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読み切り ホラーストーリー
暑いのでヒンヤリなさってくださいナ。ゾッとするお話です。
↑↑↑ 目次がなんだか面白い事になったので付けました(笑)
何の役にも立ちません。
さて本編の始まりです。
~(m¯-¯)ノ ~((( ハジマリダヨォ~~~
約30年前の出来事です。
大学生時代、いつものメンバー5人で肝試しに行きました。
目的地は、全国的にも有名な都内の城址公園の本丸跡とその傍の滝です。
城跡へ行った後は、その公園から近い位置にある病院跡にも行こうと意気込んでいましたが、城跡だけであっさりノックアウトされた為、病院跡へは行きませんでした。
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
いやいや、早い早い。
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!! 病院行かなかったのぉ~???
いやいや、それはどうでもいいんだ。
さて、5人は2台の車に分乗して城址公園へと向かいました。
車内では、稲川淳二があぁで矢追純一がこうでとか、金縛りにはあった事があるなどといった、心霊ツアーに相応しい話が続きました。
ちなみに5人の内、霊感があるのは2人でした。
私を含めた残りの3人にはそういう能力はありませんでした。
私のクルマには2人(私と、霊感のない1人)が乗り込みました。
残りの3人(霊感のある2人、霊感のない1人)が乗り込んだ別のクルマを、私たち2人は「霊感車」と呼んでからかいました。
私は小学生の頃に金縛りにあった事があるのですが、私自身それは霊とは無関係だと思っていますので、霊感がある?と聞かれれば「無い」と答えるようにしています。それは今でも変わりません。
霊感があるという2人にとって、幽霊が見える事は特別な事ではないらしく、日常的に比較的はっきりと見えているとの事でした。
1時間ほど車を走らせた後、現地に到着しました。
時刻は日が替わる少し前ぐらいで、辺りは民家が多少あるものの全て照明が消えており、駐車場から公園へと続く砂利道は僅かな街灯の明かりによって、かろうじて行き先がわかる程度のものでした。
生暖かく、じっとりと肌に纏わりつくような湿った空気、さわさわと弱い風に揺れてざわめく木々の枝葉は見知らぬ誰かの呟きにも聞こえ……
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
いやいや、まだまだ~。
私たちは早くもその不気味な雰囲気にのまれていました。
幽霊よりもクマとかヘビが怖いよな。
大体さ、歴史を辿ればさ、日本中どこでも戦はあった訳でさ~。
などと、自らの恐怖心を誤魔化すために、元気付けの台詞を途切れさせない様にと無理をしながら歩みを進めました。
途中、公園マップの看板を見て目的の場所を確認しました。
目的の場所は公園最奥にある本丸跡で、現在は石垣だけが遺されています。
そのすぐ裏手には、敵に追い込まれた女性や幼子たちが次々と身を投げたとされる滝があり、石垣の少し手前には、そこから流れて来た瀕死の者たちにとどめを刺したとされる古い橋「とどめ橋」があり...…
(きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
って来ると思ったでしょ? 来ないのね~ん^^)
マップを見てから10分ほど歩いた頃、
「あ~、なんか…… 気持ち悪い。」
霊感を持たないとする3人のうちの1人が突然吐き気を催し、車に戻ると言い出しましたが1人で帰す訳にも行きません。
霊感のある2人の話によれば、この先は(霊感のある)俺たち2人が一緒に進んだ方が良いとの事で、もうひとりの霊感を持たない友人が彼に付き添って、クルマへと戻っていきました。
結果、残されたのは私と霊感のある2人となりました。
引き返した2人が戻るかどうかは分からないので、残された3人で先へ進む事にしました。
さらに10分ほど進むと、橋が見えて来ました。
橋の上にはかなり明るい街灯がついており、付近の様子をはっきりと捉える事ができました。
「あれがとどめ橋?」
「もっと古い橋かと思ったよね」
30mほど奥に大規模な石垣が見えましたので、目の前にあるその橋が「とどめ橋」で間違いはなさそうでした。
