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Life in Reno -序章-

アメリカに来て、1 カ月半が経過した。残すところあと 3 カ月半の留学。本当は 1 カ月経過時点で一度記事を書こうと思っていたので、当初の予定よりは少し遅れた投稿となる。あっという間だったこの 1 カ月半の間でも、だいぶ自分の中に変化が生まれたような気がする。

まず私がアメリカに来た経緯から書くと、正直喜び勇んで渡米してきたというわけではなく、良く言えばご縁、悪く言えば成り行きで留学が決定した。大学のプログラムで組まれている研究室配属の期間。大学の研究室に所属するほかに、海外に留学するという選択肢があった。日本でのやりたいこと、海外でしかできないことを天秤にかけ、最後まで決め切れず「保険」のような気持ちで海外留学に応募した。最終日の時間ギリギリで書き上げた選考書類。第四志望まで埋められる希望校は、第二志望まで埋めるという中途半端な状態だった。なんとか書類は通過したが、面接の結果は不合格。まぁそれもそうか、と妙に納得したような気持ちで日本の研究室を調べ始めた。それでもやはり心の奥底では少しもやもやとしたものがくすぶっていて、負けず嫌いな私は海外留学を諦めきれずにいたのも事実だった。

研究室も決まり始めたある夜、仲の良い同期複数人で飲みに行った。このご飯会自体は割と前から計画されていたもので、「留学に興味のある人中心に」集まったものだった。
ある程度お腹も膨れ、お酒も回ってきた頃のこと、
「てかさ、イオは留学応募しなかったの?」
何の気もないように ( 気を使ってそうしてくれたのかもしれないが ) 尋ねてきた男子に、少し劣等感を覚えながらも笑顔を作って
「いや~、応募したんだけど落ちちゃったんだよね!まぁ日本で頑張るわ」
と答えた。
なんだ、やっぱり私悔しいんじゃん。行きたかったんじゃん。
「え、アメリカの枠まだ一枠空いてるけどさ、いけないのかな?」
予想もしなかった斜め上からの提案に固まる私を横に、彼は話をつづけた。
「まだ書類の手続きの連絡来ただけで何も始まってないし、今なら交渉次第て行けるべ」
そんな簡単に行くものだろうか、とためらう私を励ますように、他の子もその案に賛成し始めた。まぁ空いてるなら交渉してみる価値はあるか、そう思い始めたら早くて、その場で交渉のためのメールを書き始めていた。久しぶりに、胸が高鳴っていた。

交渉の結果、アメリカの枠用に志望動機を提出し、それを判断材料とする、ということになった。期待と不安半分半分で待つこと数日、無事アメリカへの留学が決まった。

そこからはもう怒涛の日々だった。当時所属していた学生寮の退去も控えており、教育寮を謳うこの寮で課せられていた退去時の個人プロジェクトを進めつつ、引っ越しの準備をしている真っ只中。大学の試験もこなしながら、必死に留学のための手続きを進めて行った。そんな中でアメリカについて調べる時間も余裕もあるはずがなく、「留学楽しみ?」と聞かれても。「うーんどうかな」と半笑いで答える日々。自分の心を奮い立たせるため、予定とは全く異なる結果になったこと、自分ひとりでは絶対にたどり着かない結果に落ち着いたことから、きっと面白い未来が待っている、と自分に言い聞かせていた。

そんなこんなで出国日を迎えてしまったので、出国時の正直な心境は「後ろ髪を引かれるように」という言葉が似合うような状態だった。でもアメリカに来てしまったからには、ここでの生活を充実させるほかない。日本にいたらできたであろう経験よりも、日本にいたら過ごしていたであろう日々よりも、もっとずっと輝いていて満足した日々を送って帰国しよう、留学してよかったと心から思えるように、笑顔で胸を張ってただいまと言えるように生きようと心に決めた。渡米してすぐに、年の初めにやるのと同じように、この 5 カ月でやりたいことをひたすら紙に書き出して、テーマを 3 つ決めた。

  1. 大きな枠組みで物事をとらえる、それを言葉にしてみる
    これは巷にあふれている言葉で言えば、「視野を広げる」ということ。自分の将来について、日本という国について、はたまた世界について、自分の専門以外の分野も含めて考える。そして考えたことをどんどん言葉にして、色んな人に聞いてみる。そこから繋がり広がる世界はたくさんある。

  2. 「安心」より「冒険」、ただし安全第一
    全く知らない土地、しかも安全ではないとされる国では、容易にへっぴり腰になりうる。それでもやっぱり新しいものをたくさん吸収したいし、自分からやらないようなことだって飛び込んでみたら面白かったりする。情報収集は怠らず、ちょっとでも気になったら飛び込んでみよう。

  3. 何事もフラットに、まずは受け止めてみる
    「カルチャーショック」という言葉にも表されるように、今まで生きてきた世界では考えもしなかったようなことをたくさん経験すると思う。それを排除・拒否するのではなくて、偏見を持たずに相手を知るには努力が必要。食わず嫌いをせずに、受け止めてみよう。

いつでも眼に入るよう、紙に書き留めて勉強机の目の前の壁に貼った。毎日見つめて過ごすこと 1 ヵ月半。

長くなってしまうので、振り返りはまた別の記事で。

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