少子化で世代内競争が負けられない競争となる

言うまでもなく、少子化が進んでおり、2023年に生まれた子供の数は75万人と過去最小を記録した。
私の世代(アラサー)でも十分に少子化であり、
1学年の人数は120万人。
その我々と比べても約6割の人数と非常に少ない。
今後、子供の数が私の世代並みに増えることはないでしょう。

ところが、子供の数が多くても少なくても、受験や就職という競争は避けられない。
そして、少子化のおかげで、世代内競争が持つ意味合いが変わっているのだ。

結論を先に述べると、勝てれば良い競争から
負けられない競争へと変わった。

同世代の人口が減ると、何が起こるか?
良い大学に入学しやすくなり、良い企業にも就職しやすくなる。
競争相手が少なくなるから、当然である。
競争で勝てる人の割合は高くなる。

人口が少なくなると、競争自体が緩くなるから、良いじゃないかと考えられがちだが、
そんな単純な話だけではない。
勝てる可能性が高い競争、言い換えると負ける可能性が低い競争と化してしまう。
同世代が少ないと、負けられない競争に無理やり晒されることとなる。

かつて50〜60年前は、「大学卒で大企業に就職」というのは僅かな人しか到達できない、希少なポジションだった。いわば、エリートのポジションであった。

当時でも現在でも「大学卒で大企業に就職」は、世間が良しとする価値観ではあるが、
現在は同世代人口が少ないために、容易に達成できる。
私の世代でも、同世代の15%は達成できていると推測する。
私より若い世代は、より人数が少ないから、
より一層達成しやすい状況となる。
ここまで達成しやすいと、エリートの条件ではなく、必要条件としての意味合いが強くなる。

そうなると、受験競争や就職競争の意味合いも変わる。
30年前の高校生のように、世代人口が多ければ、「大学行けると良い。有名な大学に行けると良い。」というポジティブな考え方が競争のモチベーションとなる。
ところが、世代人口が少なくなると、「大学行けるのは当然。有名な大学に行けるのも当然。行けない方が問題。」というネガティブな考え方となる。

勝てたら良いという競争ではなく、必要条件を達成するための負けられない競争。
最近の若者や子どもたちは、否が応でもネガティブな競争を強いられる。
そして、少子化が進むほど、達成すべき必要条件もエリートの条件も変化する。
いずれエリートの条件は、
大卒から早慶卒以上の大卒。
大企業に就職から日経225の企業に就職。
と基準が変わるだろう。

競争の辛さや苦しみは、参加人数の多さや勝てる可能性の低さで決まるものでない。
負けられない戦いというのも辛さや苦しみの原因となる。
緩い競争でも、負けるリスクが高い私のような発達障害者にとっては、地獄のような戦いである。

競争が緩いから楽だという考えは
捨てていただきたい。
負けたときの絶望感が強くなるのだから。

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