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復刻版「清八のちりとてちん」その1~3

エピローグ

 浜松市内で24年以上続いている静岡県遠州地区の食コミュニケーションサイト「ソルト・ドットコム浜松」内に、2003年2月から掲載させていただいている私の「食」に関するコラム「ちりとてちん」があります。現在、月1回の更新を継続中です。2024年12月27日の更新で、その230になりました。
 私と奥様は結婚前から、浜松市中央区佐鳴台にあるフランス料理レストラン・エピファニーに定期的に通っていました。今年41周年との事ですので、1983年頃からです。特に1999年から2018年まで毎月開催された「ワイン会」には5年間位通い、ワインの勉強をさせていただきました。
 2002年頃だったと記憶してますが、南竹シェフからホームページの事とか掲載内容についての話題が続くようになりました。「ソルト・ドットコム浜松」にお店を掲載するようになってからです。そして、当時の水谷編集長を紹介され、何か「食に関するコラム」をと依頼されました。二人で考えたのが、このタイトルでした。
 「ちりとてちん」?実は落語の演目です。実は落語の演目です。三味線の音色から取られた”微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。噺家の目から見た”食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら‥
 このように紹介していただきました。
 当時のコラム記事の誤字脱字を直し、画像を追加しての復刻版です。

No.001「ちりとてちん」(2003.2.10)

 今回から始まります、このコラムのタイトルでニヤッとされる方は、かなりの落語好きだと思います。東京落語では「酢豆腐」という演目のこの落語、町内の友達仲間が集まって歓談中、横丁の通人気取りの若旦那を困らせてやろうと、腐った豆腐にカビが生え、酸っぱいにおいがしているものを台湾からの土産物として試食をさせます。
 鼻ツン、目ピリなるしろものを一気に息もつかさず口に流し込みます。その後、この若旦那のリアクションは?という噺です。
 食に関するコラムですから、これ以上は書けませんが、現実社会に当てはめてみると、グルメブームの行き着くところは?と考えるのは、ゴメンナサイでしょうか?
 さてと、これからどれだけ続けられるか、読んでいただけるか、心配なのですが、私は遠州生まれの遠州育ちです。地元の米や魚や野菜を食べ続けていますが、関西系の味付けが好みです。ビール大好き人間ですが、発泡酒やドライビールは嫌いです。ベルギービールにはまっています。ワインも国内で入手できるドイツワインを試飲し続けて体調を悪くしました。紹興の紹興酒(メイドイン台湾ではない)も大好きです。沖縄の泡盛も大好きです。
 このような好きな飲み物に合う食べ物は?と、いつも考えています。「食文化」という言葉がありますが、やはり食前・食中・食後酒を含めての食べ物という概念まで広げられては、如何でしょ合うか?
 私の軽薄な経験と独断の知識がお役にたてれば、幸いです。

No.oo2「人前で喋るということ‥」(2003.3.11)

