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セッション(SESSION)について



1.セッション(SESSION)とは


セッションとは、Webサイトを訪れるユーザーとWebサイト(サーバー)の間で、一時的に情報をやり取りするための仕組みです。

例えるなら、お店に訪れたお客さん(ユーザー)とお店の店員さん(サーバー)の間で行われる会話のようなものです。

通常、Webサイトは、お客さんが誰なのか、何を注文したのか、といった情報は覚えていません。 しかし、セッションという仕組みを使うことで、

  • お客さんを識別する

  • お客さんの情報を一時的に保存する

ことができるようになります。

セッションの役割

セッションは、主に以下の役割を果たします。

  • ユーザー認証:

    • ユーザーがログインした際に、IDやパスワードなどの情報を一時的に保存し、次回以降のアクセス時に再度認証を行う手間を省きます。

  • 状態管理:

    • ユーザーがWebサイト内でどのような行動をしたか(どのページを見たか、カートに何を入れたかなど)の情報を一時的に保存し、ユーザーごとに異なるサービスを提供します。

  • カスタマイズ:

    • ユーザーの設定(言語設定、表示設定など)を一時的に保存し、ユーザーに合わせたWebサイト表示を実現します。

セッションの仕組み

セッションは、通常、以下の仕組みで実現します。

  1. セッションIDの発行:

    • ユーザーがWebサイトにアクセスすると、Webサイト(サーバー)は、ユーザーを識別するためのセッションIDを発行します。

  2. セッションIDの保存:

    • 発行されたセッションIDは、ユーザーのWebブラウザにCookieとして保存されます。

  3. アクセス時の送信:

    • ユーザーがWebサイトにアクセスするたびに、Webブラウザに保存されたセッションIDがWebサイト(サーバー)に送信されます。

  4. ユーザー情報の照合:

    • Webサイト(サーバー)は、送信されたセッションIDをもとに、ユーザーの情報を照合し、適切な情報を提供します。

セッションのメリット

  • ユーザーは、ログイン情報を何度も入力する必要がなくなる。

  • Webサイトは、ユーザーごとに異なるサービスを提供できる。

  • Webサイトの利便性が向上する。

2.Javaのアプリケーションサーバーでセッションを作成するには

1. セッションの仕組み

  • HTTPのステートレス性: HTTPは、クライアントからのリクエストとサーバーからのレスポンスが一対一で完結するステートレスなプロトコルです。

  • セッションの必要性: Webアプリケーションでは、ユーザーの状態(ログイン状況など)を維持するために、セッションという仕組みを利用します。

  • セッションID: サーバーは、クライアントからの初回アクセス時にセッションIDを発行し、CookieやURLパラメータに含めてクライアントに送信します。

  • セッション情報の保存: サーバーは、セッションIDに対応するセッション情報をメモリやデータベースなどに保存します。

  • セッション維持: クライアントは、以降のアクセス時にセッションIDをサーバーに送信することで、サーバーは対応するセッション情報を復元し、ユーザーの状態を維持します。

2. セッション作成の処理と工程

Javaのアプリケーションサーバー(Tomcatなど)では、以下の処理と工程でセッションが作成されます。

  1. クライアントからの初回アクセス:

    • クライアントからサーバーにリクエストが送信されます。

    • この時点では、クライアントはまだセッションIDを持っていません。

  2. サーバーでのセッションID発行:

    • サーバーは、クライアントからのリクエストを受け取ると、一意なセッションIDを生成します。

    • セッションIDは、通常、乱数やハッシュ値などを用いて生成されます。

  3. セッション情報の保存:

    • サーバーは、生成したセッションIDに対応する空のセッション情報を作成し、メモリやデータベースなどに保存します。

    • セッション情報には、ユーザーに関する様々なデータ(ログイン状況、カート内容など)を格納できます。

  4. セッションIDの送信:

    • サーバーは、生成したセッションIDをCookieまたはURLパラメータに含めて、クライアントにレスポンスを送信します。

    • CookieにセッションIDを含める場合、HttpOnly属性やSecure属性を設定することで、セキュリティを強化できます。

  5. クライアントからの再アクセス:

    • クライアントは、以降のアクセス時にCookieまたはURLパラメータに格納されたセッションIDをサーバーに送信します。

    • サーバーは、送信されたセッションIDに対応するセッション情報を復元し、ユーザーの状態を維持します。

3. 必要なアプリ・プログラム

Javaでセッションを扱うには、以下の要素が必要です。

  • Servlet API:

    • HttpServletRequestオブジェクトのgetSession()メソッドを使用することで、セッションを取得または作成できます。

    • HttpSessionオブジェクトは、セッション情報の操作(データの保存、取得、破棄など)を提供します。

  • JSP (JavaServer Pages):

    • JSPでは、sessionという暗黙オブジェクトを使用して、セッションにアクセスできます。

  • セッション管理の設定:

