Laboの男79
Labの男79
ハマムラ順天堂
「自然と漢方を科学する」
印象に残るスローガンで有名だが
どんな会社かはあまり知られていない。
漢方薬に特化した製薬会社?
そんなイメージがおおよそのところだろうか。
1900年 初代 浜村順九郎が上京
日本橋に漢方薬局を開業したのが始まり。
初代 浜村順九郎の里では当たり前のように
河童が生息し村全土で交流があった。
カッパと共に生き、暮らし、育んでいた。
今では忘れ去られてしまった
自然界にあるものの、あやかり方
畏怖、つながり、対話方法など
ある意味、現代よりもはるかに
村は豊かに暮らしていた。
そのカッパ族に伝わる秘伝の媚薬を
順九郎が教わったことに始まる。
公ではカッパの部分は削除された
故郷に伝わる秘薬を元に
開発した 頑丸湯【がんがんとう】
婦人疾患薬とされるが
不思議と切り傷から頭痛から下痢から不定愁訴
歯痛にまで効くおかしな丸薬。
あまりにも効くので当時は
丸薬を入れて炊き込みご飯にして食べれば
万病に効くとも言われた。
東京での商いも波に乗り出した頃
頑丸湯を精製する工程で出るクズを
風呂に入れてみると皮膚疾患に効いたり
よく温まるという従業員のアイデアをヒントに
研究を重ね 薬用入浴剤 入る頑丸湯が発売
さらに研究を重ね現在では
漢方より有名な バスガンクリン を開発。
順九郎はさらに医療用漢方製剤に力を注ぐ。
経営は息子に丸投げして
ハマムラ順九郎は更なる高みへと
漢方研究のためにイギリス留学
本番のハーブ研究に訪れたのがきっかけで
大魔導師マーリンと出会う。
岩に刺さったエクスカリバーを引き抜いた
アーサー王伝説、円卓の騎士の参謀として有名。
ハマムラ順九郎曰く、
当時は自身と同じくカッパと対話できるように
妖精と話せる薬剤師のじいさん
ぐらいにしか思っていなかったと語る。
魔導士マーリンに
勝手に才能を見出された順九郎は
あれよあれよと
漢方から魔法となんの違和感もなく学び
現在では日本魔法専門学校の学園長 順九郎
として有名となっているがおおやけでは無い
裏の世界での話。
「服飾専門学校だとかのモード系だとか
コンピュータ専門学校学校だのIT系
調理師専門学校と色々あるだろう?
大体のナントカ専門学校はマジカルスクール
魔法学校なんだよ裏ではな」
日本魔法専門学校の象徴となる
大魔導師マーリンからのお墨付き
譲り受けたマジカルアイテム「心の鍵」は今も
ハマムラ順九郎学園長室に大切に保管されている。
ヒトの悩み苦しみから解放させるアイテム
と言われている。
他製薬会社と表立って敵対するほど
武闘派ではないが古くから世界に影響を与えており
第2の勢力と言われる。
クリスタルマン研究で一気に勢力を増した
エビス薬品工業
科学テクノロジー主体の会社に対し
ハマムラ順天堂
魔法テクノロジーが主力で
現代人には耳なれないmagicalパワーで
目に見えないカタチで影響を与え続けている。
製薬会社が幅を利かせている世界観は
比較的分かりやすい部類で
裏の世界では、3大勢力の
科学技術派 魔法派 呪術派 に分かれる。
科学技術派であるエビス製薬工業
薬品の力で手広く商売を展開
魔法派であるハマムラ順天堂
漢方薬だけでも充分影響力はあるが
我々では計り知れない魔法学による所が大きい。
君たちには一般的でない
象徴的なマジカル部分では
量子力学の分子原子のツブと対話ができる。
社会ではヒト以外は物質扱いだが
鉱石、草花、動物、プラスチック、電気、光と
ほぼ全ての環境と交信可能。
魔法学の根本は自然と共に 地球と生きる。
人類を寄生虫扱いするようや
好戦的ガイア論者ではなく
あまり争いは好まない社風。
我々エビス薬品工業と同じく
ハマムラ順天堂社員が全て魔法使いではない。
世界と同じく表と裏がある。
科学的物理法則を無視してマジカルに
社会の裏で活躍している。
第3の勢力
はっきりとした組織の存在すらわからない
政府関係の配下に属する呪術派。
だまし騙されの政界に古くから
呪術は密接に関わっている。
吉凶を占う陰陽師などのルーツがある。
政府との繋がりが深いのは
幕府と忍者の関係性に似ている。
