#検察庁法改正法案に興味ありまくりでして
昨今話題の
#検察庁法改正案に抗議します
#検察庁法改正法案に抗議します
の件です。
さて話題の「検察庁法改正法案」ですが、
もしかすると今国会で衆院を通過する「かも」しれないわけですが、調べていくと大きな問題をはらんでいるようです。
一説ではツイッターで上記ハッシュタグが400万とか500万とは言われていますが、問題を深く理解しているかどうかはともかく、多くの人がその「危うさ」を危惧したからこそ、これだけ広がったということでしょう。
以下では、僕がこの問題についてちょっとだけ調べて考えるにあたって、参考にさせていただいた国会質疑や法曹関係の方のノートなどをリンクしていきます。
ちなみに言うまでもありませんが僕はただの素人ですし、法律にも疎いです。ただの素人がある問題を理解するために使わせていただいた様々な記事やツイートをご紹介しますというのがこの趣旨です。間違っても、「解説」とか「説明」の意図はありません。ただ、どうしてそのリンクを参考にしたのか、というところだけ若干コメントするようにします。
また、強調しておきたいのは、これらの情報を吟味してからでないと、この話題について口にするべきでないとか、よくわからないのに流行に乗るべきでないとか、そういう意見には僕は与しません。
僕も最初にハッシュタグをつけて呟いた時には、内容を十分理解してたわけでもありませんので。でもいいじゃないですか。「なんかおかしい」「ここはおかしい」でいいじゃないですか。
(もちろん僕自身、今でも十分に理解しているとは思っていません)
では始めます。
1 3月16日の国会質疑(共産党山添拓議員)
https://www.youtube.com/watch?v=6S0dGMpvdMQ
まずはこれをご覧ください。
長いので嫌だという方は動画の7分55秒くらいから見てください。
山添議員の指摘は明快です。
議員はまず、改正案の問題点を検察庁法改正案の「第22条5項および6項」に絞って質疑されています。
端的に言って、まず私もこの条文こそが問題ではないかと認識しました( *1)( *2)。
つまり端折って言えば、「幹部検事の人事に内閣が影響力を及ぼしうる条文になっている」という点です。
この点について説得力のある反論を目にしたことが今のところありません。
*1 他にも問題になりうる条文はありますが、まずはポイントを集約します。
*2 そしてこの改正条文が、今年の1月になって変更になっていること、つまり黒川検事長の定年を法解釈によって延長すると閣議決定した後に変更されていることも記憶しておいてください。巷では「以前から審議されていたことで、既定路線だ」という反論も見られますが、改正案が大きく変更になっている以上、「以前から審議されていた」という指摘は当たらないと思われます。
2 サンデーモーニング 青木理さんの解説
https://www.youtube.com/watch?v=iHgoTDMNRGA
動画で端的にまとまっているのはこちらだと思います。この中で、「黒川氏を検事総長にするために」という言葉が出てきますが、これについてはたくさんの反論が出ているので真偽のほどはわかりません。しかし、条文の問題点がわかりやすく解説されていると思います。
3 モトケン @motoken_tw さんの連ツイート
https://twitter.com/motoken_tw/status/1259518856977977345
では次に、よく言われる「検事の定年を伸ばすことの何が問題なんだ?」に対して端的に問題を指摘してくださっている方の連続ツイートを紹介します。
元検事の弁護士さんらしく、非常に詳しくわかりやすいですね。特に最初に言われている
”検察庁法の改正により検事の定年を延長する問題は、検事以外の国家公務員の定年と同じにするだけだから問題がない、という意見があるようですが、検察庁法の改正問題はそれにとどまらない問題を含んでいます。”(引用)
という言葉、とてもわかりやすい導入です。
要するに問題は定年延長そのものじゃなくて、幹部人事に内閣が口出せる仕組みになってるんだよ、ということを端的に指摘されています。
4 Shin Hori @ShinHori1 さんの連ツイート
https://twitter.com/ShinHori1/status/1259470662168571904
この方もモトケンさん同様、弁護士の方で、とてもわかりやすい問題点の整理をしてくださっています。
また、いろいろな反論についても逐次指摘しておられ、巷で言われている「何がそんな問題なんだ?」に対して冷静かつ的確なツッコミを入れてあるなあ、と感動しております。
この連ツイ以外も必見のものが多いです。
5 「原文で考える 検察庁法改正案」
https://note.com/tokyodistillery/n/ne0090ce03f7e