    • アプリケーションサーバーの設定ファイル(context.xmlなど)で、セッションのタイムアウト時間やCookieの属性などを設定できます。

セッション管理の注意点

  • セキュリティ: セッションIDの漏洩は、ユーザーのなりすましにつながる可能性があります。セッションIDの取り扱いには十分注意し、HttpOnly属性やSecure属性を設定しましょう。

  • タイムアウト: セッションにはタイムアウト時間を設定し、一定時間アクセスがない場合にはセッションを破棄するようにしましょう。

  • セッション情報の保存: セッション情報は、メモリに保存するだけでなく、データベースなどに永続化することも可能です。

  • 負荷分散: 複数のサーバーでセッションを共有する場合は、セッションレプリケーションやセッションクラスタリングなどの仕組みを導入する必要があります。

これらの処理と工程、および注意点を理解することで、Javaアプリケーションサーバーでセッションを適切に作成・管理し、安全で快適なWebアプリケーションを提供することができます。

3.Javaのアプリケーションサーバーでセッションを終了させるには

1. セッションの破棄

サーバー側でセッション情報を破棄することで、セッションは終了します。

2. セッション終了の処理と工程

Javaのアプリケーションサーバー(Tomcatなど)では、以下の処理と工程でセッションが終了します。

  1. クライアントからのログアウト要求:

    • クライアント(Webブラウザなど)からサーバーにログアウト要求が送信されます。

    • ログアウト要求は、通常、ログアウトボタンのクリックなどによって発生します。

  2. サーバーでのセッション破棄:

    • サーバーは、クライアントからのログアウト要求を受け取ると、対応するセッション情報を破棄します。

    • セッション情報は、メモリやデータベースなどから削除されます。

  3. クライアントへの通知:

    • サーバーは、セッションが破棄されたことをクライアントに通知します。

    • 通知は、通常、HTTPレスポンスのヘッダーやCookieによって行われます。

  4. クライアント側での処理:

    • クライアントは、サーバーからの通知を受け取ると、セッションIDを保存しているCookieやURLパラメータを削除します。

    • これにより、クライアントは以降のアクセスでセッションIDを送信しなくなり、セッションは完全に終了します。

. セッション終了の注意点

  • セキュリティ: セッションIDは、ユーザーの認証情報を含む重要な情報です。セッションの破棄処理は、適切に行う必要があります。

  • Cookieの削除: クライアント側でセッションIDを保存しているCookieを削除することを忘れないようにしましょう。

  • ログアウト後の処理: ログアウト後、ユーザーを適切な画面にリダイレクトするなど、適切な処理を行うようにしましょう。

これらの処理と工程、および注意点を理解することで、Javaアプリケーションサーバーでセッションを適切に終了させることができます。

4.セッション(SESSION)の設定項目(TOMCAT)

Tomcatにおけるセッション関連の設定項目は、conf/context.xml または個々のWebアプリケーションの META-INF/context.xml に記述します。主な設定項目とその意味は以下の通りです。

1. セッションマネージャ関連

  • className: セッションマネージャのクラスを指定します。デフォルトはorg.apache.catalina.session.StandardManagerです。

    • org.apache.catalina.session.PersistentManager: セッションをファイルに永続化する場合に指定します。

    • org.apache.catalina.session.ClusteredManager: セッションをクラスタ環境で共有する場合に指定します。

  • pathname: セッション情報を保存するファイルのパスを指定します。PersistentManagerを使用する場合に必要です。

  • maxInactiveInterval: セッションが非アクティブになってから無効になるまでの時間(秒)を指定します。

2. Cookie関連

  • cookieName: セッションIDを格納するCookieの名前を指定します。デフォルトはJSESSIONIDです。

  • cookiePath: Cookieのパス属性を指定します。

  • cookieDomain: Cookieのドメイン属性を指定します。

  • cookieSecure: CookieをHTTPS接続でのみ送信するかどうかを指定します。

  • cookieHttpOnly: JavaScriptからCookieにアクセスできないようにするかどうかを指定します。セキュリティ対策として有効です。

3. セッション永続化関連 (PersistentManager)

  • saveOnRestart: Tomcatの再起動時にセッションを保存するかどうかを指定します。

  • expireSessionsOnShutdown: Tomcatのシャットダウン時にセッションを無効にするかどうかを指定します。

4. セッションクラスタリング関連 (ClusteredManager)

  • クラスタリング環境でのセッション管理に関する設定を行います。詳細はTomcatのドキュメントを参照してください。

5. その他

  • sessionCookieName (context.xml): グローバルなセッションCookie名を指定します。特定のWebアプリケーションのセッションCookie名をオーバーライドできます。

  • useHttpOnly (context.xml): グローバルなHttpOnly属性を有効にします。

設定例

注意点

  • 設定ファイルを変更した後は、Tomcatを再起動する必要があります。

  • セキュリティ上の理由から、Cookieの属性は適切に設定しましょう。

これらの設定項目を理解し、適切に設定することで、Tomcatのセッション管理を最適化し、Webアプリケーションのパフォーマンスとセキュリティを向上させることができます。

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