社会進出とは都会で大卒総合職として働くだけではない〜職業に貴賎はない〜
新卒の就職活動が本格的に始まりました。
解禁日は3月1日ですが、今週の土日はビッグサイトでプレ合同説明会を開催しています。
就活においては、15年程前から、女子学生の総合職志向が年々強くなっています。
理由は女性活躍推進法が施行(2016年より)されて、女性の採用割合を一定以上に定める企業が増えたからです。
男女平等を目指しているのですが、女性への下駄はかせに近い取組みも散見されます。
採用や出世のハードルが男性と同じレベルに留まるのではなく、男性よりも下がっているように思えます。
配属の面でも男性より優遇されます。僻地勤務の可能性は少なく、本社の間接部門や都会の営業所勤務の可能性が高いです。
ここまで過剰に優遇すると、大卒総合職として都会で働くこと=社会進出と勘違いしてしまうのです。彼女たちにとって、小売・飲食の接客業や看護・福祉関係のエッセンシャルワークは、社会進出ではないのです。
仕事に従事している面では変わりが無いのに、職業によって評価が変わるのはおかしな話です。
そもそも、会社で働くことだけが社会進出ではありません。自営業や農林水産業の従事者も社会進出しています。
そう考えると、1960年代より前の日本には、社会進出している女性がたくさんいましたよ。家業や農業の手伝いをしながら、子育ても行っていたのです。仕事と育児の両立です。こういったライフコースを送る女性が過半数を占めていたのです。
経済成長に伴う産業構造の変化で、会社で働く人が増えました。今や、自営・農業従事者は希少種です。
会社で働くことが前提となっている社会です。どんな仕事をしているかは勿論、どこの会社で働いているかも、注目されるのです。
一億総サラリーマン化と一億総偏差値競争の結果、職業に貴賎なしという概念を破壊したのです。
女性の総合職が少なかった時代は、大卒男性だけが地位獲得競争に躍起になっていましたが、
今や女性も競争に巻き込まれています。
ましてや、大学進学率が60%近い時代です。
女性だけでなく、多くの若者が他者から「社会進出している」と評価されるために、地獄の競争に晒されているのです。
10年後・20年後の日本は、職業差別がいっそう深刻となるでしょう。