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短歌のはじめかた
よーし、いっちょ短歌でもやるか!
と思い立ったとき、どういうルートがあるのかなーっていうのを考えてみました。
一年半ぶりの、「DMを頂いたので喜び勇んでお答えしようと思ったのだけど、どうやっても長文になってしまいそうなので、もういっそnoteにしてしまえ!」企画の第二弾です。
いきなり短歌結社に入る
私 is これ。
年会費はそれなりにかかるけど(「未来」は22,000円/年)、自作の載った「結社誌」が毎月届くという嬉しさがある。「歌会」「新刊歌集」などの情報もゲットしやすくなる。あと、好きな歌人さんの新作が毎月読める。
毎月の〆切があるため、「定期的に短歌をつくる習慣をつけたい」という人にも良い。
ただ、結社によって、
「うちは、複数の選者が月替わりで作品を読みます」
「うちは最初に選者を決めてもらう師弟システムです」
「うちは選者いません」
みたいな違いがあるし、選者によっても
「がっつり添削します」
「鑑賞文たくさん書きます」
「選歌(いい歌を選び、いまいちな歌を落とす)だけします」
「お願いすれば短歌書籍を無限に貸してくれるし、なんならオススメのカレー店とかも教えてくれる」
などの違いがあるので、ある程度の情報収集はしておいた方が良いかも。まぁ、フィーリングと勢いでいったん入ってしまって、「なんか違うな?」ってなったら別のとこに入り直す、でも良いと思う。
「どんな結社があるのかわからん」ってひとは、
・Wikipediaの「短歌結社」を見てみる
・短歌総合誌(月刊短歌雑誌)の「短歌研究」「角川短歌」「歌壇」「短歌往来」などを1冊購入してみて、巻末などにある結社の広告や、寄稿者のプロフィールなどを眺めてみる
・多くの結社はメール等でお願いすれば見本誌を送ってもらえるので、実際にパラパラ読んでみる
などが手っ取り早いかなー。
あとは、後述の短歌情報ポータルサイト(「TANKANESS」「tankaful」など)にも、短歌結社比較特集みたいな記事があったかもしれない。
「私 is これ」と書いたけど、私の場合は「文芸活動を再開したい、するからにはちゃんと先生に教えてもらいたい」みたいな感じだったので、「こうやって短歌を始めました」とはちょっと違うのかもしれない。
「再開」の前は何をしていたかというと、大学の文藝部(サークル)で詩歌を書き散らかしたり、歌集を読んだり(当時は、枡野浩一さん、俵万智さん、穂村弘さん、寒川猫持さんなどを読んでいました)、文芸投稿誌「TILL」等に投稿したり、「はてなダイアリー」の短歌企画に乗っかったりしていました。
(まだSNSがなかった時代の話!)
カルチャーセンターや公開講座に行ってみる
「たらちねmama」 is これ。
私の所属する「たらちねmama」は、某公民館主催の短歌講座の参加者が、講座終了後に立ち上げたサークルです。
たらちねに限らず、結社の知り合いでも、「カルチャースクール系をきっかけに短歌を作るようになって、のちに結社に入った」みたいなひとはかなり多い。
形式も費用もまちまちで、有名な歌人の先生が講義をしてくれたり、一緒に歌会ができるものもある。
「オンラインで全5回の講義」みたいなやつもあれば、「毎週第二火曜に〇〇公民館でリアル歌会」みたいなのもあるし、「毎月自作を5首送ると、添削されて返ってくる通信制講座」みたいなものも。
地域の公民館や図書館、文学館などが「公開講座」「カルチャー講座」「歌人を招いて〇〇」みたいに行っているものは、比較的気軽にお試し出来る回数&価格帯のものが多いイメージ。
参加者の方も、「憧れの歌人に会ってみたい!」「なにか習い事を始めたい!」「ガチで短歌を独学中!」「よくわかんないけど友人に誘われた」など、いろいろいらっしゃるイメージ。
NHK学園 通信講座(短歌)
NHKカルチャー(一例)
コエテコカレッジ(短歌)
ユーキャンの短歌講座
よみうりカルチャー(一例)
朝日カルチャーセンター(一例)
大学の公開講座(短歌)
