Laboの男39
Labの男39
バンッバンッバンッ
万次郎の感覚ならもうすでに腕が
シュワルツ・ネガーしているはずなのに
何とも心細いか細さのままだ。
もう腕やらナニやら感覚がないから
麻痺している事も分かってない。
前腕筋群から上腕筋群〜三角筋から背筋群へと
連動し伝導する波紋
走るシビレなのか痛みなのか、
例えようのない感覚が
大きくなったと感じているだけだからだ。
夢見る映画青年の限界は恐ろしく早い。
来栖の想像以上に現代人は弱体化している!
なのかどうかは万次郎には、どうでもいい事だ。
戻ってきた来栖
「とりあえずは、カタチになってきたな。
いいだろう!ここからは実践編だ」
ことばを疑うハトの豆鉄砲顔、ふたたび
【うそだろっ!まだ行く気なの?!】
万次郎の脳内フィールドにはなぜか
キラキラ宇宙空間が広がり
銀河の星々に照らされて筋骨隆々のパンツ一丁
はすに構え腕組みをする
リトルシュワちゃん登場
「ハッハッハハ
お前の筋肉は、まだだと言っているぞ」
【見間違いでしょ?冗談キツいよ】
「最前線では、そんなこと言っている間も
なかったぞ。生きるか死ぬかだ。
あきらめるんじゃ〜ない!
まだまだやれるはずだ」
【どこの何の話をしているんだ!】
「おまえにはオレがついている。
任せておけ!大丈〜夫〜V〜っ!」
【なんでだっ!筋肉バカ!】
マッスル神は腕組みしたまま
キラキラ銀河の彼方に消えてゆく。
次は
“ワンハンドシュート”だ。
トレンチコートに
男たちの挽歌をしのばせ振り向きざまに
くわえタバコでワンハンドシュート
ベレッタを持たせりゃなんとかするぜ
バッタバッタとなぎ倒してゆく2丁拳銃
片手持ちの2丁拳銃を優々と使いこなせる程
鉄火場を渡り歩いてきた男
チョー・ユンファの代名詞だな。
万次郎に教えるのは2丁拳銃じゃなくて
片手撃ちってことだ。
両手撃ち、安定感のある
ツーハンドホールドで撃つことが圧倒的に多く
あまり体得する必要は、ないかもしれないが
覚えておいて損はない。
基本は銃を持っている手のほうの足を前に出し
身体をやや前のめりにして
前に出した足で体重を支えるようにする。
こうすることで腕ではなく身体を使って
リコイルショックを抑えることができる。
素早くワンハンドで撃たなくてはならない場合
銃を握っているほうの足を出さずに撃つ。
銃を身体に引き付けるようにすると
安定して撃てる。
銃を傾けて撃つほうがサイトと視線に近くなり、
かつリコイルショック、
反動がコントロールしやすくなる。
「自身の視線上に合わせるカタチで
銃を持ってくる感じだ」
長い黒髪がゆれ
ふわりと仁王立ちになりターゲットに向けて半身
腕をゆるりと伸ばし銃身は斜めに
バンッバンバンッバンバン
頭 肩 肩 太腿部 大腿部にHIT!
「本来ならば実践で身につけ
レベルに応じてが1番いいんだが
ジョン個人で微調整してくれ」
ある程度基本をおさえればカタチにはなる。
あとは数撃つことだ。それしか無い。
自転車が乗れるようになれば後は
どうとでもなる ってな具合だ。
トリッキームーブにもまずは
乗れるようになってからだろ?
バンバンッバンバンバン
まだシュワちゃんが出てこないところを見ると
限界点ではなさそうだ。
片腕での射撃は銃自体と腕の重さがドンドン
前にも増して背中に乗っかってくる。
疲れが自然と負担の少ない撃ち方を学ばせる。
何も無かった引っかかりから
コツらしき無駄な力の抜き方
しかるべきチカラを入れるポイントが
なんとなく身体が覚え始め
感覚に馴染んできている気がする。
が、俄然カラダは重くなる一方だ。
万次郎の気が緩んだ矢先
頭の片隅の暗闇からみるみるうちに宇宙が広がり
キラキラ銀河に舞い降りるトレンチコートの男
七三分に愛嬌のある黒い瞳
唇の端にくわえた爪楊枝
ニヒルな微笑みを携えて
2丁拳銃神チョウ・ユンファーが登場
「お前はまだ、クンフーが足りないな!」
オレのベレッタ2丁持ちには
10年はぇ〜」
【2丁拳銃に憧れてるなんて言ってねぇ〜】
ここでいう功夫【クンフー】とは
技術がある一定を超える人を称して
功夫の達人と言う。
体術の達人でなくてもどのジャンルであれ
クンフーの達人といえる。
要約すると修行が足りないって言っている。
万次郎はマニアックなので知っている知識
口に咥えていた爪楊枝を吹き飛ばし
トレンチコートから取り出した
タバコに火をつけ
おもむろに吸うチョウさん
「まず、気持ちの問題なんだよ。
自分以外はモノだって思うくらい
拳銃だけに集中しろ!
