見出し画像

負荷試験を考える①


1.負荷試験とは?

1-1.負荷試験:定義と目的


定義

負荷試験とは、システムに大量のアクセスや処理要求をシミュレートすることで、パフォーマンス、安定性、信頼性などを評価するテストのことです。

  • 想定されるユーザー数やアクセス集中時の状況を再現し、システムが正常に動作するかを確認します。

  • ボトルネックを特定し、システムの改善に役立てます。

目的

負荷試験の主な目的は以下の点が挙げられます。

  • 性能評価:

スループット(単位時間あたりの処理量)
応答時間(リクエストからレスポンスまでの時間)
リソース使用率(CPU、メモリ、ディスク、ネットワークなど)
これらの指標を測定し、システムが要求を満たす性能を持っているか評価します。

  • 性能問題の特定と改善:

負荷試験によって、システムのボトルネックを特定し、パフォーマンスを改善するための対策を講じることができます。

  • 安定性と信頼性の検証:

高負荷状態でもシステムが安定して動作し続けるか、エラーや障害が発生しないかを確認します。

  • スケーラビリティの確認:

ユーザー数やアクセス量が増加した場合でも、システムが柔軟に対応できるか(スケールできるか)を検証します。

  • 障害発生時の挙動の把握:

負荷試験で意図的に障害を発生させ、システムがどのように振る舞い、どのように回復するかを把握します。

  • キャパシティプランニング:

将来的なアクセス増加に備え、必要なシステムリソースを予測し、適切なキャパシティプランニングを行うことができます。

負荷試験を実施することで、システムの潜在的な問題点を早期に発見し、対策を講じることで、安定したサービス提供ユーザー満足度の向上ビジネスの成功に貢献することができます。


2.負荷試験の種類

2-1.ロードテスト(性能テスト)

  • 目的: 通常時やピーク時に想定されるアクセス量をシミュレートし、システムが期待通りの性能を発揮できるかを確認します。

  • 負荷: 想定される現実的なアクセス量を負荷としてかけます。

  • 評価指標: スループット、応答時間、リソース使用率、エラー発生率など

: 1時間に10,000人のユーザーがアクセスした場合のシステムの挙動を調べる。

2-2. ストレステスト(限界負荷テスト)

  • 目的: システムの限界性能を把握し、過負荷状態での挙動や回復能力を検証します。

  • 負荷: システムの処理能力を超えるような高負荷をかけます。

  • 評価指標: エラー発生率、回復時間、フェールオーバーの動作など

: システムがダウンするまでの限界アクセス数や、ダウンからの復旧時間を調べる。

2-3.ソークテスト(耐久テスト)

  • 目的: 長時間稼働させた際のシステムの安定性を検証します。

  • 負荷: 一定の負荷を長時間かけ続けます。

  • 評価指標: メモリリークの有無、パフォーマンスの低下、エラー発生率など

: 1週間連続稼働させた場合のシステムの安定性を調べる。

2-4. スパイクテスト

  • 目的: 短時間に急激なアクセス増加が発生した場合のシステムの挙動を検証します。

  • 負荷: 短時間に大量のアクセスを集中させます。

  • 評価指標: 応答時間の変化、エラー発生率、システムの回復力など

: フラッシュセールやニュース速報など、瞬間的にアクセスが集中した場合のシステムの挙動を調べる。

2-5.ボリュームテスト

  • 目的: 大量のデータを処理した場合のシステムの性能を検証します。

  • 負荷: データベースに大量のデータが既に存在していたり、新たに大量にデータ作成したり、大量のトランザクションファイルを作成したりします。

  • 評価指標: 処理時間、リソース使用率、エラー発生率など

: 大量の顧客データを一括登録した場合のシステムの挙動を調べる。

これらの負荷試験を組み合わせることで、システムの様々な側面を評価し、より信頼性の高いシステムを構築することができます。

いいなと思ったら応援しよう!