もう少し詳しく知りたいんだけど。でも、原文を当たってみないと信用できない。という方は
この方のノートをお勧めします。先ほど書いた通り、「昨年末までの改正案」と「今年になってからの改正案」が比較検討されているのでわかりやすくなっています。
法曹関係の方なのかわかりませんが、どちらかと言えば実務家よりの分析で、「まずは冷静に議論を整理したい」という方に。
6 国家公務員法等の一部を改正する法律案新旧対照条文
https://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou4.pdf
一応条文も置いておきます。どうしてこんなに法案がたくさんあるのかというと、今回は国家公務員の定年延長やら何やら、たくさんの法案を一斉に真偽しますよという形らしく(「束ね法案」と言うらしいですね初めて知りました)、こんなにあるのです。くだんの検察庁法は93ページから始まってます。
専門家の方の記事を読みながら参考程度に見るのがいいと思いますよ。こんなの読んでられるもんですか。
7 「いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか」
https://note.com/tonfi/n/n95a2265c6273
この方のノートもわりと回ってきていましたね。冷静に問題の切り分けをしてくださっており参考になります。また、いくつか「誤解」についての見解もありますので参考になるのではないでしょうか。私個人としては、「誤解」とまで言い切ってしまっていいのか、はっきりわかりませんが、でも論拠が示してありますので、わかりやすく読めます。
8 「揺らぐ“検察への信頼”~検事長定年延長が問うもの~」NHK web特集
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200325/k10012349971000.html
NHKの特集です。特に検察庁OBへの取材を通して、検察庁の独立性と政治との緊張関係、そしてその独立性が脅かされるとしたどういった事態か。そのとき検事総長はどう対応するのか、について経験者が語っています。このあたりはさすがNHK、取材の力を感じます。
記事の前半は少し法案とは離れますが、中盤以降で改正法案の問題点に踏み込んでいます。
この記事に出てくる元検事の高井さんの言葉です。(引用)
「以前から政治は検察に影響を及ぼそうとするし検察は独立を保とうとする綱引きはあったが、これまでは何とかバランスを保ってきた。それを支えてきたのが検察庁法で規定された『身分保障』と『定年制』で、政権は懲戒などを除いて検事を罷免できず、逆に検事は定年が来れば必ず退官する。つまり政権は人事を通じて検察にアメもムチも与えることができず『定年制』こそが政権からの介入を防ぐ『防波堤』の1つになっていた。今回のいちばん大きな問題は政治がこの『防波堤』を勝手に動かしてしまったことだ」
9 「改めて検察庁法の一部改正に反対する会長声明」 日本弁護士連合会(日弁連)
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200511.html
改めて、ということなんで、多分2回目なんでしょうか。2回目って相当なことじゃないでしょうか。
弁護士連合会の反対声明にも、問題点が端的に指摘されています。
ハイライトは、
「当連合会は、検察官の65歳までの定年延長や役職定年の設定自体について反対するものではないが、内閣ないし法務大臣の裁量により役職延長や勤務延長が行われることにより、不偏不党を貫いた職務遂行が求められる検察の独立性が侵害されることを強く危惧する。」(引用)
というところ、
さらに与党の審議姿勢への痛烈な批判として
「政府及び与党は、誠に遺憾なことに、検察庁法改正法案を国家公務員法改正との一括法案とした上で衆議院内閣委員会に付託し、法務委員会との連合審査とすることすらなく、性急に審議を進めようとしている。(中略)そもそも、検察庁法の改正に緊急性など全くない。今般の新型インフルエンザ等対策特別措置法上の緊急事態宣言が継続する中、かくも重大な問題性を孕んだ本法案について、わずか数時間の議論だけで成立を急ぐ理由など皆無である。」
(引用)
まさにおっしゃる通りかと思います。
10 「東京高等検察庁黒川弘務検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回と黒川検事長の辞職を求め、
検察庁法改正案に反対する共同声明 」自由法曹団
https://www.jlaf.jp/04seimei/2020/0324_514.html
こちらも弁護士の団体である自由法曹団が出している声明です。
こちらは若干踏み込んで、黒川検事長の定年延長を決めた閣議決定事態に対しても反対しています。
