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スレッド(Thread)について


1.Javaアプリケーションサーバー(APサーバー)でスレッドを利用する。

1. スレッドの生成方法

Javaでスレッドを生成するには、主に以下の2つの方法があります。

  • Threadクラスを継承: java.lang.Threadクラスを継承したクラスを作成し、run()メソッドをオーバーライドしてスレッドで実行する処理を記述します。

public class MyThread extends Thread {
    @Override
    public void run() {
        // スレッドで実行する処理
        System.out.println("Thread started.");
        // ...
        System.out.println("Thread finished.");
    }
}

// スレッドの開始
MyThread thread = new MyThread();
thread.start();

Runnableインターフェースを実装: java.lang.Runnableインターフェースを実装したクラスを作成し、run()メソッドをオーバーライドしてスレッドで実行する処理を記述します。

public class MyRunnable implements Runnable {
    @Override
    public void run() {
        // スレッドで実行する処理
        System.out.println("Thread started.");
        // ...
        System.out.println("Thread finished.");
    }
}

// スレッドの開始
Thread thread = new Thread(new MyRunnable());
thread.start();

どちらの方法を選ぶべきか

  • Threadクラスの継承: スレッド処理に特化したクラスを作成する場合に適しています。

  • Runnableインターフェースの実装: 複数のインターフェースを実装する必要がある場合や、スレッド処理をオブジェクトとして扱いたい場合に適しています。

2. スレッドの開始

スレッドを開始するには、start()メソッドを呼び出します。start()メソッドを呼び出すと、スレッドがOSに登録され、run()メソッドの処理が実行されます。

注意点: run()メソッドを直接呼び出しても、スレッドは開始されません。

3. スレッドの終了

スレッドの終了は、run()メソッドの処理が完了すると自然に終了します。

明示的な終了方法

  • 割り込み: interrupt()メソッドを呼び出すことで、スレッドに割り込みを通知できます。

    • スレッド内でInterruptedExceptionをキャッチし、適切な処理を行う必要があります。

public class MyThread extends Thread {
    @Override
    public void run() {
        try {
            while (!Thread.interrupted()) {
                // スレッドで実行する処理
                System.out.println("Thread running.");
                Thread.sleep(1000);
            }
        } catch (InterruptedException e) {
            System.out.println("Thread interrupted.");
        }
        System.out.println("Thread finished.");
    }
}

// スレッドの割り込み
thread.interrupt();
  • 終了フラグ: スレッド内で参照するフラグを用意し、フラグの状態によって処理を終了させる方法です.

public class MyThread extends Thread {
    private volatile boolean running = true;

    @Override
    public void run() {
        while (running) {
            // スレッドで実行する処理
            System.out.println("Thread running.");
            try {
                Thread.sleep(1000);
            } catch (InterruptedException e) {
                // ...
            }
        }
        System.out.println("Thread finished.");
    }

    public void stopThread() {
        running = false;
    }
}

// スレッドの停止
thread.stopThread();