ヒトを殺めているなんて考えてるようじゃ〜
まだまだヒヨッこだ。
そんなんじゃ〜すぐ死ぬぞ」
【うるせぇ〜、わかってるよ!
こちとら、想像力が豊かなんだよ。
おつむのコントロールの修行中だっッうの
よく見たらチョウさん!
ヤング小林旭にそっくりじゃ〜ねぇか!
あっち行けっマイトガイ!】
マイトガイとはいつ爆発するか分からない
危険な火薬の匂いのする男を
称してダイナマイトのような
ダイナミックな漢を指す。
小林旭は当時マイトガイと呼ばれていた。
万次郎はマニアックなので
チョウ・ユンファーを吹き飛ばすように
片手撃ちに集中する万次郎
ぽっぽーっ ポッポーッ 小1時間経過
帰ってきたら来栖
「さすがに銃身が下がってきてるな。
それでも中々のものだぞ、ジョン
ズブの素人でここまでついて来れてるのは
大した集中力だ」
来栖は自身が握るグロック17を眺めながら
新しいマガジンを装填し直してる。
カショ、ガチャッ
万次郎が撃ち尽くすのを確認し歩み寄る来栖
「これから教えることが“本編”だ。
ある程度カタチにならないと
出来ないはずだからな」
「適度な疲れもちょうどいい実践の糧となる」
【てっ、適度って!どうなってるんだ。
明智さんが言ってたのは本当だ。
このまま行くと死んじゃうな〜】
流れる黒髪をかき上げ不機嫌な唇
「実際の話、カウボーイみたいに
スクリーンに収まるような
見栄えよく発砲する事は実戦では無い。
今までに教えたことは、そうだなぁ〜
空気の吸い方を教えただけに過ぎない」
「全てはコレを教えるためだ」
【ウソでしょ!まだ始まってないの?】
筋肉の妖精insideシュワちゃん
「メインディッシュは、まだ控えているぞボウズ
準備運動はこれくらいにしておいてやろう。
筋肉に踊らされてるようじゃ〜
まだまだ青いな」
【うるせぇ、あっちいってろ】
来栖
「大雑把にでも基本を身体に叩き込まないと
この先は、口で言っても入って来ないはずだ。
トリガーを引いた後の反動、飛び出る薬莢
火薬の香り、指の感覚、拳銃の重さ
それらは、ジョンの糧となる」
2丁拳銃神チョウさん
「来栖の言う通りだ!お前の肝っ玉に刻み込め」
【マイトガイもあっちいけ!シッシっ】
これから教えるのは文字通り実戦のテクニック
「C.A.R.systemだ」
C.A.R.システムとは、銃の構え方の一つであり、「Center Axis Relock
センター・アクシズ・リロック」の略称
銃身軸の再照準という意味だ。
C.A.R.スタンスとも呼ばれる。
基本姿勢は、胸の前で斜めに銃を構え、
左手で銃身を押さえ、
右手でトリガーを引くというスタイル。
腕を曲げた状態で脇を締め
体の上半身全体で銃を握る、
握り拳になる感じだ。
この姿勢をとることで、
自分の体をコンパクトに被弾を避け、
敵による攻撃を防ぎながら、
即応性をもって射撃することが可能だ。
C.A.R.システムの利点は
狭い場所でも銃を構えることができる。
待機姿勢から射撃姿勢へ素早く移行できる。
近距離でも無理なく照準を合わせられる。
誤作動からの復帰や
マガジンチェンジが素早くおこなえる。
C.A.R.システムの射撃姿勢には、
ハンドガンを保持する
位置や肘の曲げ具合が異なる
「High ハイ」
「Combat High コンバットハイ」
「Extended エクステンデッド」
「Apogee アポジー」の4種類がある。
場所の狭さや敵との距離に応じて使い分ける。
「途中で居なくなったのはコレを調べに
行ってたんだよ。
どれがどれだか覚えてないからな。
身体が勝手に覚えた口だからな。
ジョンはこういうの好きだろう?」
センサーが反応している。
コレだ!アクション映画のFBIだとかが
やってるヤツだ!
