四輪競技から見た自転車レース①〜タイヤ編〜
https://x.com/hrt_racing_jp/status/1782343700141715829?s=46
先日Xでこんなポストをしました。
「コーナー途中で落車やフラつきが多発して物議になっている東日本ロードレースクラシックですが、昨年末まで四輪競技をしていた自分からすると、同じタイヤでレースをしていないこと自体、すでに"異常"なんですよねー。」
と。
まず最初に前提として理解していただきたいのは、僕がJBCF参戦初年度の比較的初心者であること、四輪競技もプロとしてやっていけるようなレベルではなかったこと、この2点です。なので、今回綴る文章も、あくまでも「タイヤを使ってレースをする」ということしか共通点がないような四輪競技をやってきた、半部外者のひとつのコメントとして受け取っていただきたいです。
本題に参りますが、今回の東日本ロードレースクラシック(に限らず)のレースではコーナー途中でフラついたり、落車があったようで、Eカテゴリだけでなく、プロカテゴリーの選手も声を上げる事態となりました。
そのとき私が最初に感じたのは、「自転車競技者全体のタイヤの重要性の認知不足」です。自転車競技、特にロードレースは競技の特性上、ほとんどの場合はライダーの脚力が結果につながってきます。そのため、転がり抵抗が低いタイヤを選ぶことも、ある意味では必然的な選択です。
一方で、四輪競技はエンジンという莫大なパワーを持つ原動力があるため、転がり抵抗を気にするよりも、タイヤのグリップ性能の変化の方がタイム、結果に大きく影響を及ぼします。例を挙げたら、一般的スポーツタイヤからハイグリップタイヤに変更すると、筑波サーキットのようなコースでは、30馬力上げるのと同じくらいのタイムアップが期待できます。
そのため、ほとんど四輪競技ではカテゴリーごとにタイヤが指定されていて、どんなマシンもイコールコンディションになるようにルールが定められています。
しかし、このルールは建前であり、本当の目的は「タイヤの性能差による追突、接触事故を防ぐ」ことなのです。
当たり前の話ではありますが、低グリップタイヤを履いたマシンが、ハイグリップタイヤを履いたマシンと同じ速度で曲がったら、曲がり切れません。
なぜ自転車競技では大規模なコースアウトが起きないかというと、これも当たり前の話ですが、「コーナリングスピードが低グリップタイヤの限界値より低いから」ですよね。
しかしこれが今回の東日本ロードのような、高速コーナーが続くようなレイアウトになってくると、低グリップタイヤの限界を迎えて、低グリップタイヤ勢がフラつき始める。ものすごく当たり前のことです。必然的と言い切ってもいいくらいのことだと思います。集団の真ん中で埋もれていた場合、そこから抜け出すことは難しいですから、今回のようなことが起こるのだと思います。
ここが"異常"なところなんです。
「異なるグリップ力のタイヤが混在して、同じコーナリングスピードで曲がっている。」
四輪競技では絶対にありえないはずの、「転がり重視のタイヤ」と「ハイグリップタイヤ」の混在。クルマで言ったら「転がり重視のタイヤ」なんてエコタイヤくらいしかありませんから、実は自転車競技ではとんでもないことが起こっているということが伝わると思います。もちろんロードバイク用として販売している以上、一定のグリップ性能があるとは思います。
じゃあなんで四輪競技では低グリップの長持ちタイヤを履いても集団コースアウトがあまり起きないの?というと、そもそもタイヤのグリップが低いとラップタイムが秒単位で遅くなりますから、タイヤのグリップレベルに応じて必然的に集団が散らばっていくんですよね。なので、タイヤの限界値を使っている時間が長いと、違うタイヤの性能のマシンと並ぶことは基本的に無いです。
極論、ライダー全員が「60キロ巡航をしながらもホイールスピンをさせるようなものすごい剛脚」だったとしたら、一周のラップタイムはタイヤの性能差で決まってしまうとも言えます。
競技の速度域的にタイヤの限界値を使うことが少ないがうえのタイヤへの意識不足というか、「あんな速度でコーナー飛ばすとかおかしい!」って言うくらいなら「じゃあ脚力あげて低グリップタイヤに頼らなくても集団走れるようになろうよ」という印象を受けました。
プロカテゴリーの選手のコメントを見ていても気づいておられない方が、大体こういうポストをしていて、「やっぱりタイヤへの考え方が違うんだな」と感じました。
まとめにはなりますが、皆さんが想像してる以上にタイヤってすごいんです。多少お財布は痛いですが、ハイグリップタイヤを買って、自分から引き起こす落車リスクを減らすことは、落車による治療費よりも安く上がりになるはずです。ハイグリップタイヤを使って悪いことは基本的にありません。買える安全を買って、安全に、楽しく、レースを楽しみましょう!
次回は、「四輪競技から見た自転車レース②〜隊列編〜」について述べたいです。コーナリング中のラインキープなどを四輪競技視点から見ていきます。
【余談】
自分のフレームがダンシングしづらすぎて乗り換えたい、、、
ディスクブレーキ乗りの方譲ってください!?
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