ナチュラルボーンの異能者系多し。
政府の力が縮小気味に対して呪術者集団
仮に【陰の軍団 カゲのぐんだん】と
呼ばれているんだが
カゲ達がすこぶる力をつけ
現代では逆に政府を操る勢いだ。
魔法は、元から存在する環境に力を借りて発動
自然の力を借りたり精霊の力を借りたり
あくまで我々が知らない所からパワーを借り
現代人には見えない所に敬意が必要。
に対して
呪術はあくまでオノレの力
エゴのエネルギーがみなもと。
思い込み 念の力がモノを言う。
引き続き来栖の講義は
2本目のタバコに火をつけながら
ひと呼吸間をおいて続く。
呪術と魔法の違い
我【ガ】が強いっていうのは願いを叶えるには
一見近道のように思える。
無理を通すには、エネルギーがいるものだ。
自力と他力
世の中を渡り歩くには
フィフティーフィフティー
技術的な実力 と おかげさま的な環境の関与
50%and50%ぐらいな
感覚で生きるのがバランスが良い。
持論だがな。
時代だとか世相が波打って
サイクルを繰り返しても争いは終わらない。
そして争いごとは
時代によってカタチ、矛先が変わる。
戦火の中だと
過酷な環境下に立たされ
実力だけが正義、己の技術が試され
自己責任感が強く出る。
選択肢が少ないからか
結果がすべてだとなりかねない。
実力のみが結果を導き出す世知辛い窮屈さ。
見えているようで視えていない
邪魔となるモノは視ない
己のチカラ 呪術
異常事態に飛び抜けた能力を発揮する。
世の中が安定すると未体験の
新しい選択肢が増え続け
自身では選びきれない程になってくる。
「それまでに無かったモノが増えるんだからな。
それを選択できる
覚悟と頭が必要となってくる。
生き死にに関係無く
ムリしなくても生きれるのも問題だな。
持ちきれないほどの選択肢は
頭をお留守にしたくなるもんだ」
すると先導する権力が幅を利かせだす。
絶対的では決してない政府だとか巨大組織が
安定を作り出している要因だと勘違いしだす。
世界を動かすのは一個人ではなく
実際は一個人が集まっての組織なんだけど
偉いさんが世界を動かす風に見える
皆さんのおかげ、環境
実際の実力よりも権威主義が幅を利かす。
権威という魔法。
この権威主義ってのは不思議で
他力本願でいつつ環境を限定、
志を押し付けあう事になりかねないが
一個人が合わせ持つ
信じれない不安感をコントロールで
支配力で補おうとする呪術的だ。
路頭を組む個々のための合理組織
ただ中には世の中を良くしようとする
輩もいるのは魔法的だ。
もしかすると世の中は
マジカルでありつつ呪術的
多重構造になっている。
その真ん中が
スペシャルでなくても万人に扱える
学術であり科学。
「分かりにくくなったかもしれないが
利他と利己 が 魔法と呪術 の違いだ。
その中庸【ちゅうよう】をいくのが
わが社エビス薬品工業だ」
呪術
末那識【まなしき】
がキッカケになることが多い。
インナースペースの自我が体現する。
己の力でもって感が強めで解決しようとする。
裏を返せば他者を信用していない。
思いが強ければ強いほどパワフルとなる。
練り込めれば凄まじい威力を発揮するが
思い込みに身を食い殺されることもある。
自身の炎で焼かれてしまうことになりかねない。
硬い割には欠けやすい。
魔法
阿頼耶識【あらやしき】
がキッカケになることが多い。
アウタースペースの無意識の自身が体現する。
他人を巻き込むのは一種の魔法で
環境に根付いた精霊を使ったりと
個人的解決を求めない。共に生きる。
自身の力よりもより良く願う他力
利他的に力を使う。
己のために使われることは少ない。
よって他人を信用しすぎる。
裏切らぎるよりも裏切られるをとる。
騙されて自分を捧げてしまう
滅私奉公ともなりかねない。
発動条件
どちらも利己なのか利他なのか
瞬間的にそこには保身がなく
その身を捧げるほどの覚悟が必要だ。
だが実はそれほど自覚がなくてもいい。
迷いなくコレでいいと思えるかだ。
第三者を応援するのは
一種の呪術であり魔法でもある。
祈りは見た目は同じだが
オノレの為かタシャの為なのかは、分からない。
第三者の受け取りかた次第だな。
