Laboの男59
Labの男59
絶えずヒトは手の内を明かして生きている。
ナチュラルに話せる人は
それが社会的発言か?なんて考えず
相手に受け身を取らせない感じで話す。
仰々しくない
要は自身がどう見られてもいい感覚ってのは
ライトで相手にも伝わるってことだ。
ひと知れず電波していて感染している
ってことだ。
実際会話なんて何も考えずに
ざっくばらんの方が楽しいに決まっている。
沈黙はヒトを重くする。
想いはヒトに影響を与える。
言語野を司るエリア左脳を駆使し
脳内であぶくの様に湧き立つ言霊。
パワフルで上手く手懐けれると
人生の補助線となり
眼に見えない事象がなんなのかを
解き明かすには重宝する。
反面
コレまで蓄積された膨大なパーソナル記憶に
溺れてしまう事もよくある。経験があっても
どの事象に該当するのか?
どれが適応するか?は千差万別。
その都度、当てはまるとも限らないから
安定と暴走の両側を合わせ持つ。
脳内トーク特に時間の概念を司る
迫り来る左脳系恐怖、未来予測は侮れない。
多岐にわたるヒトの営みをスムーズに
衝突を避ける反面
実際にそうなるか分からない事象、現象を
想定し過ぎると危険度が上がる。
超個人的解釈であることすら忘れてしまう。
余裕があり上手く扱えている場合は
気にも止めないが
想像を上回り手がつけられない場合
ソノあぶくは俗に言う邪念となりかねない。
引き寄せる心配がさらに心配を寄せ集め
ありもしない心配を作り出し虚構に引っぱられる。
ゆえに著しく集中の邪魔をする。
日々の営みがおぼつかなくもなる。
内から溢れるあぶくの妄想は際限がない。
純度が高い想いは素直にイイ波を伝えるが
沸々と生まれる異物混じりの
あぶくのままだとその数だけ波が生まれ
多方向に派生し
イイ波であっても安定しない。
想いの憑代が一つである方が安定し
混ぜモノとなる邪念が想いに含まれない限り
事は良い方向に運ぶ。
あらかじめ予想される困難を想定するのはいいが
それに引っぱられてしまうと未来予想は邪念となり
歪んだ地図を手に自ら首を絞めるはめになる。
あくまで己の段取り重視に考えてしまってると
責務となりミッションに早変わり。
それは仕事、デューティーとなり重荷になる。
過剰に期待に応えようとするプロセスにも似ている
面倒が乗っかってしまい義務感が強まって
重荷、負担となってしまう。
個々の気質があり人によっても傾向が違う。
あくまで自身がハンドルを握れている
自分の意思で舵を切れている感が大切だが
舵を切りすぎると偏り過ぎてしまう事も
あるってぐらいに捉えればいい感じ。
なにも考えず行動出来ている時の方が
よっぽど自然なのだ。
たとえ間違っていても
LABOのみんながもっと感覚的に生きても
いいんじゃないかと
万次郎を後押ししてくれている気がする。
知らない事だらけみたいだが
それでも世の中は楽しいことで溢れている。
ガサゴソと何かの音で目を覚ます万次郎。
フロアーに落ちている宴の残骸
あたりめの破片、空きカンなどを拾い集めている
ルナ先生とマコちゃん。
昨夜の宴会は、楽しかったなと思い出しつつ
万次郎は周りの状況を確認してあぐらをかく。
胡座に肘をついてあくびを1つ
頭をボリボリとかく万次郎。
「んぅ〜〜んっ」 背筋を伸ばしてのびをする。
「どうする?ちょっとシャワー浴びたいわね。
ルナは一旦家に帰るの?」
「めんどくさいから、このままでいいかな。
2階シャワーあるわよ。後で一緒に行く?」
「そうよね、
もう家に帰るガッツは残ってないわ〜
今日は仕事もほどほどに家具だとか
ロッカーとか色々
万次郎連れ出して買い揃えに行こ。
アタシTVが欲しいのよ、後
電子レンジとコーヒーメーカーとかもね」
「あら、万次郎っ起きた?調子はどうよ?
