愛でることの愉しさ 民藝品 九州・沖縄編
突然ですが、トップの画像は私の家のリビングです。
各地で色々な民藝品を集めていたら、気づけばこんなになっていました、、
この民藝品を眺めながら、お酒を飲むのがささやかな楽しみでもあります。
さて話は変わりますが、この前一緒に働いている海外の方に「日本人は表情から何を考えているのか全然わからない。どうやって日本人同士はコミュニケーションをとっているんだ??」
と真剣に質問されました。
確かに他の国・地域に比べ、アジアの地域は「空気を読む」ことで、言葉を介さず暗黙の知というコミュニケーションをとる傾向にあります。
さらに、日本人は物や空間を鑑賞し愛でることで、四季に代表される微妙な日常の違いを表現することにも少し長けていると思います。
個人的にはそんな何気ない日常を具現化した代表例が、民藝だと思うのです。
***ここまでおっさんの戯言***
本編
とまあ色々な理由で民藝が好きなわけですが、今日はこれまで行ってよかった民芸品について少しだけご紹介できればと思います。
今回は九州・沖縄編です。
(福岡県)大川組子
福岡の大川といえば家具の街として有名ですが、民藝でも有名なものがあり、大川組子と言われています。
大川組子は「ななつ星」をはじめとするJR九州の特急列車、D&S列車にも使われています。
そもそも組子とは釘、ネジを使わずに木材を幾何学模様に組んだ技術のことで、元々は寺社仏閣の建物に技術が使われていたようです。
文様(デザイン)は、最も有名な麻をはじめとして、本当にたくさんの種類があります。
こちらのサイトに詳細な説明がありますので、気になる方は見てみてください。
最近は直線だけでなく、曲線を使った組子作品も増えてきています。
例えば、こちらは私の家にある作品のひとつですが、直線の幾何学模様と曲線が合わさると、少し現代的な雰囲気になって◎です。
工房に行って一目惚れし、まだ製作途中のものをその場で購入しました。
大川組子は木下木芸さんや、仁田原建具製作所さんが有名です。
仁田原建具製作所さんは、事前連絡をすればギャラリーにて直接作品を見て購入することも可能です。
(大分県)小鹿田焼
全国的にも有名な小鹿田焼。小さな点が放射状に存在する飛び鉋や刷毛を使った模様が有名です。
家の食器は全部小鹿田焼です笑
焼き物としてもとてもユニークですが、小鹿田焼が好きな理由は焼き物の里としての雰囲気にあります。
着いて驚くのですが、山間の集落全体が時が止まったような感じ。
太陽が出ているときには濾した粘土や、焼く前の作品を干している作業を見ることができます。
川沿いにはでっかい木の臼と杵が水の力で陶土を練っており杵が打ち付ける音が集落内に響きます。
ひっそりとした山奥にあり、時が止まったような雰囲気は、他の焼き物の里にはない独特で惹かれるものがあります。
小鹿田焼を集落で直接購入すると、18cm前後の皿であっても1000 - 3000円の間で買うことができるので非常にリーズナブルです。
是非現地に行かれてみてください。
(鹿児島県) 龍門司焼
鹿児島県内で有名な焼き物として薩摩焼というものがあります。
薩摩焼は戦国時代にまでさかのぼるようで、朝鮮出兵の際に朝鮮人の陶工を連れ帰ったことがルーツのようです。
薩摩焼には大きく「黒もん」「白もん」に分けられ、白もんは主に装飾品、黒もんは主に酒器・食器として使われています。
日置市にある美山地区が集落として有名ですが、私がおすすめしたいのが少し離れた場所にある工房、龍門司焼です。空港からほど近い姶良市加治木町にあります。
龍門司焼をお勧めする理由は釉薬。龍門司焼は珍しい青い釉薬が使われており他の薩摩焼とは異なる趣です。
黒もんの黒色と、釉薬の青色の対比が非常に珍しく、さらに青色のグラデーションも非常に映えます。
白もんであれば美山地区の沈壽官窯さんなどが有名ですが、黒もんでお探しであれば、龍門司焼行かれてみてください。
(沖縄県) 壺屋焼、やちむん
沖縄那覇で有名な観光地、国際通り。そのすぐ裏にあるのが壺屋焼です。
陶土に書かれたきれいな模様や絵は、沖縄独特のもので、自分が好きな模様を探すのもまた一つの楽しみです。
壺屋焼には共通の特徴が細かく決まっていないため、様々な種類の焼き物を見ることができます。
沖縄で有名なシーサーもここで買うことができます。このシーサーや、後ろの皿も壺屋で買ったもの。
通りもおしゃれなので、国際通りを観光するついでに寄るのもおすすめです。
なお、戦後沖縄復興の過程で薪窯による煙が問題となったため、現在の壺屋焼はガス・灯油窯に転換しており、薪窯を使う陶工は読谷村にある「やちむんの里」に移窯されたそうです。
やちむんの里は現在もあるので、読谷村にいかれた際には是非寄ってみてください。
(沖縄県・石垣島) 石垣焼
石垣島にある石垣焼は、沖縄のやちむんとは少し異なり、無骨な焼き物とは一線を画す非常にきれいな焼き物です。
全国的にも珍しい陶器とガラスを同時に使用して、陶器の無骨さとガラスの繊細さ・美しさを絶妙に表現されている美しい作品です。
その昔、上皇上皇后両陛下も購入されたことがあるみたいで、現地のギャラリーには写真が飾られていました。
まるで沖縄の海を具現化したようなきれいな青いガラスの文様は、飲み物・食べ物が非常に映えます。
以上、今週もありがとうございました。
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