危険性もはらんでいる

今回もう一つの側面で自分が思ったのが、

詐欺や今回のような類似犯罪が増えてしまう可能性

があるのではと考えました。なぜなら、”逮捕&立件されなければラッキー”しかも仮にバレて捕まっても

”YouTuberに頼ればなんとかしてくれる”

と思う犯罪者が増えるだろうなという悪しき前例を作ってしまったようにも思います。もちろんすべての犯罪者がヒカルさんに連絡を取るとは思いませんが若者のカリスマである彼にすがってくる犯罪者が今後増加するであろうことは火を見るより明らかです。ヒカルさんサイドからすれば良いコンテンツになると思えば、今回のようにホワイトナイトのような救済に乗り出すでしょうし価値のない犯罪加害者に対しては当然何の対応もしないと思います。

■まとめ

・犯罪加害者の若者へ更生のチャンスを民間人が与えるということは素晴らしい

・しかし本当に持続的に更生できるのかは現時点では疑問

・犯罪加害者の保釈直後のドキュメンタリーとしては非常に興味深い

・地上メディアが踏み込めないコンテンツがYouTubeで今後増える可能性

・悪しき前例作ってしまった可能性が否定できない

ということを今回の一連の流れを見て個人的に考察しました。もちろん、ここまで周囲の協力が得られたのであれば田口被告には補償を含めた更生を頑張って欲しいですし、ヒカルさんには可能な限り長期でのケアを望みます。しかし犯罪加害者の更生は以前ヤクザと家族のレビューでも書きましたが、

一般人の我々が想像するよりはるかに難しいと考えます。こうした自分のようなネガティブな視点を持つ人間を見返してくれるよう田口被告にはぜひ頑張ってもらえたらと思っています。

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