万次郎のスリル ショック サスペンス
こんなにヘロヘロなのに反応しちまっている。
「まずはCQBにおける索敵や至近乱戦には、
急に現れた敵に銃を奪い取られないように
身体に引きつけるのが基本だ」
「CQBってなんですか?」
「CQBは Close Quarters Battle
クローズ・クォーターズ・バトル」の略
近接戦闘という意味だ。
市街地や建物内、船や航空機など入り組んだ
狭く限られたスペースにおいて、
相手と近距離でハンドガンやサブマシンガン
アサルトライフルなどの小火器を用いての射撃
または白兵戦を行うことを指す。
交戦距離はだいたい30m辺りか。
非常に短い距離での乱戦
物理的な戦術的戦闘となる。
見通しが悪く障害物が入り組んだ
交戦距離が近いフィールドでは
銃口が壁に当たる様な
スナイパーライフルなどの長物は取り扱いが悪く
ハンドガンやサブマシンガンなど
サブウェポンが有利になる。
「エージェントなら閉鎖空間でのミッションが
多いだろう。だから、
CQBとC.A.R.システムを叩き込む必要がある」
アメリカ法執行機関でも使われる
C.A.R.システム本編講座
やっと開幕。
さっきから、さんざん教えた
ハンドガンの射撃スタイルは
基本、足を大きく広げたオープンスタンス
両手で銃を構えてまっすぐ腕を伸ばした
腕で三角形をつくる二等辺三角形スタイル。
広い場所や敵との距離がある場合なら、いいが
狭い室内や入り組んだ場所ではきびしい。
伸ばした腕や銃を狙われ
腕自体に攻撃を受ける可能性がある。
ハンドガンによる銃撃戦は
大抵2~3mと近距離のケースが多い。
C.A.R.システムは近距離の戦闘下で
武器の保持力と機動性を最大限に高め
素早く照準を定めるスタイルとなる。
基本姿勢は
相手に対して体の中心を垂直に向けて
銃を持たない方の肩を前に。
この姿勢により露出面が減少
マトとして小さくなる。
「銃を傾けて撃つのがしばらく
映画で流行っただろ?
実はC.A.R.で銃を傾けるというのは
必須ではない
撃ちやすさを追求した結果だ」
グリップを握った右手を高い位置に引き上げ
銃身を真下に向ける。
「ストレートダウン」て言う構えだ。
これはライフル装備の奴で見たことあるだろう?
今までの教えどおりすると
銃身を水平に保とうとするだろ?
手首が硬いと銃の左側面が自分の胸に着き、
右側面が前側に向く。
銃を真っ直ぐに保とうとすれば
微妙に手首が痛いはずだ。
ハンドガンだと分かりにくいだろうから
ライフルの方で説明すると
肩前面に押し当ててる部分がストックで
ストレートダウンからストック後端を
起点にして銃身を振り上げる。
銃自体の長さがあるから腕は固定しまま、
すると銃は横倒れのまま。
これがジョン・ウィックのやってる撃ち方だ。
チラリと目線をやってみる来栖
「どうだっテンション上がるだろ?リトルジョン!
きしくも、同じ名前だなっ!」
ジョン 万次郎の血潮が静かにボルテージを上げ
沸々とたぎってきているのが
来栖にも手に取るように分かる。
近年不作と言われ続けていたアクション映画界。
イナズマのように現れた
真剣に取り組まれたバカ映画
『ジョン・ウィック』
俳優キャリアもさることながら
主演作が数多あるはずのキアノ・リーブス。
なのに今さら
代表作だと言われる怪作だ。
もちろん見てもなんの役にも立たない
素晴らしい程までの徹底した
アクション映画。
万次郎の表情がみるみる高揚してゆく。
おおおおっ!これは盲点だった!
ジョンなんてよくある通りすがりの
一般的すぎるありふれた名前。が!
途端に屋号がMr.ウィック氏ともなると
現代アクション映画の金字塔
脈拍、トキメキ指数、超絶ぅ〜急速上昇
気持ちだけは、もうすでに少し強くなっている。
恐るべし来栖の人心掌握術!