扇子と手ぬぐい

 清八でございます。
 初回のコラムへのリアクションがありました。「噺家って何ですか?」
「噺家さんだったら、落語の中に登場する食べ物の話とか、噺家さんの食生活について書いて下さい」‥。
 そこで、今回は、こんな内容で、ゴメンナサイ。
 芸名又はペンネームとして、30年、この「喜六家清八(きろくやせいはち)」を使ってます。
 今まで思い出せないくらいの「どうして、この名前を考え付いたのですか?」という、ご質問を受けては、その時々で適当に答えてきたのですが、一つのお答えは「喜六、清八が上方落語の登場人物だったので、繋げただけです」です。江戸落語で言うと「熊家八五郎」とか「与太家八五郎」というパターンでしょうか。私は、遠州生まれの遠州育ちなのですが、落語を演じる時は、大阪弁や京都弁を使います。もう一つのお答えは、大学での専攻が電子計算機(古い言い方で、すみません)であり、古本や古レコードの蒐集が趣味だったので、「きろくや」を洒落ましたという理由です。アマチュアの噺家ですが、今まで、いろいろな所でお喋りさせていただき、ホームグラゥンも持たせていただいております。
 初めての会場、お客様に接した時、こんな小噺からスタートしてきました。いろんな場所でお喋りをさせていただきますが、人さんの前で喋るという事は、なかなか難しいもんでっせ。逆に黙ってたらやさしいか、と言うたら、これも難しいですわな。禅宗に無言の行という荒行があって、一言もものを言うたらいかん、という修行ですが‥。
 あるお寺で、この無言の行をやろうというので、三人の坊さんが座禅というやつを組んで‥。「さぁ、これからひぃふぅのみっっで、手を叩いたら、何があっても、もの言うたらいかんのやで‥」と始めました。しばらくすると、一番端の坊さんの頭に蜂が飛んできて、ブーン、チクッ!「痛っ!」。ほな、もう一人の坊さんが「もの言わんのは、わしだけや」言うて、みな、喋ってしもた。
 これで笑っていただけると、後は、展開が楽になりますな。
 今回は、このくらいにして、落語の中の食べ物の話、噺家さんの食生活の話、私の大好きなベルギー・ビール、ドイツワイン、大阪・京都の食材、沖縄の酒の肴、海苔や鰻、しらす、といったこの土地の食材の話など、思いつくままに書かせていただきますので、よろしくお付き合いの程、お願いします。

No.003「シネマの厨房」(2003.4.9)

 清八でございます。
 先日(3月15日)、「マーサの幸せレシピ」を観てきました。アカデミー賞外国語映画賞の候補となっているこのドイツ映画は、ハンブルグのフレンチ・レストランが舞台となっています。一流の腕前を持つ、でもオーナーからは、何故か”街で二番目のシェフ”と呼ばれている女性シェフが経験していく、人との出会い・新しいレシピとの出会い‥。ストーリーは書きませんので、映画館でご覧ください。
 当然、このレストランと彼女のアパートの厨房と利用理シーンが克明に描かれて、ストーリーが展開されていきます。メニュー料理は当然としても、毎日の賄い料理まで登場させて登場人物たちのキャラクターが描かれていきます。家でもできるかな?と思ったのは、生ハムをのせた、茹でたアスパラガスの一皿でした。又の機会に詳しく書きますが、私の大好きなベルギーでは、春、白アスパラガス料理が各レストランに並びます。これから旅行される方は、絶対食べてみて下さい。やみつきになると思います。それから、イタリア料理も登場するのですが、賄い料理として粉チーズとパジリコのみのスパゲティがありました。私は関西系ですから「素うどん」とか「素そば」という表現をします。お店の名前は忘れましたが、コース料理の時に、茹でてオリーブオイルでからめただけの「素スパゲティ」を食べたことがあります。おもしろい選択肢であり、又、自信がないと出せないのにと、感心したことがあります。
 さて、レストランや厨房、料理を扱った映画はこれまでもたくさんあって、興味深く観ています。台湾映画「恋人たちの食卓」では、無錫風スペアリブ、海老とグリンピースの炒め物、苦瓜のスープが記憶に残っています。

1995年7月1日 発行のパンフレット表紙


 メキシコ映画「赤い薔薇ソースの伝説」では、映画の題名にもなっている薔薇の花びらとエッセンスを使った鶉料理、言葉ではなく調理シーンが主人公の心を表していました。

1993年6月12日 発行パンフレットの表紙


 フランス・ベトナム合作映画「青いパパイヤの香り」では、中庭の緑陰が炊事場になっていて、女性たちはしゃがんだまま米をとぎ、野菜ょ洗い、きざみ、ほうろうの鍋をコンロにかけて調理をしていました。パパイヤは、青い時は野菜とみなされ、熟すと初めて果物となる、ことも初めて知りました。その後、中華料理、沖縄料理に、この青いパパイヤを使った料理があることも知りました。映画の楽しみ方は、人それぞれですが、料理や厨房、調理器具を見るのも面白いですよ。ちなみに、私は英語圏以外の映画を好んで観ております。料理の好みも人それぞれでしょうが、英語圏の国の料理より英語圏以外の民族料理の方が味わい深いし、愉しみが多いと思うてます。

1994年8月13日 発行のパンフレット表紙




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