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私が弁護士を辞めた理由(その1)
このページを訪問してくださり、ありがとうございます。
「法的な勝ち負けというものは、人の幸せとはまったく関係がないのではないだろうか。」
弁護士としての約15年の経験の中で、そのように考えるようになりました。
我々は、紛争を避けて通ることはできません。
ですから、我々の社会は、紛争を解決するための知恵を持つ必要があり、現時点では、どうやら法律という手段はベターのように思えます。
しかし、法律だけでは、人は幸せになれない。
法的には離婚が成立したものの、いつまでも恨みを持ち続け、相手を痛めつけてやろうとする人。
法的には相続問題が解決したものの、一切の関係性が断たれてしまったご家族。
法的にはある従業員とのトラブルが解決したものの、別の従業員とも同じようなトラブルを抱え続ける会社の社長。
これらの方々は、法的には問題が解決した(場合によっては、自分が望んでいたとおりに勝訴した)はずなのに、あまり幸せそうには見えませんでした。
弁護士として心身を削って仕事に取り組んだとしても、どうやら自分の仕事が依頼者の幸せには直結していなさそうだという感覚は、私にとってはかなり苦痛なことでした。
では、人の幸せにとって大切なものは何か。
それは、その人の、「心のあり方」ではないだろうか、と考えるようになりました。
つまり、その人が、自分を取り巻く世界をどのように見て、自分の身に起こる出来事をどのように解釈しているか、その世界観のようなものです。
人生の後半戦に入り、
「自分の人生の残り時間を、人の幸せに直結するような仕事に少しでも多く費やしたい」
という気持ちが強くなっていきました。
そのような思いが強くなるにつれ、そもそも自分はどうして弁護士になったのか、ということを振り返るようになり、そのことも弁護士を辞めることに繋がっていったのですが、そのお話はまた後日…
最後までお読みくださり、ありがとうございました。