高校球児が減っているけど、不人気となった訳ではない
夏の甲子園の真っ只中だ。
今回から試合が二部制となり、午後の一番熱い時間帯を避ける取り組みを行っている。
前から言われている話で、高校野球の選手人口(以下、高校球児)が減っている。ここ10年で約4万人減・25%減。
高校生自体の人口の減り具合(10%減)よりも、大きく減っている。
この10年間で、高校生を取り巻く社会状況はコロナ禍で大きく変わった。
とはいえ、高校球児はコロナ禍より前から減り始めていた。
硬式野球部員、10年連続で減少 軟式部員は増加 高野連の調査 - 高校野球:朝日新聞デジタル (asahi.com)
減少の理由は沢山ある。
高校野球が閉鎖的。道具にお金がかかかる。他のスポーツの選択肢が多い。野球については門外漢だから、何が減少に影響を与えるか、細かい事情は分からない。
では、1番高校球児の人口が多かった時期はいつか?
私は、高校生の人口が1番多かった80年代後半と思っていた。
驚きや驚き、なんと高校球児の数のピークは2014年でたった10年前。
当時は17万人程いて、1学年あたりの球児は5万7千人程。
男子高校生の約10人に1人は野球部員。
2014年、既に少子化が始まっていたにもかかわらず、
それなりの人気を誇っていた。
(財)日本高校野球連盟が高校球児の人数と加盟高校数を記録していた。
1982年から2024年までの42年間のデータです。
部員数統計・硬式 | 加盟校数・部員数 | 高校野球とは | 日本高等学校野球連盟 (jhbf.or.jp)
このデータをもとに、高校球児と割合(男子高校生全体での)の推移をグラフにした。
分母となる、男子高校生の人数は、18歳人口(学校基本調査)をもとにした。
2024年の球児の数は127,031人で、80年代中盤と同じ水準。
80年代中盤というと、清原・桑田がPL学園で活躍していた頃。
野球観戦が現在以上に人気だった頃。
しかしながら、プレイする側の人気は現在よりも低い。
球児の数自体は同じくらいだけど、高校生の人数が現在の1.7倍いたから。野球部員の割合は約20人に1人。
そもそも、80年代の高校生は運動部の加入率が現在より低い。
00年代にピークを迎えて、現在は54%程度だ。
グラフを見ていると、平成に入ってから(特に2006年~2016年)の
高校球児の多さが特別だったと思える。
言い換えると、高校野球が人気過ぎたのだ。
高校生の人口は減っている、スポーツの選択肢が増えている。
という状況にもかかわらず、10年前までは高校球児が減らなかった。
そして、この10年間で球児の数が25%減った。という事実だけで、
野球が不人気になったと簡単に結び付けられないでしょう。長い目で見ると。今の段階でも、男子高校生の約12人に1には野球部員。2004年と同じ水準。
これから、高校球児がどれだけ減るかは分からない。いつ下げ止まるのかは分からない。徐々に少子化が進むから、増えるor横ばいになることは無い。
絶対数が減ってしまうのは、少子化だから避けられないし、他のスポーツでも同じこと。どのスポーツでも競技人口の維持に必死である。
今後5年での、高校球児の減り具合を見てから、
不人気かどうか判断すれば良いと考えている。