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負荷試験を考える④



5.計画と準備

負荷試験を成功させるためには、事前の計画と準備が非常に重要です。

5-1. テスト計画

  • 目的の明確化:

負荷試験を通して何を達成したいのか?
性能要件を満たしているか確認したいのか、限界性能を知りたいのか、安定性を検証したいのか、目的を明確にしましょう。

  • スコープの決定:

どのシステム、どの機能、環境構成を対象にテストするのか?
全ての機能をテストするのではなく、重要な機能や負荷がかかりやすい機能に絞り込むことも重要です。

  • 負荷レベルの設定:

想定されるアクセス量やピーク時の負荷を考慮し、現実的な負荷レベルを設定します。
必要に応じて、段階的に負荷を増加させるシナリオも検討します。

  • 評価指標の決定:

スループット、応答時間、リソース使用率など、目的を達成するために必要な評価指標を決定します。

  • スケジュール:

負荷試験の実施時期、期間、担当者を決定します。
余裕を持ったスケジュールを立て、問題発生時の対応時間を考慮しましょう。

  • 体制:

負荷試験の実施に必要な人員、役割分担を明確にします。
開発者、テスター、インフラエンジニアなど、関係者間の連携が重要です。

  • 報告:

結果の報告方法、報告先、報告内容を決定します。
分かりやすいレポートを作成し、関係者と共有しましょう。

5-2. テスト環境

  • 本番環境に近い環境:

本番環境と同様のハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク構成でテスト環境を構築することが理想です。
本番環境をそのまま使用できない場合は、できるだけ近い環境を構築しましょう。

  • 独立した環境:

負荷試験の影響が本番環境に及ばないように、独立した環境を構築します。
仮想環境やクラウド環境を利用することも有効です。

  • テストデータ:

現実的なデータを用意することで、より正確な結果を得られます。
個人情報を含むデータは、マスキングや匿名化を行いましょう。

  • ツール:

選定した負荷試験ツールをインストールし、設定を行います。
ツールの使い方を習得し、テストシナリオを作成できる状態にしておきましょう。

5-3. シナリオ作成

  • ユーザー行動の再現:

実際のユーザーの行動を模倣したシナリオを作成します。
アクセスログやユーザーインタビューなどを参考に、現実的なシナリオを作成しましょう。

  • シナリオの種類:

通常アクセス、ピークアクセス、特定機能への集中アクセスなど、様々なシナリオを作成します。
障害発生時のシナリオも作成しておくと、システムの耐障害性を検証できます。

  • スクリプト作成:

負荷試験ツールを使用して、シナリオをスクリプト化します。
スクリプトは、分かりやすく、メンテナンスしやすいように作成しましょう。

5-4. データ準備

  • テストデータ:

大量のテストデータを用意する必要がある場合は、自動生成ツールなどを利用します。
データベースの初期化やデータ投入なども行います。

  • アカウント:

負荷試験に使用するアカウントを事前に作成しておきます。
必要に応じて、権限を設定しておきましょう。

5-5. その他

  • リスク管理:

負荷試験に伴うリスクを洗い出し、対策を検討します。
例えば、システムダウンのリスク、データ漏洩のリスクなど。

  • コミュニケーション:

関係者間で密にコミュニケーションを取り、情報共有を徹底します。
定期的なミーティングや進捗報告を行いましょう。

負荷試験の計画と準備をしっかりと行うことで、スムーズなテスト実施と正確な結果分析が可能になります。

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