論点を絞るという点からいうと、今回の法改正について述べてあるのは3番の部分になります。
「黒川弘務検事長定年延長問題に対して、これだけ多くの批判が出ている最中、真摯に反省し説明責任を果たすどころか、逆に、すべての検察官の定年人事に恣意的な政治介入を許す法案を国会に提案すること自体、厳しく糾弾されなければなりません。また万が一にも数の力でこれを強行しようとすることは、政府与党が法治国家の誇りも保障もかなぐり捨てる暴挙であって、これも厳しく糾弾されなければなりません。」(引用)
この激しい怒りの込もった文章を読むにつけ、ただごとではないと思わされます。
11 「検察庁法改正 きゃりーが《歌手は知らないは失礼》と抗議」 女性自身
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1857724/
きゃりーぱみゅぱみゅさんの危惧は正当だと思います。で、なぜ女性自身かというと、以下の文章に問題点が端的に指摘されているからです。
「検察庁法が改正されれば、検察官の定年が65歳になるだけではなく、内閣の判断で検察幹部の「役職定年」を延長することができるようになる。そうすれば、黒川氏の例のように、内閣にとって都合のいい幹部の定年だけを延長して、逆に気に入らない幹部は定年通りに役職を解くという運用も法的に可能になってしまう。内閣が検察幹部の生殺与奪権を握ることで、検察が内閣の不正の追及をできない構造になってしまうのではないかと懸念されているのだ。」(引用)
最初にリンクを貼った山添拓議員の指摘内容とほぼ変わらないでしょう。女性自身、さすがのまとめです。
12 「ChooseTV緊急生配信!検察庁法改正案なにが問題?」
https://www.youtube.com/watch?v=z7JO9OtNmjc
5月10日に配信された番組ですが、まだ見れます。2時間ぐらいあって長いですが、興味のある方にはぜひ見てもらいたいです。法案の問題点のみならず、国会運営の問題点、与野党どちらに対しても問題提起と、非常に盛りだくさんの内容になっています。
3人の国会議員さんが出てきますが、我が佐賀県選出の大串議員始め、3人とも話が明快で熱意もあり、素晴らしい議員さんたちだと思います。
13 他、いくつか参考にしたリンクまとめ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200506-00017822-jprime-soci
https://www.youtube.com/watch?v=FzvvgDsQClk
https://note.com/yumaendo/n/n9c581ee1dfff
また、今回は貼りませんが、反論している方のツイートも結構な数読んでいます。
14 「検察の理念」 検察庁ホームページより
最後に検察そのものについて。
http://www.kensatsu.go.jp/content/000128767.pdf
今回の件で知りましたが、検察というのは三権でいうと行政権に属しながらも、準司法権的な位置づけもある、強い独立性を持つ機関なんですね。何も知りませんでした。そして総理大臣を刑事事件で起訴できる権限があるのは検察だけ、ということで、そこには相応の理念があるのですね。
理念から少し引用します。
「各々の判断が歪むことのないよう,公正な立場を堅持すべきである。権限の行使に際し,いかなる誘引や圧力にも左右されないよう,どのような時にも,厳正公平,不偏不党を旨とすべきである。また,自己の名誉や評価を目的として行動することを潔しとせず,時としてこれが傷つくことをもおそれない胆力が必要である。
同時に,権限行使の在り方が,独善に陥ることなく,真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する,謙虚な姿勢を保つべきである。」
素晴らしい理念です。この理念が果たされるような法制度が継続されることを望みます。
最後にですが、僕としては、今回の検察庁法改正案の問題点は最初のリンクで山添拓議員が述べられた部分に集約されていると思っています。
黒川氏個人の定年延長を解釈変更で押し通したことも大問題とは思いますが、敢えて問題点を切り離して考えるようにしています。
また、束ね法案であること、緊急事態宣言下でありながら拙速強行に議論が進められていることも大問題だと思いますが、あくまで「法改正案が妥当かどうか」について、考えていきたいと思っています。
最初に述べた通り、山添拓議員の疑念に対し、動画において総理も法務大臣もまともに答えていませんし、説得力のある反論を今のところ僕は目にしていません。
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