就活webサイトの登場とネットが無い頃の就活
現在では、インターネットを用いて就職活動を進めるのが当たり前です。
就職希望者は、まずリクナビ、マイナビ、あさがくナビといった
就活webサイトに登録します。(知らない人は殆どいないでしょう。)
就活の進め方は、ネットの登場により大きく変わりました。
ネットが普及し始めた時期は1995年です。
Windows95の発売がキッカケです。
リクナビやマイナビも、原形は95年前後に登場しました。
リクルートは、「Recruit Book on the Net」というサイトを開設。(96年2月)
毎日コミュニケーションズ(現:マイナビ)は、「Career Space」を開設しました。(95年12月)
ネットでの就活の先駆けは、97年卒の大学生です。
96年に就活を行い、現役での入学・卒業なら、今年50才となる人たちです。
ちょうど、就職氷河期世代の真ん中です。
その後、ネットが浸透するにつれて、就活からアナログの要素が薄くなります。40代前半の世代ですと、ネットでのやり取りが主流でしょう。
サイトを使うと説明会や選考の参加予約が簡単です。
そうなると、選考エントリー数が50社、100社も珍しくありません。
中には、履歴書やエントリーシートをwordで作成させる会社もあります。
手書きのハガキや電話で進めるのとでは、かかる手間が異なります。
沢山エントリーができるため、内定を5社以上もらう学生もいます。
ちなみに、アナログ時代の就活は下記図表の通りです。
30数年前の調査資料(国会図書館に寄贈)を閲覧してまとめ上げました。
リクルートリサーチ社が発行した「大学生の就職実態調査(87年度・91年度・93年度~95年度)」を参考としました。
調査結果は、86年卒~95年卒の学生が対象となり、
どの年度も完全アナログでの就活を経験しています。
対象の学生たちは、就活時の景気に差があります。
安定成長期(86年~88年卒・94年卒)、バブル期(89年~93年卒)、就職氷河期(95年卒)の3つに別れます。
図表を見ると、バブルのピークでも氷河期でも、訪問社数や内定社数に大きな差はありません。
※氷河期の結果がバブル期と大差ない理由として、
調査対象が内定をもらった男子大学生であり、
不景気でも就活が上手くいった層の回答が多かったからでしょう。
90年代中盤までの就活は男子が有利でしたから。
まとめると、10社程度の選考を受けて、2社程度の内定をもらう流れです。
資料請求社数(現在でいうプレエントリー数)は、景気が悪くなるにつれて多くなります。
現在から考えると、選考社数がとてつもなく少ないです。
アナログだと、こなせる量に限界があります。
1日に説明会や面接を3社はしごする学生は、皆無と言っても良いでしょう。
就活の動き出しも、とてつもなく遅いです。
3年の1月~3月に情報収集を行い、
4年の4月・5月から訪問や面接の行動開始です。
この当時は、インターンシップは一般的ではありませんし、
就活の選考開始も4年の10月でした。(建前であって、実際は4年の7月~8月に内定をもらう学生が多かった。)
ネットが無い頃の就活は、現在よりも不便で不透明な要素も多いですが、牧歌的です。
ネットが登場したおかげで、就活は大規模なビジネスとなりました。
良い面もありますが、悪い面が目立ちます。
やる方が良い=やらなければならない物事も増えました。
SPI、インターンシップ、マナー講座、リクルートスーツ購入。
現在の就活は、異常だと改めて実感させられます。