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負荷試験を考える⑤
6.実行と監視
負荷試験の計画と準備が完了したら、いよいよ実行に移ります。実行フェーズでは、実際に負荷を生成し、システムの挙動を監視・分析します。
6-1. 負荷生成
シナリオの実行: 準備したシナリオに基づき、負荷試験ツールを使用して負荷を生成します。
想定されるユーザー数、アクセス頻度、データ量などを考慮して、現実的な負荷をかけましょう。
負荷レベルの調整: 必要に応じて、負荷レベルを段階的に増加させたり、特定の時間に集中させたりします。
システムの挙動を見ながら、柔軟に負荷を調整することが重要です。
負荷の種類:
ロードテスト: 通常時の負荷をシミュレート
ストレステスト: 限界性能を超える負荷をシミュレート
スパイクテスト: 急激なアクセス増加をシミュレート
目的に合わせて、適切な負荷をかけましょう。
6-2. メトリクス収集
パフォーマンス指標: スループット、応答時間、リソース使用率、エラー発生率など、重要なパフォーマンス指標を収集します。
負荷試験ツールは、これらの指標を自動的に収集する機能を備えています。
システムログ: システムのログを収集し、エラーや警告などを確認します。
ログ分析ツールを利用することで、効率的に分析できます。
リソース監視: サーバーやネットワーク機器のリソース使用状況を監視します。
CPU使用率、メモリ使用率、ディスクI/O、ネットワークトラフィックなどを監視することで、ボトルネックを特定できます。
6-3. パフォーマンス分析
ボトルネックの特定: 収集したメトリクスを分析し、システムのボトルネックを特定します。
ボトルネックとなっている箇所を改善することで、パフォーマンスを向上させることができます。
性能問題の発見: 応答時間やエラー発生率などから、性能問題を発見します。
問題の原因を調査し、適切な対策を講じましょう。
スケーラビリティの評価: 負荷レベルの変化に対するシステムの挙動を分析し、スケーラビリティを評価します。
レポート作成: 分析結果をまとめ、分かりやすいレポートを作成します。
レポートには、グラフや表などを効果的に利用しましょう。
6-4.実行と監視のポイント
監視体制: 負荷試験中は、システムの状態を常時監視することが重要です。
異常が発生した場合には、すぐに対応できるように体制を整えましょう。
リアルタイム監視: 負荷試験ツールは、リアルタイムでパフォーマンス指標を表示する機能を備えています。
この機能を利用することで、システムの挙動を把握し、問題を早期に発見できます。
ツール: 監視ツールを併用することで、より詳細な情報を収集できます。
例えば、システムログ監視ツール、ネットワーク監視ツールなど。
記録: 負荷試験中のシステムの挙動やエラーなどを記録しておきましょう。
問題発生時の原因究明に役立ちます。
負荷試験の実行と監視を適切に行うことで、システムの性能や安定性を正確に評価し、改善につなげることができます。