まるっとほんじょう一年分!2018
今年の「未来」に載った短歌を、12号分まとめてちょっとずつご紹介してみます。
今日こそは開けると決めた扉から漏れる笑いに竦んでしまう/本条恵
「未来」2018年1月号
楽しそうな集まりに入っていくの、勇気いるなぁ……という。1月号だから、「とはいえ、今年はいろいろやってみたいぞ」という気持ちも込めつつ。
狂うとは迷わないことヒトリガは炎を目指しまっすぐに飛ぶ/本条恵
「未来」2018年2月号
・2017年の12月号用にゲーム詠20首できたよー!
・月詠は10首までだから、前後編にするよ
・でも新年会って、1月号から1首選んで評をしてもらうやつ……
・結果、「12月号と2月号で前後編」という荒技に!
・ちなみに『鬼哭街』というゲームをもとに作りました。虚淵はいいぞ
・2月号から「ニューアトランティス」(無選歌欄)に移動したので、「知らんやつが何かしれっと「後半」から欄にいるぞ?」という事態に
青海(あおみ)駅行きの切符は海のいろ四角い海をポッケにしまう/本条恵
「未来」2018年3月号
冬休みに子供とお台場に行ったときの連作。「お前らこんなところでもドングリ拾うのかよ!」みたいな歌もあったのですが没にした思い出。
厚塗りの絵具はどこか地下牢の塗り籠められた出口のようで/本条恵
「未来」2018年4月号
今度は、上野の「怖い絵」展……に行こうとしたのだけど待ち時間が長すぎたので急遽「ゴッホ展」に行った連作。
バス停はあんなに遠い向こう岸 横断歩道は雨水の底/本条恵
「未来」2018年5月号
更衣室を求め彷徨う我と子をワイキキビーチの鳩が見ている/本条恵
「未来」2018年6月号
今度は、ハワイにはじめて行ってきたよ詠(20首)。旅行最終日の深夜に胃腸を盛大にやられて、帰国できるかどうかわりと瀬戸際でした。トイレのなかで「ぜったい月詠にしてやる……」と心に誓った(けどお腹こわしたあたりは結局カットした)。
5月号は「ハワイなのに雨やんけ!」な連作、6月号は「晴れ間にいろいろ詰め込んだよ!」な連作、という感じ。
眩しくて息苦しくて 地に添って咲く花ばかり見つめてしまう/本条恵
「未来」2018年7月号
4月頃につくったので、夏だけど桜の連作です。ストーリー的な連作じゃなくて、題詠「桜」で10首作ってならべました、みたいなほう。
「いらすとや短歌」のときのうたも、この号です。
歪みない輪の中央の神さまが皆には見えているのだという/本条恵
「未来」2018年8月号
この号は「輪」で10首。こういう、題詠で10首作るのって楽しくて作りやすいのだけど、先日の歌会で「前後の歌がつながってるのかどうかわからなくて読みにくい」という評を受けたのが納得すぎたので、来年はその辺を課題にしたい。
いつからか君は風上に立っていて私の声はほどけるばかり/本条恵
「未来」2018年9月号
でもって次は「風」。8月9月号の分は、なんかすごくゆとりをもって作れた記憶が……と思ったら、4月から下の子が幼稚園に入ったからだった。(未来に送った原稿は約3ヶ月後に掲載されます。)
また鳥が来ているらしいヤマモモの実はボンネットにたんとん弾む/本条恵
「未来」2018年10月号
この月は、庭のヤマモモの木が育ちすぎて大変だった。大変だったことは歌にして供養していくスタイル。ヤマモモは剪定してもらったので、来年はもうちょっと穏やかな初夏になるはず。はず。
君の中にあるはずの海に行きたくていつか言ってた小説を買う/本条恵
「未来」2018年11月号
8月だったので夏っぽい感じで。このころは、夏休み+夏の大会前で、ひたすらテンパっていたような。去年くらいから隙あらばテンパってますが……。
さみしくて梢をつかんだ蔓草はやがて梢を枯らしてしまう/本条恵
「未来」2018年12月号
最後は植物をテーマに。せっかく12月号に載るんだから、クリスマスツリーとかでも作ってみればよかったな。
そんなこんなの月詠一年分でした。来年もよろしくお願い致します。