英語よりデンマーク語が得意?@フォルケホイスコーレ
4ヶ月にわたるデンマーク語学習が終わりました!
さて、私がどれくらい喋れるようになったか?と言いますと、英語よりデンマーク語が先に出てくる時がある、というと驚かれるでしょうか?
週末は朝8時ごろから森に散歩に行くのが楽しみでした。学校は国立公園の中にある自然豊かな場所で、お昼休みや少しの時間でも気軽に散歩に行けます。4ヶ月のコース終了後もあと数日学校に滞在予定の私は、最後の週末をフォルケホイスコーレで過ごしています。
週末の朝は、近所に住んでいるデンマーク人ぽい人をちらほら見るだけで、若い人や外国人はあまりいません。今日は、2頭の犬を散歩させている女性に出会いました。1回目は目と目を合わせるいつもの挨拶だけでしたが、もう一度お会いしたので少しお喋りすることに…
例の如く英語が上手なデンマーク人のこと、英語で話しかけてくれたので英語で答え始めた私。
・○○の学校の学生さんですか?
・どこの国から来たのですか?
という質問にはまあ答えられるのですが、英語がどもりがちに。次に「私はこの森を散歩するのが大変好きです。」「ここの森は美しく散歩は楽しいです。」と言おうとすると全く英語が出てきません。
困ったのでとっさにデンマーク語に切り替えると話が盛り上がります。「週末は朝10時になると海で泳いで、サウナに入るのが楽しみ。でも今はコロナ禍なのでサウナが閉まっているから寒いまま帰るの」というこの女性のお話をデンマーク語で聞き取り、さよならしました。
私、英語よりデンマーク語が得意になったのかしら??そうでなければ、それほど複雑でない文章なのに、なぜ英語が出てこない!?
私はフォルケホイスコーレでデンマーク語を学んできたのですがここでは「使えるように学ぶ」体験をしました。過去形や過去分詞形を使えるようになるために「週末は何をしていたか」を先生から聞かれて話すような訓練も度々。実用を重んじるという視点では同様のやりとりは英会話学校でも受けていました。しかしここでは3ヶ月目くらいからはどんどん難易度があがります。
例えば文法の授業なのに「デンマークが週37時間労働であることについてどう思うか?」「18歳になると自立のために実家から出て親と別に暮らすことについてどう思うか?」「子育て中の女性が仕事を持つと、子どもは長時間保育所などにいて親と接する時間が短くなることについて反対か賛成か?」など日本語でも難しいような話題についてデンマーク語で意見表明する場面が多々ありました。文法の授業中にデンマーク社会への理解が深まる仕掛けに?そしてこの意見表明は、一緒に生活しているデンマーク人やその他の国から来ている人と、晩ご飯の時にお喋りする時に役立つわけです。
日本にいると自分の意見はあまり強く出さないほうが楽に暮らせることもあり、私は意見を表明することに残念ながら慣れていません。一方でデンマークでは、個人の意見を表明することは重要なスキルです。個人の意見が尊重されることもあり日本にいるよりは話しやすい面もあります。対話から社会を変えていくというデモクラシー(民主主義)の根幹にあたるので、意見表明は避けてはとおれません。この重要なスキルを学ぶこともフォルケホイスコーレの重要な機能の一つです。デンマーク語を習得するプロセスにおいて、私はデモクラシーのあり方をも学んだと言えます。
その昔、デンマークでは教育を受けられるのは一部の恵まれた人たちでありラテン語中心の教育でした。「ラテン語(死んだ言葉)」ではなく生きた言葉(農民が日常で使っている言語、デンマーク語)を使うことの大切さを訴えて、フォルケホイスコーレの思想的基礎を築いたのがグルントヴィです。彼は牧師、作家、詩人、哲学者、思想家、教育家、政治家でもありその多面性から、私は彼の偉業の一部しかまだ理解できていません…
これは私の勝手な解釈ですが、生きた言葉を使うことの意義はたくさんあり、そのうちの一つに「学んだことを机上の空論で終わらせるのではなく日常で生かしていくこと」があると思います。
「生きた言葉を使う」という共通目的があるからかデンマークやフォルケホイスコーレの教育は生活に密着していて実用的だと感じることが多かったです。
ん十年にわたる私の英語学習を(ある部分だけではありますが)4ヶ月で超えてしまったフォルケホイスコーレでのデンマーク語学習。
「教育」のあり方について深く考えさせられるひとときでした。
1. そんな!いいんですか!? 嬉しいです!! フォルケホイスコーレ作りのための勉強に使わせていただきます♪