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Laboの男67
Labの男67
ダンターグ 「100年早いわー!!」
【ぶちかまし】 物理全体攻撃技
ズババババ ズババババッ
ひたすら強くなりたいと願う気持ちからか
物理一辺倒の戦い方をする。
物理攻撃さえ、なんとかすれば
といった甘い相手では断じてない。
盾があればなんとかなりそうだが
確率回避となるため安定はしない。
【見切り】をどれだけ持ってこれるかが
重要となってくる。
ダンターグとは、RPGゲーム
『ロマンシング サ・ガ2』に登場する
『七英雄』敵勢力の一人。
1000年以上、ひたすら単独でモンスターを
吸収し続けている戦闘バカ。
ちゃんとした言い方だと
強さを追い求める猛者
四本足巨獣の下半身に人間の上半身が付いた
ケンタウロスのような姿をしている。
ロマン満載のなんと第4形態まで変身する。
【ぶちかまし】 狂気の全体攻撃
パーティーは
まずこの攻撃で全滅させられる。
序盤に遭遇した場合
ハッキリ言って勝てない。
万次郎にしてみればあまり馴染みがない言葉
【ぶちかまし】
頭の片隅によぎる記憶
親戚の兄さんがくれたRPGソフトのことを
相撲そっちのけで思い出している。
ダンターグで合ってたっけか?
腰を下ろし握りこぶしを地面に
当てるか当てないかの距離で
見合っている2人 万次郎と走馬
オールバック走馬クローン
【そうだな
今どきの若者はいかほどのものか?
立ち合いから、ぶちかましてやる】
【ぶちかまし ぶちかまし ぶちかまし】
万次郎は手を上げタイム
横手で腕を組み観戦している明智にかけ寄る。
口元を手で隠し
相手に聞こえないようにコソコソ
「ぶちかましって何ですか?
やたら繰り返して言ってるんですよ」
「んっ?走馬の思考の話?なるほど」
鎚分と相撲文化から遠のいた世代
万次郎に分かりやすく説明する。
「頭から力いっぱい体当たりを
かますってことだ」
「ちなみにクローンって変身したりしません?
コレが我が真の力 第4形態だっ!
みたいなことありません?」
「だっははははっ
万次郎はクローンをナンだと思ってるんだ?
魔物だとかじゃない
ただのコピーだよ。
コピーだから劣化することはあっても
オリジナルを超えることはない」
「それじゃ
能力を付加したりしてません?
いじったり出来そうじゃないですか?」
「当時のできることは成長を早めたりぐらいで
ニンゲンのままだよ」
「なるほど、助かりました」
と言い残して走馬の前へと向かう。
走馬を前にして考える万次郎。
勢いよく来るのならその力を利用して
ひっくり返すってのはどうだろう?
走馬を改めて見てみる。
とても年相応な脚ではなく
元競輪選手だったと思えるほどの安定感
とんでもない馬力のタックルが予測できる。
明智が見守る中 見合って みあって
かけ声の『はっきょうい のこった』はなく
お互いの阿吽の呼吸で
両こぶしを床につけ
走馬の勢い爆発
低い姿勢からの走馬のオルバックヘッドが
迫って来る。
ちょいちょい!頭からって最初からじゃないの?
開始直後の体当たりって事じゃ?
「ぶちかましって
アタマごと体当たりするってこと?」
参ったな、そんな捨て身の人魚雷は想定外。
あっ!エドモンド本田だ!なんで忘れてたんだ!
そうだよ!スーパー頭突きって必殺技あったな。
前方に向かって砲弾のように高速で飛ぶ突進技。
あれは身体丸ごと宙に浮いて
頭ごとまっすぐに飛んでたけど
この間1秒も経っていない。
スローモーションに迫りくる捨て身のオールバック
交通事故に遭遇しているのと変わらない爆発力
想定よりもあまりにも打点が
低い位置から迫り来る頭
「ガードごと吹っ飛ばされて負けちゃうぞ!
おいっどうする!万次郎!」
来るのはハナから分かってたんだ。
なのに狙ってたカウンターが間に合わない!
くる来るくる来る!
胸元にまともにダイナマイトヘッドが炸裂
起爆と共にふっ飛ぶ万次郎
かっ 吹きこぼれた呼吸を置き去りに
一瞬にして飛んでいった距離は5M
ズササササーッ
明智の頭は右から左へ
尻もちをついて
仰向けに倒れる万次郎を確認してから
苦笑いで歩み寄る。
残念だったなと近づいて
手を差し伸べようとする明智を制する万次郎。
咳込みながら身体を起こし
まっすぐ走馬の方を見る。
キラーーン
瞳に力を宿す万次郎
「さすがに、かはっ ゴホン
こたえましたよっ走馬さん!
