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フリーランス薬剤師と粉雪中毒と現在に至るまで

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私は現在、フリーランスで色々な現場をお手伝いする派遣薬剤師として生活しています。

札幌の大学卒後すぐに旭川市に就職し3年間勤務、その後大手調剤薬局にて地方の店舗を転々としながら3年、1年前から、もっと山に行く時間が欲しくなりフリーランスとして開業。

「フリーランスの薬剤師なんて存在するんだ!楽しそう!」って言っていただけるけど、今まで福利厚生に守られてきた存在だったので、楽しいことが多い分、不安もたくさん付き添ってくる。

こうなる前は意外としっかり真面目に会社や組織に勤務していたけど、スノーボードやりだしたら時間が足りない足りない。

スノーボードにハマったのは十数年前で、ニセコに家族とスノーボードをしに行った時。夜ご飯を食べた後、ホテルを抜け出してナイターで1人で滑っていた。滑っても滑ってもパウダーリセットされるコンディションで(今思えばあれは絶対に人生における最高な日だった)、
滑った瞬間フワァっと上がるスプレー、まるでサーフィンみたいなうねりと浮遊感、そして上からリフトで見ていた外国人が私に向かって盛り上げてくれた(多分?)。
明らかにこの出来事がきっかけで、粉雪中毒生活がはじまった。

新社会人になってお金がない時も、休みを見つけては旭川からニセコの友人宅に前入りして土日はガッツリ滑る。ニセコから旭川に出勤した日もある。ニセコ最高!!粉雪最高!!

ゲレンデ脇のパウダースノー(いわゆるサイドカントリー)にハマっていくうちに、ゲレンデではない山を登って滑り降りる「バックカントリー」というものがあることを知った。当時YouTubeで見た、外国人が険しい雪山をものすごい勢いで滑っていく姿がとにかくかっこよかったし痺れたし憧れに変わった。

「私もバックカントリーがしたい!!」

でも、バックカントリーってどうやってやるんだ?どこで習えるんだ?と調べていくと、知り合いの紹介で、道北の旭岳周辺でガイドをやっている方に繋がった。
すぐに連絡して「旭岳に行きたいんです」と懇願し、快く受け入れてもらえた。

とにかくお金がなく、必要な道具が揃っていなかったので、ロープウェーで登ってスノーボードで旭岳を滑り降りてくるツアーだった。とはいえ標高2,291mの山は普通のゲレンデとは違う。
手付かずの斜面を滑った時の感動は言葉にできなかった…風が吹いたら飛んでいくほどシルキーな軽い雪。本当に浮遊しているのではないかと錯覚する。
今までずっとゲレンデ横の未圧雪エリアをつまみ食いするように滑っていたけど、「どうぞお好きなパウダースノーをお召し上がりください!」な感じ。

そこから更に沼に入っていき、入ってきた給料はスノーボードギアと旭岳ガイドの参加費用に注ぎ込みました。自転車操業ってやつ。

↑雄大な旭岳を目の前にヨガ
↑眺める山から滑る山に変わった瞬間

そして三年前、お金も自由も底をつきそうになった。"人生で一度はやっぱりニセコの近くで働いてみたいな"と思い、転職して岩内町の薬局に勤めた。

岩内町に引っ越してきた時は冬の終わりだったが、とにかく雪が多い。入居初日は私の駐車スペースが雪で埋もれていて、ママさんダンプを買いに行くことから始まった。

↑ママさんダンプ笑

岩内町は倶知安町から車で30分程度離れた海側の町。暇な時は気分転換がてら隣の倶知安町にある”SPROUT”というコーヒー屋さんや”Pyram”というオーガニック食品のショップによく通っていた。

コーヒー屋さんでぼーっとしていると「今日は◯◯山に行ってきたんだー」「あの山いいよね〜」なんて店員さん同士で会話しているのが耳に入ってくる。「この人たちは山に行ってから出勤してるのか…?」と当時の私にとっては不思議だった。

「私も体力作りに夏山登山に挑戦してみたい」と意気込んで、コーヒー屋さんに売っていた山用の靴下を買った。持っていた登山靴とユニクロで適当に揃えた服装で初めて挑戦した山が”昆布岳”という山だった。

その日は天気もあんまりよくなくて、ずっと霧雨の中の登山だった。当時は体力も無かったので相当消耗した。けれど、山頂に辿り着けた達成感とか、下山後の温泉が最高!とか、ご飯がものすごく美味しい!を友人と共有することがこんなにも尊いことなのかよ…!と、まんまと夏山に魅了されていった。

↑初めて友達と登った昆布岳
↑全身ユニクロで作り上げた登山スタイル

後日またいつものコーヒー屋さんに行くと、隣にリニューアルオープンしたアウトドアショップがあるとのことで入ってみた。

そこで出会ったのが店長の誠くん、おしゃべりが大好きで山も人も大好き、トレランシューズのお店だった(トレラン=山を走ること)。

走らないけど、登山が楽しくなる靴が欲しいと、ハイカットの登山にも使えそうなトレランシューズを買ってみた。これがまた優秀な靴で、今まで履いてた登山靴はなんだったんだというくらいに山登りが疲れにくくなった

大手のアウトドア量販店に行くと目移りして何を買えばいいかわからなかったけれど、誠くんのお店は必要で絶対に使えるものが揃っていたから、道具を買うことに迷いが生まれなかった。実際に山で使ってみたら、服はとても汗抜けがいいし、体が冷えにくいなって思った。それを報告しにまたお店へ行って、同じ境遇のお客さん同士で意気投合した。そしてまた友達が増えていった。

スノーボードきっかけに山を始め、山をきっかけに私の人生は動き出した気がする。

決まった休みと決まりきった人生に違和感を感じて、会社員を辞めたっていう経緯でした。



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