日本酒バンバン呑んでたけど
水でも飲む?」
水の入った紙コップを受け取り一口。ゴクリ
「あれっ?玄白さんは?」
「ああ、上の階にパソコンとかタブレット
余ってそうなのを適当に見繕って
かっぱらいに行ってるわよ。
まだ誰も施設には来てないだろうから」
「ふ〜ん。明智さんは?」
「起きた時にはもう居なかったわ。
まぁ彼は単独行動がほとんどだから
いつの間にかいなくなって
いつの間にかサラッと現れる。
いつもそんな感じよ」
「ちょっと皆んなに聞きそびれた事があって
聞いてくれます?」
「改まってなんなのよ?」
マコちゃんはルナを呼んで
「元彼女から何故か2通目の手紙が
来たんですけど、なんなんですかねぇ?」
ムネに手をあてマコ
「ほっほぉ〜っ。2通目って事は
最初の1通の方は別れの手紙だったのかな?
乙女心が分かんないから
聞いて欲しいって事ね」
「ほらっ、女性は過去を振り返らず
キレイさっぱり忘れるって
言うじゃないですか。
曲がり角を曲がってしまえば
過去の男のことなんて
道自体、路線を変えるんだから
振り返っても見えないんだから
考えないなんて言うじゃないですか〜」
人さし指を立ててルナ
「ああっ、それね。男は真っ直ぐ道を行くから
いつでも振り返り放題で元カノのことも
いつまでもいい風に思ってたりする
ってヤツでしょ?」
「その発想なら
別れの手紙から何故に2通目が届くんだ?
どうなってるんだ?ってね」
2人顔を見合わせてふふふっ笑っている。
3人あぐらをかいて話し込んでいる所に
ドィン ドィン ドィン
四角いずんぐりむっくりの
ユンボロボに乗って登場する玄白
「いい〜パソコンが2〜3、手に入ったよ。
ウッディーとイワノフがいないな〜って
思ってたら上で日光浴、
陽の光を浴びに行ってたよ」
丁度ムネの下で腕組みをして
うなずいていたマコは振り返って
「ふ〜ん、人外の者っぽい2人は
お互いにウマが合うのかしらね?
それはそうと、玄白は〜どう思う?
元カノからの2通目の手紙ってさぁ〜?」
「え〜っ?なんの話?」
万次郎はあぐらの上で頬杖をつき
頭をかしげている。とほほの表情で
「どういう感情で手紙をくれたんでしょうかね?
も〜サッパリ分かんないっス」
ユンボロボを壁端に止めて降りながら玄白
「内容教えてよ、それで改めて可能性を
みんなで検証していこうか」
モフモフをわさわさと触りながらメガネを上げる。
「僕の見解だとね
彼女は間違いなく万次郎の事が好きだねぇ。
おそらく彼女的には
素晴らしく重要な発見、または経験をしたから
大切なヒト、つまり君に聞いて
欲しかったんだろうね」
「それは私もそう思うわ〜」
「でも大切なヒトであっても
恋人だと思っているかは分かんないな〜。
ニンゲン、万次郎に是非
共感して欲しかったって事だろうな」
「びっくりするくらい分かんないっスよ。
どうすると大切なヒトをフッといて
話を聞いてもらいたくなるんスか?
僕だったら、とてもじゃないですけど
手紙出せないっスよ」
「その気持ちも分かるよ。野郎なら特にね。
それはそれ、これはこれで分て考えれる
女性ならではの発想なんだろうな。
彼女自身の成長にはキミに甘えてしまって
良くないって離れたんだろうけど
でもその道理をすっ飛ばしてでも
聞いてもらいたい感動があったってことじゃ〜
納得は出来なさそうだね」
重ねてマコ
「どぉしようもなく
万次郎でなきゃ〜ダメなのよ。
貴方に教わった事がわかる様になった
ってのを知らせたかったのよ」
「ボクの事を買いかぶり過ぎですよ、相当ね。
そんなにボクは素晴らしいニンゲンじゃないし
聖人君子じゃないですよ〜」
「今もなお、彼女の中では思い出のまま
時が止まっていて
キラキラに写ってるんじゃない?」
「そうそう、思い出補正もかかってるよね」
「結局、聞いて欲しかったんだろうけど
貴方はあなたの人生を歩んでね
って事なんでしょ?
そんなに器用にはいかないですよ〜。
でも住所書いてないから返信は望んでいない
もぉ〜なんなんですか〜ねぇ?」
気持ちが入ってきたのか目がギンギン
キツめにムネの下で腕を組んでマコ
「万次郎は、気がきじゃない位に相手にハマった
事がないだろうから、、分かんないだろうな。
自分でも理解出来ないくらい
とち狂うものなのよ好きなヒトにはね」
ルナは頬に手を当て
「ちょっと1回ぐらい
性悪オンナに引っかかって欲しいわ〜。
玄白もそうだけど
恐ろしい位マイペースだものね」
「いいじゃないですか」
鋭い視線でルナ
「ちがうわよ〜悪い意味でよ!
