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人事コンサルタントの矜持

中小企業には無理?

 同業の社会保険労務士との会話で、職務基準の給与制度が話題になったとき、必ず言われるのが「中小企業では無理」という言葉です。私はこの言葉を聞くたびに、悲しみと怒りを感じてしまいます。「中小企業では無理」という言葉の背景には、中小企業の力を過小評価し、蔑む気持ちが背景にあると思うからです。よくもまあ、自分を先生と呼んで信頼してくださっているお客様に対して、こんな失礼なことがいえるものだと悲しくなってしまいます。
 しかも「中小企業では無理」という言葉が真実を表していないことは、すでに立証済みです。なぜならば、私のお客様はすべて中小企業ですし、それどころか従業員20数名の零細企業でも導入され、立派に運用されている事例があるからです。私のお客様だけではなく、ともに職務等級人事制度を学ぶ仲間にも、中小企業に導入し成果を上げている事例がどんどん増え続けています。

人事コンサルタントの怠慢

 職務給は「職務分析をしなければいけないでしょ」という言葉も最近聞かれるようになってきました。つまり、職務分析という面倒な作業はやりたくないということです。
 つまり、お客様のことを思ってのことではなく、いかに自分たちコンサルタントが楽をして儲けるかが最大の関心事なのです。「楽に」「早く」「安く」というキャッチフレーズは、お客様ではなく、サービス提供者側のコンサルタントにとってのメリットであり、必ずしも導入する企業の利益につながっていません。

人事コンサルタントの価値とは

 本来、人事コンサルタントは、クライアントの経営課題を解決することが第一義のはずです。そのために、必要な知識、技能を身に着けようとあらゆる努力を惜しまないものです。お客様に効率よく成果をだしていただくよう考えることは悪いことではありませんが、自分が楽かどうかが、コンサルティングの基準であってはならないのです。職務給だろうが職能給だろうが、時間も労力も惜しまないものです。
 自分の利益、楽かどうかではなく、顧客の利益を第一義に考えるプロフェッショナルでありたいと常々考えています。





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