投稿してみる
SNSに「#短歌」などをつけて投稿する、ネットプリント企画に飛び入り参加する、新聞の「〇〇歌壇」やテレビの「NHK短歌」などに投稿する、短歌雑誌「短歌研究」などの読者投稿コーナーに応募する、「公募ガイド」を買ってきて賞に挑戦してみる、などなど。
オンライン歌会サイト「うたの日」なども有名です。
昔は「朝日歌壇だけに〇十年投稿し続けてる」みたいな人もいたし、今も、誰かに師事することなく、SNS投稿者同士でサークルを作って「文学フリマ」などに出品する、などのルートはわりと王道かも。
投稿系は、気軽にできて気軽に休める、費用があまり掛からない(投稿料が必要なものもある)、採用されると嬉しい(賞金などが出るものもある)、などの利点があるけど、ネット系は誰でも見られる分「愉快犯が的外れなディスをしてきて心が折れる」などの事件も過去に聞いたことがあります。
また、長期的に続けるなら、併せてなんらかの自習なり、コミュニティ作りなりが必要になりそう。
歌書・歌集を読んでみる
「短歌は、読む人(読者)と詠む人(作者)がほぼイコールの文学である」みたいなことばを聞いたことがあって、これは「読むと不思議と作りたくなっちゃうし、案外作れちゃうよねー」みたいなことなのかなぁ、と。
実際、私の友人にも「好きな歌人さんの作品について語るフォーラム(ネット上の集まり)に入ってみたら、いつの間にか短歌を作る側になっていた」という人がいます。
「まずは、短歌作品を広く浅くいっぱい読みたい!」というひとには、アンソロジー本がオススメ。
『短歌タイムカプセル』(編:東直子、佐藤弓生、千葉聡)
『桜前線開架宣言』(編:山田航)
『現代の短歌』(編:篠弘)
『現代の歌人140』(編:小高賢)
など色々あって、どれも「数々の有名歌人の代表作が30首ずつ載ってる」みたいな贅沢セットです。(下二冊はプレミアがついちゃってるかも。案外、古本屋さんで200円くらいで売ってることもあります。)
「よーし、この本、最初から最後まで全部読もう!」って頑張ると、途中で燃え尽きがち。
その日の気分でぱらぱら捲ってみて、「おっ」と思う歌があったら前後もちょっと読んでみて、刺さったら今度はその人の歌集を買う、くらいで良いと思う。
「短歌のHowTo本が読みたい!」というひとには、入門書がこれまた山ほど出ています。ただ、これはいろんな種類……段階向け……のものがあって。
本によっては「短歌の心得」だったり、「私はこうやって作ってる(けど真似は出来ないかもしれない)」だったり、「短歌の基礎知識」だったり、「名歌の観賞」だったり、「問題集」だったり、「初・中級者向けの文法」だったり。
それぞれの良さがあるのですが、以下の2冊は、私が読んだ入門書の中で、入手しやすくかつオススメです。
『シン・短歌入門』(笹公人)
『はじめてのやさしい短歌のつくりかた』(横山未来子)
また、短歌雑誌に関しては、前述の「短歌研究」などの他に、奇数月刊行の「現代短歌」、短歌ムック「ねむらない樹」などもあります。
どれも面白いのですが、短歌をはじめたい人がまず最初に手に取るべきか、と言われると、ちょっと悩むところです。
(いろんな歌人の新作短歌や、歌論などが載っているので、例えば「まずは、結社とか関係なく、“今” 活躍している推し歌人を見つけたい!」みたいな使い方にはいいと思う。もちろん、「今月は “芸人×短歌” 特集か、気になる~!」みたいに、気になる号だけパッと買えるのも有り難いところ。「短歌研究」「角川短歌」「ねむらない樹」あたりは、町のちょっと大きな書店でも売ってるし、他もたいていネットで購入できる。)
もし、「毎月なにかを購入して自習したい」のであれば、前述のテレビ「NHK短歌」を毎週観つつ、そのテキストを毎月買う、というのがやりやすいのかな?
最後に
項目別に分けてはみたけど、実際は「それぞれをちょっとずつやってる」みたいな人がほとんどだと思う。
そして、以上は私が大なり小なり通った道なので、ほかにも「通っていない道」がたくさんあるはず。
以下の短歌情報ポータルサイトも、お時間があったら!