いいタイミングで察してやれよ〜って事よ!
モジャ公とその一味はね」
「そうよねぇ〜ホントそ!」
何とも言えない苦い顔をする万次郎と玄白
48手マイスター
「なんで我々のグチになるんですか!」
モジャ公
「そうだ!そうだぁ〜!」「もっと言ってやれ!」
なぜか2人して腕を組み頭を傾け
たくっ仕方がないわねぇのポーズ
「だって言わなきゃ分かんないでしょ?
それくらいマイペースなのよ
アンタ達はね!」
嬢たちの眼圧に
ぐうの音も出ないハトの豆鉄砲顔の2人
ホロッホー
なんとも今からの発言が後に響く気がしてならない
危険だと玄白の身体が言っている。
「さっ、ボクはパソコンの接続と
設定に取りかかろうかなぁ」
あまりにもぎこちなく不自然に席を立とうとする。
「おっと、万次郎はこれから私達と
明智ラボの雑貨を買い出しに行くからね。
準備しておいてね。
重たいのいっぱい買うから」
「うっス!あのちょっと買い出しついでに
家に寄っていいです?携帯の充電ケーブル
取りに行きたくって」
「それじゃアタシん家もよってくわ。
ルナはいい?」
「う〜ん、どぉしようかなぁ〜
まぁ〜いっか」
「そうそう、玄白ぅ〜またカード貸してよ。
ここに本腰入れて
本格的に明智ラボの根を下ろすつもり
なんでしょ?しっかり雑貨だとか日用品
だとかも買ってきていいんでしょ?」
思い出したようにルナ
「そうだよ!トイレよ!少なくとも
2つは作って欲しいわ。
だって10分近くは上に行くのかかるからね」
「ああ、それはそのつもりだよ。
なんだったらシャワーも作ろうかね」
「軽いキッチンも作ってね」
「ああ、そうか!大体のことは上に
上がらなくても済ませれる位にしないとね。
いいよ、僕もいよいよ覚悟を決めたよ。
だからみんな、隠しごとは無しにしてよ〜
僕にとっては珍しくみんなの事を
ファミリーって思ってるからね」
万次郎は手をうってなるほど!
「裏切り者には報復を!鉄の結束っ!
チョココルネファミリーみたいな?」
「なんでマフィアの方なのよ?
軽く玄白、ショックだよ」
マコ「あはははははっ!万次郎にしてみれば
わが社はよっぽど印象悪いみたいね」
「だって、そうでしょ!
みんな手錠かけられてるんですからね〜」
ルナ「ウフフッ玄白はハートの話をしてるのよ。
会社関係なくね!道徳的タガが外れてても
意外と彼もカワイイとこあるのよ」
「さぁ〜てっマコ、シャワー浴びにいこうよ」
「おっけ、それじゃ〜後よろしくぅ」
だまって2人についていく万次郎。
「ちょっと、どうするつもりよ?」
「えっ?シャワー浴びるんですよ」
「ははっ、3人一緒に浴びるつもり?」
「えっ!男性専用ってないんですか?」
「違うわよマコ、彼は覗こうとしてるのよ。
どさくさに紛れて、うふっふふふ」
「なっなんで、そうなるん
「なんてね!」「チャオ 玄白」
「ちょっとくらいなら見せてもいいけど
どうするぅ?」 「はははっ」
「もう〜、大切な人のために
とっといて下さいよ〜もぉ」
「それにしても、万次郎はなんで男感が
無いのかしらね?ゲイ?」
「違いますよ、志望校は女子1択の専願ですよ」
「まだ、どこかの扉が開かれてないだけ
かも知れないじゃないの?」
「確かにそうですけど
もぉ〜ペース乱されるなぁ〜」
それにしても何だろうね?万次郎っていじりたくなるのよね。分かるわぁ〜。そうでしょ?なんかねぇリアクションがイイのよね!そうそう!それは
持って生まれたモノなのかしらね?う〜ん
メタリックエレベーターの扉は閉まってく。
独りシャワーを浴びながら
万次郎が思う女性観ってのは時代の移り変わりと
共に激しく変化していて
もう古いのかも知れないと思う
万次郎なのであった。
いやいゃ、
それは彼女たちが特殊なのを忘れてるよ。