もう一丁お願いできますか?」
ダンターグ 走馬との1本目の立ち合いの経験
【閃き】とは、
「技」の修得方法であり、
【閃き】が発生すると、
戦闘中にキャラクターの頭上で突然豆電球が光り
その瞬間に新たな技【見切り】を覚える。
【見切り】は敵から技を受けたときに閃き
その場で敵の攻撃を回避する。
強力な技を見切るには
それに見合った強敵と戦う必要がある。
走馬 「威勢がいいじゃないか!
アレを喰らって
もう一丁ってまだやる気なんだな。
いいだろう、ふっふっふ」
明智は含み笑いをし腕を組みなおす。
【そりゃそうだ。正気を失った群衆には
技が気持ちいいくらいに決まるだろうが
まともなニンゲンにはそうはいかない。
さて、ナニを見してくれるんだ?万次郎】
万次郎は胸を張って手のひらで
バンバン「もう一度、ここに来てくださいよ」
叩いてみせる。
走馬は肩に手をやりグルグル振り回している。
「はっはは。挑発に乗ってやろうじゃないか」
万次郎が叩いた胸の位置は先ほどよりも上
【挑発どおり高い位置でぶちかまして
くれればいいんだけど】
万次郎が起き上がったすぐ横
ガラスの階段の上、最上階
まだ、瞳を閉じまたまま
コーヒーを味わっている
ジェイソン楠木「う〜んっ!美味しい」
再びカップを口に運び
しわくちゃにした顔を斜め上に
「う〜〜んっ!」
のんきなものだ。
2本目
万次郎は仕切り直すようにせき払いをひとつ
ワイシャツの首元に指を入れ整える。
走馬はすでに構えて準備万端
遅れて万次郎、拳を地面に置いた瞬間
パーティー全滅の技
ダンターグ必殺技の物理攻撃
爆発的な【ぶちかまし】が発動
待ってましたと状態を起こす万次郎
右握りこぶしに力をためて
喉元に来るオールバックヘッドを誘う。
「ナイスっ!まっすぐ来るぞ」
迫り来る頭を軽く横に交わし
自らの腕を横に延ばし衝撃を和らげる為少し曲げ
標的の首に腕を叩き付け
そのまま軽く上方へ振り抜く。
鍛えるのには限界がある喉元への攻撃
「ウエスタン・ラリアット」
タイミングよく走馬の喉元に合わせる。
かち合わせた衝撃は凄まじく
全速力で走り抜けるバイカーの首元に
棒が引っかかったように
1回転してぶっ飛んでく走馬
テコの原理炸裂!
万次郎の腕が棒と化すには
来栖にしごかれた 寸頸
地面を味方に足から腰さらには背中へ
力を伝える技術
強力な下半身があってこそだ。
1970年代後半
歴史ビト、ウエスタンスピリットこと
我らがスタン・ハンセンが
ウエスタン・ラリアット 西部式投げ縄打ち
名称で公開して以降
日本で広く使用されるようになった技。
「ラリアットは
自身のアメリカンフットボール経験を活かした
オリジナル技であり
激突時の衝撃を吸収する柔軟かつ
強靭な下半身が必要。
アメリカンフットボールの試合では
当時は反則でなかった「腕タックル」として
よく使用していた」と
著書 魂のラリアット で述べている。
腕を相手の首に当てると同時に
そこを作用点として押し倒す技でもある
ラリアットはハンセンの代名詞
フィニッシュ・ホールドとなり
日本でスーパースターの地位を築いた。
ハンセンは多くのレスラーが
ラリアットを使用していることについて
「皆が使いたがるのは
この技がいい技である証拠だ」と述べている。
アントニオ猪木で有名な掟破りの逆ラリアット
かち上げ式アックスボンバー
叩き付け式リキ・ラリアット
天龍源一郎で有名な倒れ込み式ラリアット
様々な技が生まれたが
それは、またの機会にしよう。
香港映画を思わすようなノーワイヤーアクション
見事なまでのテコの原理で宙を舞う走馬
そのまま腹ばいに地面に打ちつけられる姿
そのシーンは
明智の脳内でスロー再生されていた。
腕組みした手に力が入る明智
「やるじゃ〜ないのっ!」
【ぶちかまし】の爆発力が生むパワーは
走馬の身体を2回転半させ
地面に打ちつけた。が
それほど時間をかけず
うつ伏せ状態から身体を起こし
なんてことなさそうな走馬。
頭を振りしわくちゃの顔で
目をパチクリさせながら
「冗談抜きで目の前に星が飛んだよ」
万次郎
【おいおいおい!どうなってるんだっ。
どこがただの人間のコピーだっ
ラスボス感満載じゃないか!
ほらっやっぱり、魔物じゃないか〜
このオールバックじじぃ!】