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甘いものを選ぶ
甘いものが好きで、食べたいといつも思っている。とはいえ、甘い飲み物は好きではなくて、食べ物。
でも、よし、今日は甘いものを食べよう(毎日、何かしら食べてるんだが)と決意しても、いざとなると、どの種類の甘味を食べたらいいのか、わからない。
いつものバニラアイス?クリームたっぷりのぶ厚いパンケーキ?チョコバナナクレープ?はたまた亀十的などら焼き?豆大福もいいよね。
考えているうちに、脳みそが甘ったるくなってきて、やっぱりあそこの、生姜醤油ラーメンじゃね?というより、おなかが空いてるだけだわ。と思い直す。
その場しのぎで、冷蔵庫のポケットに放り込んであったチーズの銀紙を剥いて食べて、んーなんだかな、とひとりでしらけてしまう。
どうして味覚まで先回りしてしまうんだろうか。パンケーキくらい、するんと食べたらいいのに。該当するカフェの前も良く通るのに、ハードルが高い。
連れ(パートナー)が居心地悪くなるくらい可愛らしいショーウインドウ、すごい出来のいいふんわり盛り付けられた食品サンプルを見ていると。
小麦粉部分と生クリームの比率が、万が一好みでなかった場合の喉の奥のパサつきとか、後半で甘く響いてくるメイプルシロップが、奥歯に染みるだろうなとかを、つい想像してしまって。冷えたコーヒーは、底の方はちょっと粉っぽくざらっとする。その液体で、甘い味を流し込むシーンまで脳内再生して、しらけてしまうのだ。
私が求めている甘いものって、そういうことじゃない。もっとこう、はじめから終わりまで、ハピネスに溢れていてほしいわけで。
そうして、私はパンケーキに見切りをつける。店に入らないの?と驚く彼に「これじゃないと思う」と呟き、その場から立ち去るのである。
基本的にはその時、おなかが空いてるだけなので、ラーメンとか食べて、甘いもの欲求はしばらく忘れてしまう。
でも結局、夕飯の後とかに思い出して、彼が買ってきたそのへんのグミなんかつまんでしまう。むちむち噛んでる間に甘味料やゼラチンで胸焼けしてきて、これじゃない感。なんだかやりきれない気持ちになる。
大人になって、小金も持ってるのに、甘いものひとつ上手く選べないのか。
歳を取るってそういうことなのだろうか?
でも、私はこれからも、日々、最幸の甘いものを見極めていきたい。
細胞が喜ぶようなテッパンの甘味を、日常に取り揃えておき、自分のご機嫌を取れるようにしておかなきゃいけない。私は大人だから。
明日は杏仁豆腐か、あんこが食べたくなりました。