想いが物事を決めるのは確かだが
組織は共感魔法とも言えるし
呪術的エゴイスト達の一時的な協定とも言える。
名称が分かっていたり固有名称ならなおのこと
効果が見込める。具体的であればあるほど
災いを当てがいやすくなる。
エージェントが名を伏せるのにもその理由がある。
それはイメージが一点集中しやすくなるための
予防策として
コードネームで分散って所もある。
誰でもない行きどころが無い想いは
世の中にも反映され、集団だったり
国だったり、不穏な空気はそのまま
世に生写しされる。人々のフォーカスが
どこにいくかでいい事であれ悪い事であれ
願いは叶ってしまっている。
ある程度名が知れ渡ってしまう頃には
災いをはね除ける知識経験が備わっている
かもしれないが用心に越したことはない
とんでもない得体のしれない事はいくらでもある。
なんでもありなんだよ世界は。
「で、なぜに?この来栖が
わざわざ講義をしているのか?」
「この事実は知られてはいけない事柄だ。
だから知ってしまった以上
もう以前のように世界を楽しめなくなる。
それともうひとつ
あと戻りはもうできない」
眉間にシワを寄せフィルター根元まで
1発タバコを強めに吸い込み。ふぅ〜
「君たちはまだ実際に
対峙していないだろうから
大まかな勢力図を説明しておかないとな」それと
「そんな得体の知れないモノたちに
対抗する部署を発足する事になった」
「君たちは来栖に属してもらうぞ」
「おぉ〜!え〜ぇ〜!!え〜〜〜!?ダス?」×4
……………沈黙の首なしイワノフ
まわりを見渡す万次郎
適当に口からでまかせを発するタイプではない
来栖のことを知っている。
【ちょいちょい、ちょっと待ってくれ
全部本当なの?参っちゃうな
有無も言わせない
What a wonderful World!】
玄白だけが顔に笑みが張りついている。
そういえば
いつのまにか出勤している鳴海 ルナ。
プチ木人にはさほど驚いてる素振りはない。
彼女はわざと沈黙を貫いている様に見える。
鳴海ルナを指さし来栖
「彼女は魔法界隈の出身者だから詳しいことは
ルナに聞くといいだろう。
利他的に生きる彼らの習慣に嫌気がさして
家出したみたいだな。
名門家出身の生粋のお嬢さんだ」
驚きが隠せない面々
突然、万次郎が質問を投げかける。
「だから
ルナ先生は島流しにあったんですか?
上層部はハナからセンセイの素性を知っていて
しっかりとした部署に就かせなかった?
もしくは、来栖さん発足の部署のため?」
「ジョンっ!いぃ〜質問だな。
私もその事実を知ったのは最近だ。
だから私のハカリゴトではない。
そもそも私は策略だとかは嫌いなタチだ。
回りくどい事はめんどくせぇ。
上層部がどう思ってたか?までは分からんが
ただ、いいタイミングだと思っただけだ」
万次郎は思った。
来栖らしいシンプルな回答だ。
それとやっぱりアイアン来栖は信用できると。
気持ちのいいほど
下らない損得で動くような器ではなく
しっかりとした意志は
アイアン来栖メイデンなんだと。
プチ木人がいつのまにかマコの手を離れ
来栖のズボンの裾を抱きしめている。
下を見る来栖
「んっ?なんだこれ?なんで増えてんだ?」
玄白が抱き抱えてるもう一体の
プチ木人を目の当たりにして
「おいおいっ!なんで2匹も増えてんだ?」
マコは玄白が大目玉を喰らうだろうと
あちゃ〜っとしかめっ面をしている。
来栖に興味があるプチ木人は
なぜか抱きしめていた来栖の脚をギュッとした後
しばらく間があり
プチ木人と見つめ合う来栖。
足元でプチ木人は
小首をかしげ【どうしたの?】的な仕草
「おまぇ、このヤロウ可愛いじゃねぇ〜か。
ん〜っまぁ〜カワイイから
一応コイツらも一員としてカウントするか」
なんでだよ、怒らねえのかと思うマコ。
戦慄のアイアン来栖であってもオンナ
可愛いには
かなわなかったのであった。
ふらり明智が登場
「ん?みんな揃ってどうかしたの?」
雁首そろえた面々の顔をひと通り目で追い
来栖の足元と玄白の抱き抱えてるのを2度見して
「おぅoh〜!なんで来栖さんいんだよ?
あれっ?なんで増えてんのよ木人?」
明智Laboはどうなってんだ?