真新しい橋と明るい照明によって、霊的なものを私は感じ取る事はありませんでしたが、霊感のある2人が何かを感じている事は彼らの表情から読み取る事ができました。
橋を渡り切ると間もなく、目的の石垣の前へとやって来ました。
石垣の高さは12~3mほどでしたでしょうか。立派な石垣でした。
正面には幅10mほどの石畳の階段が石垣の上へと続いています。
石垣の上には街灯が少ないらしく、階段の上部の様子を確認する為には階段を上がっていくしかなさそうでした。
左右に続く小路があり、迂回して本丸跡に向かう事も出来たようですが、あまりの不気味さにそのルートを選択する気にはなれませんでした。
と、その時、霊感のある2人がほぼ同時に
「いるね。」
と口にしました。
「いるいる。4人。階段の上に。こっち見てる。」
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
そうそう。ここでOKOK。
私「幽霊ってこと?」
「そう。」
私「4人って?」
「そう。横に4人並んでて、両端が大人。」
「そうだね。大人は刀持ってる。」
私「・・・」
「間の2人は子供かな?老人が座ってんのかな?」
「下の方がよく見えないな。」
「左側は子どもだよね。」
「合掌して帰ろう。滝はムリだな。」
私「・・・・・・・・・・・」
私たち3人は静かに来た道を引き返しました。
2人によれば、こういう時も騒ぎ立ててはいけないそうです。
結局私には何も見えませんでしたが、私が一番驚いたのは、霊感のある2人が全く同じ認識を持っていたという事です。
位置的に私が2人の間に立っており、2人の距離は離れていましたので意見を合わせる事はできない筈でした。
それにも関わらず、目前の状況を細かく語れるのは、やはり2人には幽霊たちが見えているのだとしか思えませんでした。
この出来事は、それ以降の私の幽霊に対する考え方が大きく変わるきっかけになりました。幽霊の存在を信じる様になりました。
まだ、この話には続きがあります。
クルマに戻る事になり橋を渡ってしばらく歩いた頃、2人が後ろを振り返りました。
思考が停止してボ~ッとしていた私も、2人の動きを見てハッとしました。
誰かが、 来る。
振り返ると、気持ちが悪くなった友人に付き添ってクルマに戻ったはずの友人が歩いて来ます。
「え? なんでそっちにいるの?」
不思議に思った私たちが聞きましたら、
「え?橋の上で抜かしたじゃん。」と。
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
しかも、霊感のある2人には友人の他にも数人の足音がしたそうで、それで道を開けようとして振り返ったとの事。どう聞いても、友人ひとり分の足音ではなかったと。
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
ですよ。まったく。
友人以外の足音が何かについてはご想像にお任せします。怖い……。
友人の話によれば、
気分が悪くなった友人は、駐車場の少し手前あたりで体調を持ち直したようでした。
念のために車で寝てるわ。という事になったそうで、付き添った友人は一緒にいようかなと迷ったそうですが、折角の肝試しだから。と私たち3人を追いかけて来たそうです。
で、私たち3人の姿を見つけ、橋で私たちを追い抜き、その勢いのまま石垣を駆け上がり、さらには暗がりの中で本丸跡を見て、しかも「写ルンです」で写真まで撮ったそうです。
「そんなはずはない。」
私たち3人は断固として、その話を信じませんでした。
だってルートは1本道なんです。
厳密には石垣の手前で左右に分かれる小路がある様ですが、木々が鬱蒼と生い茂っており、あの暗闇の中でそのルートで本丸へ向かうとは考えられません。友人も階段で上へ行ったと言ってましたし。
そもそも、あの明るい橋の上で追いかけて来た友人に気付かない訳はないですし、石垣の上でフラッシュを炊いて何枚か撮影したそうですが、その気配も全く感じませんでした。
可能性としては、地図に載っていない別の橋を渡り、別の階段を上がったという事も考えましたが、それでは友人が橋の上で追い抜いたのは別のグループ? でも私たち以外の気配は全くありませんでした。
この点については、今だに謎のままなのです。
さぁ、まだ続きます。
駐車場に戻って来た私たち4人は、自分たちのクルマを見つけて近寄ります。
気分が悪くなった友人は私のクルマの中にいる筈です。
暗闇の中、彼を確認しようと車に近づいた時、ボンネットの上になにやら黒い塊が...…
何だ...…?
