「シーライオニング」「負の性欲」「ツイフェミ」「ミソオタク」〜便利な概念用語の危険で悪質な副作用とそれに抗する態度〜

結論:便利な概念用語は誤って用いると認知を歪め関係を悪化させる危険性がある。

乱用・悪用に陥り、レッテル貼り論戦ごっこに溺れてはならない。

メリットもデメリットも理解し、自ら適切な表現を模索する工夫や、乱用・悪用で不条理に巻き込まれ傷つく方々の存在を顧みる態度が必要。

便利な概念用語のメリット

・議論コストを大きく削減出来る。活発で効率的な議論と思考の助けとなる可能性

・悪意ある悪質な対象をあしらえる。精神的護身術であり精神衛生確保

・理解と伝達がし易くなる

デメリット

・他の視点や要素を排除又は矮小化し、過度にパターン化してしまう危険性

・他者を印象操作で封じ込め貶め、議論コストを一方的に押し付ける危険性

・他者を印象操作論戦ごっこで傷つけ貶める快楽に溺れる危険性


ジェンダー差別論争はSNS上で過激な炎上と誹謗中傷炎上応酬に発展しがちな分野です。

理由としては、

❶社会生活を営む上でほぼ不可避で人生の根幹に関与し、専門知識がなくとも言及する事が可能な敷居の低さと広さ。

極端な例では、SNSで強い影響力を誇る方が、社会学や統計学...ジェンダー学の知見が乏しくとも成立している場合すらあります。

データや抽象的概念とそれを扱う為の用語は学術的であっても、実体験や感覚もまた強力な説得力を示します(高学歴保有者や教授や学生が不利で言い負かされる事などザラ

❷娯楽や創作との親和性の高さと感情と欲望を刺激する性質。それに加えて話題の供給が豊富。

噂話や中傷や他者事情詮索は今も昔もローコストで楽しめる娯楽(非推奨。良心良識があるならば限度は慎むべき!)

❸巻き添え爆撃報復合戦の火力の高さの膨張的性質と燃やす手間の手軽さ。

ジェンダー差別論争に限らず、報復が新たな報復を生み、無関係だった者寛容だったハズの者すら巻き込み膨張していく構造。

があるかなと思われます。

SNS時代ではアカデミック的権威からのトップダウンだけではなく、あらゆる層が相互に影響を及ぼし合います(権威やキーパーソンは影響力は変化すれど相変わらず存在する

今や思想や研究は学問機関や公的機関や専門家だけが独占出来ない状況にあるのです。専門家の知人に尋ね、関連書物に当たるだけでは不十分。
元々学問的に捉えづらい分野であったなら尚更学問的専門家の地位や影響力は相対的に低下していると思われます(某大学出身芸人は負の性欲を知人の学徒に尋ね否定的な反応を得たそうだけれど、知は大学でのみ生まれるものではない上に、大学や学者が生み出し過去にはその時代のスタンダードであった概念用語も今では否定され、陳腐化している事も多い。マズローの幸福実現の段階論やフロイト等。
負の性欲を認めないならシーライオニングは?ともなる

特に社会や文化や個人を論じる分野はその傾向が顕著です。学問的・公的に認知される迄待っていては置いてけぼりを食うのです。

社会問題を理解し論じるには、SNSの動向を探り追うのがほぼ必須になりつつありますが、その変化に対応しきれぬ層も存在します。

そこでSNSの匿名個人や不特定多数発祥のスラングや造語の概念や用語が重要になってくる場合があります。

ちょっと待って!コレは差別問題?

シーライオニング

去年の11月24日〜25日辺りTwitterにて、大阪市立大学所属で音楽学とメディア論が専門の教員である増田聡氏が、

https://twitter.com/smasuda/status/1198252810925563904?s=21

以下引用

『今日は大学院説明会だったので入院希望の学生さんに「大学院生は一応専門家の卵やねんから「教員に教わる」つもりやなくて「教員に教える」つもりで大学院に来てください」とゆうておいた。オレ院生の時に指導教員に言われたことだけど。いやほんま院生はそれくらいの矜恃でないとやっていけないです』

