スーパーマーケットの明日へ。
3回に分けてスーパーマーケットの働く人とお客さんの関係をみてきました。
消費事情
昨今のスーパーマーケットの事情で取り上げられている課題には、高齢化社会の波をモロに受けている側面がある。例えば顧客全体を見たときに高齢者層が増えている一方で一人あたりの消費支出単価は低い。一方で働く世代の支出単価は増加傾向にある。
(2021年度版 スーパーマーケット 白書)
失業や解雇が相次ぐ中、受け入れ先の一つとしてスーパーもその一端を担ったことだろう。周知の通り、天災や災害があった時あるいは備える時に真っ先に駆け込んだのはスーパーマーケットであった人が多数なのは間違いなくライフラインだったから。
各企業が勤労手当を支給し、現場に従事している人間の労を労ったのも記憶に新しいのではないでしょうか。昨年の春に、どれほどの人々がマスクや生活必需品の問い合わせに忙殺され謂れ無き誹謗中傷を受けたことか。僕は忘れられない。レジの裏で、涙を抑えきれなかった人々の労苦を。
最前線で従事しているのは地域のお母さま方、あるいは婦人の方々を中心とした女性が大多数だ。彼女たちの労苦なくして、功労なくしてサービスの質は届けられない。1回目の記事に記載した通り。
従業員満足度→サービスの質→顧客満足度
が成り立つ訳です。
女性の貢献と付加価値
従業員どうしのフィードバックも、目指す方向への共通認識も伴走とコミュニケーションがあってこそだ。これこそ、散々お節介と言われてきた彼女たちの「粋」が士気を整えモチベーションを保つきっかけになってくれるのではないでしょうか。
従業員も一人の人間だ。そもそも、最初のお客さんは誰かと考えたときに紛れもなく従業員だ。
女性が活躍する社会を謳っていても未だに変わらない現状もある。(スーパーの女性管理職の割合は20%程度)
そしてデジタル化や無人化が進む中、付加価値とはなんだろうと考える機会が増えたと思う。コロナはその風を押し上げた。
(2021年度版 スーパーマーケット 白書)
この結果を見てもEDLP(EveryDay Low Price)を代表とする安さや商品の価値はもはや従事している人々の問題に留まることなく、大して現場だけの問題では無い。土地や生鮮品はバリューチェーンの課題だ。そうなると、最前線に立っている人達の環境や関係が生み出す付加価値になる。
スーパーマーケット が持ち得る「体験価値」と「社会的価値」の可能性を僕は本気で信じてる。
残すに値するスーパーへ
結びに代えて、全国スーパーマーケット協会と淑徳大学地域連携センターの共同研究プロジェクトというものがあり、「スーパーマーケット Good Action Initiatives」という新たな戦略として目指していくべき目標の設定とその目標に結びつく食品スーパーマーケット企業の取り組み(事例)を 顕彰する取り組みを検討している。
見ていただけると分かると思うのですが、7個のうち今回書いてきた現場に従事している従業員の可能性が3つ含まれていてこの3つがはまっていくと自ずとその他に影響していくのも分かる。
この社会、あるいは地域と共創し住民の幸福やライフラインに加え持続可能で共生していくためにはスーパーマーケットで働く従業員の貢献は必須だと思う。この地域を支えているのは、スーパーマーケットで働く皆さんです。間違いなくキーパーソンだ。
セルフレジや無人レジといったデバイスが増えていく中、それでもなぜか使われ続け選ばれる有人レジ。意図的にそこを選んでいる、あるいはそこにしかない価値があるのだとすれば僕はそこに付加価値があると信じている。無くなっていく恐怖よりも人にしかできないサービスの体験価値を。一つの転換点となるのではないでしょうか。僕はそう考えます。サービス料がかかってでも愛される体験価値を。
最後に。女性が活躍する社会を応援するとともに、そのバトンが次の世代へ受け継げられるように。サービスに従事するすべての皆さんへ。
感謝と敬意を表して。