4. スレッドの制御

  • join()メソッド: 特定のスレッドの終了を待ちます。

thread.join(); // threadの終了を待つ
  • sleep()メソッド: スレッドを一時的に停止させます。

Thread.sleep(1000); // 1秒間スレッドを停止

アプリケーションサーバーにおけるスレッド

Javaアプリケーションサーバー(Tomcatなど)では、サーブレットやJSPの処理はスレッドによって実行されます。

  • スレッドプール: APサーバーは、スレッドプールと呼ばれるスレッドの集合を管理しています。

  • リクエスト処理: クライアントからのリクエストがあると、スレッドプールからスレッドが取り出され、リクエスト処理が実行されます。

  • スレッドの再利用: 処理が完了したスレッドはスレッドプールに戻され、次のリクエスト処理に再利用されます。

注意点

  • APサーバーにおけるスレッド管理は、サーバーの設定によって異なります。

  • スレッドプール内のスレッド数は、適切に設定する必要があります。

その他

  • スレッド処理は、並行処理や非同期処理を実現するために重要な技術です。

  • スレッドの利用は、パフォーマンス向上に繋がる一方で、スレッド間の競合やデッドロックなどの問題を引き起こす可能性もあります。

  • スレッド処理を安全かつ効率的に行うためには、十分な知識と経験が必要です。

これらの情報を参考に、Javaアプリケーションサーバーでのスレッド利用について理解を深める。

2.スレッドの状態遷移とTomcatで関連する設定項目

Javaにおけるスレッドの状態遷移と、Tomcatで関連する設定項目について解説します。

1. スレッドの状態遷移

Javaにおけるスレッドは、以下の状態を遷移します。

  • New (新規): スレッドが生成されたが、まだ開始されていない状態。

  • Runnable (実行可能): スレッドがOSに実行可能と認識され、実行待ちの状態。

  • Blocked (ブロック): スレッドがI/O処理や同期処理などの待ち状態に入っている状態。

  • Waiting (待機): スレッドがwait()メソッドやjoin()メソッドなどによって、他のスレッドからの通知を待っている状態。

  • Timed_Waiting (時間付き待機): スレッドがsleep()メソッドやwait(timeout)メソッドなどによって、一定時間だけ待っている状態。

  • Terminated (終了): スレッドの処理が完了した状態。

これらの状態は、java.lang.Thread.State enumで定義されています。

2. Tomcatで関連する設定項目

Tomcatは、サーブレットやJSPの処理をスレッドプール内のスレッドに割り当てて実行します。スレッドプールの設定は、Tomcatの性能に大きく影響します。

Tomcatで関連する主な設定項目は以下の通りです。

  • maxThreads: スレッドプールの最大スレッド数。同時実行できるリクエスト数を決定します。

  • minSpareThreads: スレッドプール内で常に待機しているスレッド数。リクエスト処理の高速化に貢献します。

  • acceptCount: Tomcatが受け付けることができる最大接続要求数。これを超える要求は拒否されます。

  • connectionTimeout: クライアントからの接続要求のタイムアウト時間。

  • threadPriority: スレッドの優先度。

これらの設定項目は、server.xmlファイルで設定します。

3. スレッドプールのチューニング

適切なスレッドプール設定は、Tomcatの性能を最大限に引き出すために重要です。

  • maxThreads:

    • CPUコア数、メモリ容量、ディスクI/O性能などを考慮して決定します。

    • 過剰なスレッド数は、コンテキストスイッチのオーバーヘッドを招き、性能低下の原因となります。

    • 少なすぎるスレッド数は、リクエスト処理能力の低下を招きます。

  • minSpareThreads:

    • maxThreadsの数分の一程度が目安となります。

    • 多すぎるとメモリ消費量が増加し、少なすぎるとリクエスト処理の遅延が発生する可能性があります。

  • acceptCount:

    • 接続要求のキューサイズを決定します。

    • 大きすぎるとDoS攻撃の標的となる可能性があり、小さすぎると接続要求が拒否される可能性が高まります。

4. スレッド状態の監視

Tomcatの管理ツールや、JMX (Java Management Extensions) を利用することで、スレッドの状態を監視することができます。

監視項目としては、以下のものが挙げられます。

  • スレッド数

  • スレッド状態

  • CPU使用率

  • メモリ使用率

  • スレッドプール内の待ち行列の長さ

これらの情報を基に、スレッドプールの設定を調整したり、アプリケーションのボトルネックを特定したりすることができます。

スレッドの状態遷移とTomcatの設定は、密接に関連しています。適切なスレッドプール設定を行うことで、Tomcatの性能を最大限に引き出し、安定したWebアプリケーションを提供することができます。

これらの情報を参考に、Tomcatのチューニングやスレッド管理について理解を深めてください。

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