引用終了。

との発言したのに対し、

某有名私立大学のフェミニスト大学院生らしい方が、

「じゃあ学費とるなや」

との雑で粗野な引用ツイートをし、元ツイートの教員から厳しく反論されると、

「そんなに反応し気にするとかおかしい。私は不利な学生で有利な教員に対抗する手段がいる」

などと幼稚な加害者理論を展開し、開き直る一件がありました。

大学院生の窮状は同情される部分はあれど、学問的基準を引き下げるわけにもいかず、議論は波紋を広げつつも答えを見失う方向へ。

私はその院生の方を別の一件で知っており、フォローしていたのですが、

「他者の差別性を批判する時は威勢良くても、自らが失礼であった場合には開き直り加害的態度と発言を押し通すのはおかしい」
と単独ツイートで言及しました。

するとエゴサで私のツイートを本人が見つけたのか引用やリプで反論?を受けました。

要するに、

「あの揉め事は当人と和解が成立しており部外者が文脈無視して勝手に語って欲しくない」

みたいな内容。

呆れ果てましたが、一応最低限の節度は保つように努めてはいました。まあそれでもあまりに失礼だったのでブロックする事に。

とは言えそこで彼女は私に、

「シーライオニングくらい学んでおくべき」

と言ってたんです。当時は軽く調べても意味が出てこずにいたので後から気付いて更に落胆しました。

私が彼女の無茶苦茶な加害者論理を「普段は素晴らしい方が何故?」と気遣いながら批判していたその行為や態度を、「シーライオニング」と決め付けていたわけです!わーお。

強く抗議・批判すればマンスプレイニング。

口調や態度の乱暴さを指摘すればトーンポリシング。

更には最低限の節度を保とうと努めれば、シーライオニング!

その場その場で自身にのみ都合の良い反差別概念用語を悪用乱発する問題人物の完成です。

性差別が直接的関係ない場面ですら悪用乱発し、議論や会話を破壊するとんでもない行為です。(しかもそれを有名大学大学院生が行う


togetterのシーライオニングの項

要するに、

「sealioning(シーライオニング)とは、表面上だけ誠実で慇懃に振る舞いつつ、無意味な質問を繰り返し、気力や時間を浪費させる悪意ある接触行為。」

となるのでしょう。

勿論大いにあり得る内容ですが、他者の内面を把握するのは困難又は不可なので、あくまで内面で警戒する為の概念用語として留めておくのが無難です。

負の性欲

負の性欲の解説は白饅頭こと御田寺 圭氏の記事にお任せします。

この概念用語もネット発祥で日本限定とは言え、去年から今年にかけてジェンダー論争では頻繁に飛び交っています。

便利で興味深く、印象的な概念用語です。

人を気持ち悪いと拒絶する事が快感になっている心理を表現するのに一役買っています。しかし...

本当に心底嫌がり拒絶して警戒している相手を外部から一方的に内心を決めつけて傷つける、2次被害の危険も孕んでいます。

結局

シーライオニングも負の性欲も外部から他者の内面を一方的に判断してしまう危険性の高い概念用語なのです。

言ってしまうとコミュニケーションはシーライオニングもマンスプレイニングも負の性欲要素もほぼ確実に含まれる行為なんです。

お互いに未熟なところがあるんですから、教え合う必要は出てくるんですが、そんな時にこの概念用語乱用したら関係が破綻します。

相手の内面は把握することは困難又は不可ですし、多少のネガティブな感情や思考はリアルな関係では避けては通れません。

存在するかどうかではなく、その程度と質の現実的問題でもあるハズです。

それでも悪意を斥け意思疎通を図る必要があるのですが、マンスプレイニングもシーライオニングも負の性欲も一方的に相手の意図を決め付けてしまう危険があるのですよね。

適切に用いれば便利だとは思いますが。

聞き齧りの流行り言葉で相手に強引なレッテル貼りをして黙らせ貶める行為や思考も批判対象ですね。

論破厨も問題ですけど、差別・反差別概念用語乱用マインドもヤバイですね。

便利な言葉は取扱注意です。

簡単に人を傷つけてしまう。

流行のものが絶対正しいとか良いとかは限らないんです。

ネタになる京都人風の嫌味やあしらいを見習えとは言いませんが、流行りの言葉や概念は慎重に取り扱った方がいいです。

薬に臨床試験がある様に、言葉や概念にも気をつけるべき。

相手が慇懃無礼で妨害行為に及んでいる可能性があると感じたならば、相手を建前で封じ込み追い返せば良いのです。

そうでなくとも、自分のキャパオーバーなら断ったり休んだりもある筈です。

状況が把握出来ない状態で軽率に差別・反差別概念用語で敵意を煽るのは得策ではありません。

便利な差別・反差別概念用語は自身の内面での現状把握に用いて、対面ではスルーや建前による封じ込めや回避をメインの対応にすべきではないでしょうか。

人間関係は便利な概念や用語で人をボコってイキるものではないハズなんです。

それに、フェミニストに対する蔑称である「ツイフェミ」にしろ、フェミニストにも様々な層が存在して、リベラルフェミニズムとラディカルフェミニズムもあります。

ツイフェミではなく、行き過ぎた過激ラディカルフェミニストとして批判すべき場面もあるのではないでしょうか(ラディカルが全てにおいて悪いわけではなく

オタク...ゲーム・漫画・ラノベ愛好者にしろ、性表現乱用層とでも呼べば良いのであって、雑にオタク全体を貶める必要はないと思います(内部での分断を煽ってると批判する方もいるでしょうが

どうしても対象を捉える為に呼称しなければならない場合に、不要な差別憎悪感情や意識を盛り込み過ぎない様にすべきです。

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