ははは、ただのアクション映画バカなだけだが
万次郎にはどうでもいい事
本来、銃身を振り上げながら、
タイムロスなく手首を返して銃を真っ直ぐに
向けるんだが これにはもう一段階の修練が要る。
「コンパクトに小さく構えたまま狙う。
腕のつけ根を支点にチョウツガイの要領で
絶えず同じ位置に来るように銃を構える。
どんな状況下であれ
すぐさまに発砲できる状態を絶えずキープ
ロスなく立ち回れる」
照準はフラッシュサイティングという技法だ。
ストレートダウン状態から
100回振り上げて、
100回とも同じ位置に
停止出来るのであれば
その段階で照準はほぼ合っているはずだ。
だったらフロントサイト
銃口の 凸 だけで標的を捉えても、
かなりの精度で照準は合っているんだな。
リアサイト 凹 は要らない。
自分の銃の位置より上方を撃つ場合であっても
下方に撃つ場合も、腹・胸・腕・首はロボット
または、マネキンのように同じ角度のまま。
腰だけで向きを変えて動かす。
上半身を固定してしまう事で、
フラッシュサイティングの正確度が上がる。
上半身全てが握り拳って言い回しが
ちょっとは分かるか?
「C.A.R.の型を覚えるには
ライフルだとかの大きめの銃火器
からが妥当なんだが
そんな物騒なモノは
あまり好きでは無いだろ?
鎮圧だとか、占拠、殲滅、
実力行使系ミッションは、
まぁ〜無いだろうからな。
自己防衛前提だからサブウェポンの
ハンドガンで十分だろう」
最初の方に言った通り
C.A.R.システムには4つの姿勢があり
その中のHighとExtendが基本姿勢。
Highというと高い位置に構えることを想像するが
体の中心、胸の前あたりに銃を構える。
これにより視界は開け
体に銃が密着しており銃を奪われることは無い。
銃口は肩の向きに連動し
敵を発見時はそのまま射撃。
この姿勢のもう一つの利点は
逆側に敵が現れた時に構えなおすことなく
銃を逆の手に持ち替えることで
即座に反撃できることだ。
正確な射撃というよりは
より即応性に優れた射撃スタイルになるな。
基本姿勢の2つ目は「Extend」
”伸ばす”という意味
Highと違って若干腕を伸ばして顔の前に構える。 できるだけ顔の近くに銃口と目線を一致させる。Highは肩でだが
Extendは目と顔の向きが照準。
近すぎてブローバック時にスライドが
顔に当たらないように気を付けるんだぞ。
Highと比べると精度も高く様々な状況に
対応できるスタイルだ。
これはハンドガンだけではなく
サブマシンなど他の銃に応用できるスタイル。
胸の前で銃を待機させる
「High」
少し前に銃を突き出した
「Combat High」
肘を90度曲げた状態でサイトをのぞいて構える「Extended」
完全に手を突き出して構える
「Apogee」
4種類に分けられている。
ショットガンやライフルといった長身の銃は
銃本体を自分の体の方に寝かせて発射する。
このカタチなら
大体の銃火器でも照準は行わなくて済む。
コレまでの説明と身体での実践訓練
万次郎の身体はもうすでに
2時間前に限界が来ているはずだが
ここに来てのジョン・ウィックが効果絶大!
無造作オールバック無精髭
イマジナリージョン万次郎ウィックが
身体を担当。恐ろしい程の吸収力
身体能力がバケモノになっているのは
本人も気づいていない。
一般大学生が微動だもせず
やってのけれるのは
Mr.ウィック氏のイマジナリー化身
憑依のおかげだ。
持ちこたえれる訳がない。
アクション映画バカ共には言葉はいらない。
身体で語り合うのであった。
ああ、もちろんクリスタルパウダー、覚醒状態
ありきのシンクロ効果でもあるが
アクション映画という
パワフルコンテンツが無ければ
不可能の域である。
ぽっぽーっ ポッポーッ 小3時間経過
「エラーはメッセージだ。一方的に
ハプニングと捉えてしまうと
こんな時に!なんて
思ってしまうものだが、それはまだ
修正可能域である証明のメッセージだ。
“まだやり直せる”ということだ。
無理を通すのがニンゲンであり
愚かである可愛らしい面でもある」
「その繰り返しの上に現在の人類がいる」
「完璧に準備をして出来うる限りを尽くす。
プロフェッショナルとしての当然の事だ。
そのあらゆる想定の網の目をくぐり
想像の想定のさらに上をいく現実に
直面して初めて経験となる。
どのタイミングであれ軌道修正はきく
ということだ」
目がバキバキの体の感覚がイカれた万次郎には
もしかすると半分も入ってないかもしれないが
かろうじて万次郎には
とても良いことを言っているのは、分かる。
それもそのはず、明智 小五郎と関わってからの
日々は、ハプニングしかないからだ。
半笑いの来栖は髪をかき上げ
「やはりジョン・ウィックは、もう観てたか!」
「今度、キアヌリーブスの撃っているのを
よく観察してみろ。それがC.A.R.システムだ」
「おう!そうだっ!
