[散乱文章]その五十二
心の中に、お城を立てる。尖塔がある西洋風のやつがいい。
そこに、あなたへの思いを抱いた私の恋心を、封じ込めて、眠らせる。
恋心は、十七歳の私。制服を着て、あなたの写真をベッドにばらまいて、あなたから貰った、たった一つの宝物を握りしめて、目を閉じている。まだ涙のあとが消えないけれど、少しずつ時間をかけて、思い出に変えよう。思い出はいつだって、美しいものだから。
まだまだ時間はかかるけど、いつかは目を覚ましても、大丈夫な日がきっと来る。それまで、お城の塔の中で、眠っていて。(永久に目覚めないとしても)
このお城の鍵を、しっかりと閉じよう。茨の蔓を、張り巡らせよう。あなたが開けに来てくれることは、もうないとわかっていても。
あなたがもしこの城を見たら、魔物が住むと思うかしら?そう見えた方がいい。そうしたら、近づかない。近づかなければ、もう、傷つかなくて、いいのだから。
散乱文章その五十二「恋心とお城」
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