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シーシュポスの神話 (不条理と自殺)              【Le Mythe de Sisyphe】

ギリシア神話に、シーシュポスの話がある。

神ゼウスの怒りを買ったシーシュポスは、神々から永遠の刑罰を受けることになる。
その刑罰とは、大岩を転がして山頂まで押し上げるという仕事だった。
山頂まで運んだあとは、大岩は山の麓まで転がり落ちてしまう――。

この神話に寓して、世界の不条理性を追究したカミュの力作
シーシュポスの神話


この記事では、シーシュポスの神話を読み自分なりの言葉でまとめたものを、書き起こしていこうと思う。書籍は難解なので、いくつかの記事に分けるつもり。

なぜ読むのか。

もうそろそろ人生の不条理性についてくよくよ悩むのに終止符を打ちたくなったから

そして確実にものにしたいから、
記憶の定着を図り、頭の整理もしたいので、書く。

勿論、スポンジのようにはならないようにしたい。
水を給水するだけして、萎んでいくのもこりごりだから。

それでは、第一回目のシーシュポスの神話
不条理と自殺について、述べていく。


人生は生きるに値するか?ー真に重要な哲学の問題


真に重要な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。

シーシュポスの神話

冒頭文である。なかなかに衝撃の走る内容になっている。

つまり、この一文の文意は

人生が生きるに値するのか否か判断すること。これが哲学の根本問題に答えることになる。

ということだ。

カミュからすると、ガリレオなどの追究した科学的真理も重要であるが
ひとことでいえば、それらは採るに足らぬ些事である。そうだ。

確かに、まず第一に問題なのが人生の価値であり、次に屡次的に発生する化学的真理でありそうだ。

この話とは離れるが、日本の戦時中の文学界では、
奉公滅私、というスローガンのもと自由に作品の発表が出来なかった事実がある。その時文学者はどうしたか。作家をやめるか、戦争賛否の作品を書くものが多数であった。命の方が重かったのでしょうね。

社会現象としての自殺を離れて、個人の思考と自殺との関係を考える


自殺という動作は、偉大な作品と同じく、心情の沈黙の中で準備される。

シーシュポスの神話

自殺の裏には、事情がある。

そうした事情が原因で、思考を始める。

その思考は、「彼の内部に少しずつ穴を穿っていったのだ」

彼を蝕んだのは、社会だろうか。その場合も考えられないこともないが、
人の心の内部に潜んだ元凶たる虫だろう。

その虫を探すことが大切であると説くのである。

不条理性の感覚―自殺とは告白すること


精神が死に賭けたその瞬間を明らかにはできないが、
自殺という結果が、これを含めた多くの結論として導き出されている事だけは明らかである。

ではその自殺とは、告白することである。

生が理解できないと、告白することである。

なぜ自殺をするのか。自殺に誘う「計り知れぬ感覚」とは何であろうか。

それは、不条理性の感覚、である。

人間は、理由付けを間違っていてもとりあえず説明できる世界は居心地がいい。
だが、説明もできず、頼るべき光をすら失ってしまっている宇宙の中で、人間は自分を異邦人だと感じる。

断絶。

人間と生、俳優とその舞台、このような断絶を感じ取ることが、
不条理の感覚なのである。

自殺という方法の問題解決の鍵?


自殺という、不条理への解決方法を是とするか非とするか。

一見、簡単な問題である。

しかし、そううまくはいかない。

結論を出さずに、問いかけ続ける人々がいるのであるから。

カミュによれば、
これは大人数いるとされている。

矛盾や、曖昧さが露見する。
生について抱きうる意見と、生から離れようとして行う行為との間には、何のつながりもないのだろうか。

カミュは、このように大げさに考えるのはやめようとしている。

ただ、人間は生に執着する
と言った。

人間は、思考の習慣より先に体の習慣を身に着けていて、
そこには「希望」という矛盾の本質がある。


不条理は死を命じるのか


人生に意義が見いだせないことで、人生は生きるに値しないと宣言しなければならない道理はない。

果たして、一体死に至るまで貫かれた論理が存在するのか――

まとめ的な

いやあ、まず一個目の不条理に対する手立てが明かされましたが、強烈ですね。
でもごく当たり前な話だと思うし、単純明快な話でもあって、すらすら読み進められました。

人間の生の執着のくだりには、少し励まされました。
多くの人が、明快な理論をわかっているはずなのに、結論を出すのを渋っている。
私だけじゃないんだなって(笑)
考えてみれば、そうですよね。

お酒を飲んで、愚痴を零したり。
人間って弱い存在だなとつくづく思います。

清水徹さん訳の本を読んでいますが、ところどころ注が付いているし、おすすめです。








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