中国文化ルネッサンス【美しき漢服の世界】!
はじめに
【漢服】とは?
ようこそ古代中国の世界へ!
進化する漢服
終わりに
はじめに
いつからでしょうか、中国の街中で美しい伝統衣装で着飾った女性たちが一般的になったのは?19年の11月11日、中国EC大バーゲンの日には1.8億元(270億円)もの漢服の売り上げがありました。いまではタオバオ‐淘宝で【漢服】を探すと、Tシャツよりも多くの商品数がヒットします。今回は漢服の秘密と、その隆盛についてお話ししていきます。
【漢服】とは?
(漢服を身に着ける女性)
さて漢服の話の前にまずは実際に漢服を着てみましょう。「これは半そで、これはクラッシック、若者向けはこれね」。レンタル漢服屋さんに来ましたが、その数に圧倒されました。「お兄さんこれを着てみます?金が織り込んでいる漢服で、1万元(17万円)するわよ」。丁重にお断りしました。
(著者の悪ふざけ写真)
実際に身に着けてみましたが、ゆったりとした着心地で落ち着いた雰囲気になれました。南国広東省では汗だくになりそうですが(笑)
漢服はもともと漢民族独自の服装で、日本人が考えるチャイナドレスとは異なります。チャイナドレスは満州族という清王朝時代の遊牧民の服装がベースとなっており、中国国内の少数民族の文化です。
(満州族由来のチャイナドレス、漢服とだいぶ印象が違います)
その漢服が注目されるようになったきっかけの一つは、2001年の中国開催のAPCE会議。APECでは開催国の伝統衣装を着ることになっていますが、「私達は何を着るべきなのか?」という疑問が提唱されました。
(まだこのころは漢服は洗練されておらず、すこし野暮ったいですね)
2000年代後半から中国経済の急成長に伴い、伝統文化の復興活動の一環の中で、漢服は再度中国で復活することになりました。
(流行の発信源となる媒体の成長が、文化の拡散につながります)
13年から14年頃の中国のソーシャルメディア、WECHATやBILIBILI動画の発展に伴い漢服は徐々に注目されていきます。情報発信力の波にうまく乗れましたね!
面白いのはこの復興運動の多くは流行の先端に行く若者や、中国のネット住民が主導していたということです。多くのスレッドで「漢服はいかにあるべきか」などの議論が交わされました。若者にとって漢服が好まれる理由はその美しさ以外にも、皆で流行を共有できるという文化体験的な側面が強いといえます。
ようこそ古代中国の世界へ!
盛り上げを見せる漢服運動のなかで最大のイベントは、「西塘汉服文化节-西塘漢服文化祭」で、2019年で第7回を数えました。参加する人たちも、北京のITエンジニア、上海のうら若きOL、広州のKOLなど多岐にわたります。彼らは今日一日、「同袍‐漢服オタク】として再開を喜びあいます。
以前このイベントではカメラ片手の観光客が目立ちましたが、今では大半の来場者は「同袍‐漢服オタク】です。日本のコミケと同じ雰囲気を感じますね!
(ファッションモデルたちによる撮影会)
イベントのハイライトは、水上パレード!各時代時代の漢服を身にまとい、KOL達が豪華絢爛な姿を同袍たちに見せてくれます!このパレードではTIKTOKなどのソーシャルメディアやアパレルメーカー、果ては美容ブランドがスポンサーになっているので、例年の規模もますます大きなものになってきました。
(美しい江南の街並みと伝統衣装が良く映えます)
進化する漢服
盛がる漢服運動ですが日々変化し続けています。漢服自体が、史料や古代の文献を基に復元したものであり、正しい漢服というものの定義はありません。それが逆に新進気鋭のデザイナーに、自分なりのスタイルを確立させる機会を与えてくれます。場合によっては、朝鮮王朝式の韓馥や和服式の漢服も生まれるかもしれませんね。
「僕が漢服ビジネスを始めた時とは大きく状況が変わります」。ブームの火付け役の辰辰さんは語ります。「2010年頃は1月に10着売れれば、良い売り上げでした。今は1万着以上売れている月もありますよ」。
(漢服マーケットレポートより作成)
若者を引きつける魅力は何ですか?「常に若者にアンケートを行って、漢服の流行を意識することです。タオバオなどが販売チャンネルですが、すぐに流行の流れが読めますよ」。
漢服の主な購買層は20代前半の若者です。彼らにとっての消費チャンネルがECサイトに移りつつあるのと、中小メーカーの販売側にとってもタオバオという販売チャンネルは欠かせません。「ですが漢服が世に出始めたという点では、まだまだ社会に根付いているとは言えないと思います。」
(職場で漢服を着るのは、まだまだ少数派である)
確かに日常生活には不便なのと、礼服としてもまだ漢服は根付いているとは言えません。ブームからの次の段階に進むのが待ち遠しいですね。
終わりに
漢服は中国の若者の自信と、自国文化への誇りとみることができるのではないかと、私は感じています。中国人ではない私ですが、力強い中国文化の復興は私にも誇らしさを感じさせてくれます。
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