ちょうどノート型パソコンあるから
これでチェックするか?」
ちょっと萎びた声で万次郎
「yeah〜」
吹き出す来栖
「だはっ
ジョン・ウィックじゃ〜ねぇか!」
ぽっぽーっ ポッポーッ 2時間後
「普通に映画全編
観ちゃったじゃねぇ〜か バカ野郎っ」
目をキラキラさせて万次郎
「いゃ〜ぁ〜ジョン・ウィックは最高ですな。
間違いない!」
「こいつはダメだ。
射撃フォームのチェックのはずが
見入っちまうじゃねぇ〜か。
Mr.ウィック、チェックは
これからは1日1回だからな」
「さっきのchapter1でもMr.ウィックこと
キアノのムーブは、かなり実践的だ。
トレーニングしているのが分かるだろ?
中々いい線いってるんだがchapter2になると
さらに動きが良くなるからなっ!」
「あの、来栖さん知ってました?
ジョン・ウィックシリーズって
ほとんどスタントマンなしでやってるの?
だから全方位に鍛錬しまくってるんですよ!
カーアクションも本当に運転してるんですよ!」
「ジョンっ!お前それはマジか!ほぼ全部?!
明日のMr.ウィックチェックで
chapter2見直さないといけねじゃね〜か」
「ははっ 何で知らないんスか?
もうchapter4までやってるのに
結構有名なエピソードですよ。
あまりにもハードだからキアノさん
4で、もう主人公死んで欲しいって
公言してたくらいですからね。
結構有名なエピソードなんですけど
なんだか、知らないのも来栖さんらしいですね」
「おう 今初めて知ったな。
あのバイクシーンとかもだろ?
乱戦の取っ組み合いから
体術さばきも全部だろ?
そっか〜コレは本腰入れて全部シリーズ
見返さないといけないな」
腕を組んでソワソワしている来栖
「その〜ぉ、どうだろうか?
ほら、あれだっ。ちょっとだけchapter2
見ないか?もちろん修行の一貫でだ」
「はははっ それは仕方ないですね!
修行の一貫ですものね〜。
だって勉強ですから〜
今すぐ観るしかないでしょう!」
ポッポーッ ぽっぽーっ 2時間後
「また、全部見ちまったじゃ〜ねぇか」
こめかみを押さえながら来栖
「2時間ってホントなのか?
ジョン・ウィックには、
麻薬でも入っているのか?
どうなってるんだ」
「いやいや、
我々がアクション映画バカなだけですよ。
普通、2作品連続であんまり映画観ないっス。
よっぽどの映画好きでないとね」
万次郎のトキメキ指数は、上がりっぱなしだ。
筋肉の妖精シュワちゃん
「なかなかっサマになって来たじゃないか!
ハナタレ坊主じゃ〜なかったって事だな。
無精髭の男前ガリガリ映画じゃ〜
ちょっとばかり
筋肉量が足りないんじゃないのか?
おいっ!聞いてるのか?
おいっ!応答するんだっおいっ!
オゥ なんてことだ!
そういえば何でオレの映画を観てないんだ?
おいっ!これは大の男として
大切なマッスルアクションを忘れてないか?
おいっ応答しろ!どぉなっているんだぁ〜!
うぉおおおおおっ!」
マッスル泣きシュワちゃんは
ガトリングガンをブーメランパンツから取り出し
きらめく宇宙に全弾ブッ放す勢いだ。
ダダダダダダダダダダ うぉおおおおおおおっ
眼から流れる液体は、筋肉からほとばしる
汗だと言わんばかりに
「いつだって、真の漢とは、孤独と共にある」
うぉおおおおっ ダダダダダダダダダダ
意外にもいいセリフを残して
パンツ一丁のムキムキは
ガトリングガンを撃ち続けながら
銀河の彼方に消えてゆくのだった。
横目に突っ立っている
トレンチコートのマイトガイは哀愁よろしくの
背中で泣いて儚くタバコを吸うのであった。
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