見慣れているはずの自分のクルマにある、ひとつの漆黒の見慣れない物体。
ん~?
と首を前のめりにして物体を確認しようとした、その時でした。
ブワサッ!ブワサッ!ブワサッ!ブワサッ!
カラスでした。
どぉうわぁぁ~~~~~っっっっ!
余りに突然の黒い塊の動きに驚いた私は、つい大声を張り上げてしまいました。
私のすぐ後に続いていた霊感のある2人は、その私の声に驚いて、
どぉうわぁぁ~~~~~っっっっ!
どぉうわぁぁ~~~~~っっっっ!
と、腰を抜かしてしまいました。
「お前の声が一番怖いわっ!」
との事でした。よく言われます。
そんなこんなで、まぁ色々と奇々怪々な出来事を体験した、ある夏の日の肝試しでした。
さらに、不思議な出来事は続きます。
気分が悪くなった友人は、まるで何事も無かったかのように元気になり、帰り道では普段と変わらず私のクルマの中をいじくりまわしていました。
当時流行っていないミュージックテープの数々に文句をつけ、デタラメな道案内しかしないカーナビにいちいちツッコミを入れます。
気分も緩み、お腹が減った私は後部座席の足元のバッグを取ってくれるように友人に頼みました。
友人は急に黙り込みました。
「聞いてる? バッグ取ってよ。」
「・・・」
(寝たふりしてやがる……)
仕方なく車を停めてバッグを手繰り寄せて開いてみましたところ、
「ない! ない、ない! 俺のハッピーターンがない!」
「・・・」
「お前ぇ~っ!!」
いやぁ、不思議な事って重なるものなのですね。
いったい何故、友人は私のバッグにハッピーターンが入っている事を知っっていたのでしょうか。
そして何故、ひとりで全部食べ切ってしまったのでしょうか。
もしかしたら、友人は肝試しに出発する前にハッピーターンを一気食いしており、気分が悪くなったのはハッピーターンの旨味成分の大量摂取が原因だったのではないかと。
もしかしたら、ボンネットのカラスは友人の吐瀉物に引き寄せられて来たのではないかと。
その後、反省会を行いました。
友人がハッピーターンの件を白状した事もあり、友人の気分が悪くなったのはハッピーターンが原因で、霊の仕業ではないだろうという結論に至りました。そこはひと安心です。
複数の足音については、幽霊がついてきたのだろうね。という事になり、
友人が橋の上で追い抜いた件と、階段を駆け上がった件については、霊感のある2人にも分からないとの事でした。
橋の上で空気が変わるのを感じはしたけれども、それは恐らく霊とは関係ないだろうと。
私たちが最も気になっていたのは、石垣の上で友人が撮った写真でした。
写真を撮った友人によれば、
「カメラ自体をなくした」
との事でした。
これに関しては完全に未解決となりました。
本当になくしたの?
実は現像していて、そこには...…
きゃあぁぁ~~~~~っ!!!!
おわり。
さて最後までお読みいただき、有り難うございました。
ほんころがし初のホラーストーリー、
お楽しみいただけましたでしょうか。
95%実際に私が体験した出来事です。
本当に良くない事が起こりそうなので、建造物の位置関係や特徴についてはフィクションとさせていただきました。
ちなみに、当初行く予定だった病院跡ですが、
今から数年前のニュースで、ある事件現場として報道されておりました。
驚いたのは「病院跡」ではなく、当時から稼働中の病院だったという事です。
これもまた霊の仕業なのでしょうか…… (いやいや、それは単なる調査不足だろ~)
本当に、おわり。